スーパーマーケットへのQRコード決済導入が進んでいる。2019年8月から9月にかけて、大手がPayPayを中心に相次いで導入。インターネット上には、「使ってみた」との報告が多数あがっている。

J-CASTニュースでは19年5月、「スーパーでQRコード決済、便利?不便? 試してみると...課題が見えてきた」と題した記事で、スーパーにおける普及の現状と、今後解決すべき点について伝えた。それから4か月、利便性は向上したのだろうか。

西友もイトーヨーカドーも「客が読む方式」

先の記事を執筆した4月下旬では、QRコード決済が使えるスーパーは、関東の一部にある「イオン」と「食生活 ロピア」といった程度に限られていたが、その後OKストアなどが続き、8月から9月にかけて、西友・サニー、イトーヨーカドー・ヨークマート、ライフといった各社が相次いで導入した。

この背景にはPayPayの拡大攻勢がある。PayPayは5月から、「ワクワクペイペイ」と題した、月替わりのキャンペーンを行っている。これは業種ごとに還元率をアップさせるもので、6月にはドラッグストア、8月はコンビニ、9月はスーパーマーケットが対象だ。その業種が変わるたびに、それぞれの大手が相次いで加盟するのが常で、スーパーへの導入ラッシュも、これが要因と思われる。

今回導入したスーパーの多くは、客のスマホカメラで、レジに据え置かれたQRコードを読み取る「ユーザースキャン方式」(MPM=店舗提示型とも呼ばれる)を採用している。筆者は9月上旬、その中のひとつである西友を訪れた。PayPayで支払う旨を伝えると、紙に刷られたQRコードを指さされる。それをアプリで読み取り、客みずから金額を入力し、店員に見せながら支払いを完了させる。

一連の流れは、飲食店などでも経験あるが、スーパーとはレジ回転の速さが違う。クレジットカードであれば数秒で決済が完了するが、やはりコード決済だと手間も時間もかかる。後ろに客が並んでいたため、ちょっとした申し訳なさを覚えた。現状では有人レジのみ対応のようだが、セルフレジにも導入されれば、この心理的負担は軽くなるだろう。イトーヨーカドーも、西友と同じくユーザースキャン方式。スーパー大手2社が採用したことで、今後の同業他社も追随する可能性がある。

コンビニと大きく違う点は...

一方でライフは、スマホアプリで表示させたコードを、店舗側の端末で読み取るストアスキャン方式(CPM=利用者提示型)を導入した。こちらの方が時短できる――と思ったら、ツイッターでは「むしろ現金より時間かかった」といった声も出ている。

レジそのもののバーコードリーダーではなく、別の端末を取り出して、そこに店員が金額を入力し、スマホ上のコードを読み取る。このパターンだと、たしかに客の手間は減るが、「誰かが金額を入力する」のは変わらない。コンビニでは、レジにつながっているリーダーで、決済用のコードも読める。いちいち金額を入れる必要もない。同じストアスキャン方式といっても、そこには大きな違いが存在するのだ。

5月の記事では、店員がリーダーに金額を入れ、スマホのコードを読み取るイオン(ライフと同じ)と、客が金額を入力して、紙のコードを読むロピア(西友と同じ)をめぐり、現状における課題を考えた。しかし、それから半年近く経つが、さほど状況は変化していない。各社の本格導入で、何かが変わることを期待したい。

(J-CASTニュース編集部 城戸譲)