iPhoneブランドに対する忠誠心、すなわち「既存のiPhoneユーザーが次もiPhoneを買う」割合が昨年よりも15%も減少しているとの調査結果が報じられています。中古スマートフォン販売業者BankMyCellは、2018年10月から今年6月まで、自社サービスにiPhoneを下取りに出した3万8000人のユーザーを対象にデータを収集したとのこと。その結果、iPhoneユーザーの18.1%がサムスン製デバイスに乗り換えていたと判明。これまでの同社の調査の中で最高レベルとなったと報告しています。

その一方、サムスンユーザーの忠誠心は高かったとのこと。Galaxy S9ユーザーがiPhoneに乗り換えたのはわずか7.7%で、92.3%が引き続きAndroid端末を使用。これに対してiPhone Xを下取りに出して別のブランドに移行したユーザーは26.2%もいたと述べています。

ただ、この調査結果にはいくつか注意すべき点があります。1つには、調査対象のサイズが比較的小さい上に「BankMyCellのような下取りサービスを利用する客層」という偏りが窺えること。米国ではアップルは毎年最新のiPhoneに切り替えられるアップグレードプログラムを実施していますが、それを利用しているユーザーは除外されているわけです。

もう1つは、米調査会社CIRPによるリサーチ結果と大きな隔たりがあること。今年1月、同社はiOS(iPhone)の忠誠心が91%だったとして、高水準を維持していると述べていました。

米調査会社KantarとGartnerも、スマートフォン業界に関する新たなレポートを発表しています。前者によると、2019年第2四半期(4〜6月)の米国における販売台数はiPhoneが36%を占め、前年同期比で2.4%減少したとのことです。

かたやGartnerのデータでは、2019年のスマートフォン出荷台数は世界全体で3.8%減となる見込み。「スマートフォンが大きな実用性、効率性、または経験を提供しなければ、ユーザーは買い換えず、結果としてデバイスの寿命を延ばすでしょう」とも述べています。

アップルやサムスンといったブランドへの「忠誠心」を示すためには新たなデバイスを買う必要がありますが、スマートフォンの買い換えサイクルが長期化し、そもそも調査の対象とならないユーザー人口が着実に増えているのかもしれません。