長野県工業技術総合センターは、県に根付く昆虫食文化のイナゴを原料にしたサプリメントを試作した。粉末を錠剤状に固めてあり、栄養豊富なイナゴを手軽に食べられる。4月に開設した「しあわせ信州食品開発センター機能性食品等開発拠点棟」に、新たに導入した機器を活用した。

 イナゴをサプリメントにするアイデアは、内閣府が主催する「地方創生・政策アイデアコンテスト2016」で、松本市の松本県ケ丘高校の生徒が発表したもの。昆虫食が苦手な人にも食べやすくして、地域農業を活性化しようと考案し、最優秀賞を受賞した。

 県内の企業などによる付加価値の高い食品の試作などを支援しようと配備した機器を使った。イナゴを混合乾燥装置で減圧して低温乾燥させ、粉砕機で細かく砕く。粉末にし、食物繊維と混ぜ、錠剤製造機で直径9ミリの粒のサプリメントにした。イナゴは、県南部の食品会社から仕入れた。

 施設の見学会で試食した参加者からは「えびせんみたいな香ばしい風味」といった声が聞かれた。

 同センターの高橋佑汰技師は「イナゴはタンパク質とカルシウムが豊富。あくまで試作品で製品化の予定はないが、注目されている昆虫食の新提案として長野県らしいアプローチができた」と話している。