スマートフォン(スマホ)の販売台数でファーウェイのシェアが激減している。BCNランキングで日次の販売台数シェアを集計したところ、問題発生直前の5月15日に15.3%でアップルに次ぐ2位だったファーウェイのシェアが、直近の5月22日に5.0%と3分の1に縮小したことが分かった。わずか1週間でランキングも6位に急落し、米政府が強行した経済制裁の影響が早くも現れた格好だ。ファーウェイからシェアを奪ったのはアップル。8.4ポイント伸ばした。サムスンは1.3ポイントと、わずかながらシェアを拡大。シャープやソニー、ASUSは微減だった。

 米商務省は5月15日、ファーウェイ本社と関連会社を「エンティティリスト」に追加すると発表、翌16日から米企業からの輸出を事実上禁止する措置を執った。ファーウェイ本社や世界各国に展開する支社など69社が対象。ファーウェイスマホの心臓部でもあるCPUを製造するハイシリコン・テクノロジーズも含まれている。

 これを受けて、一部で報じられているとおり、Andriod OSを提供するグーグルや半導体設計のアームがファーウェイとの取り引きを停止すれば、OSとCPUの供給を絶たれることになる。

 ファーウェイのスマホについては今後、Andriod OSがアップデートされずGoogle Playでのアプリも提供されなくなる可能性があるため、消費者の立場では買いにくい商品になっている。販売店側も、今後安定して利用できるかどうかが不透明なため、勧めにくい。24日に新製品のP30シリーズを家電量販店などで発売したが、この効果でどこまでシェアを挽回できるかに注目が集まる。

 しかし、NTTドコモ、au、ソフトバンクの3大キャリアをはじめ、多くのMVNOで新製品の販売延期を決めており、当面販売台数の大きな伸びは期待できそうもない。経済制裁の行方が明らかになるまで、ファーウェイにとっては厳しい状況が続くことになりそうだ。(BCN・道越一郎)