米国のトランプ大統領は19日、2019年の大統領経済報告を公表した。日本の農業分野の市場開放に向けて、牛肉や豚肉の関税を巡り、環太平洋連携協定(TPP)などの発効で、TPP発効国などと比べて、対日輸出の競争力が低下することに危機感を表明した。日本との協定締結が米国の利益につながるとし、早期に他国と同等の日本市場の開放を目指す姿勢を示した。

 「日本との自由貿易協定(FTA)交渉に入る」とも打ち出した。日本政府は物品中心の「物品貿易協定(TAG)」と説明してきており、改めて整合性を巡って国会で議論になる可能性がある。日本、欧州連合(EU)、英国との貿易協定を結ぶことで「農業や工業、サービス分野の貿易障壁を減らし、米国に利益をもたらす」と指摘した。

 農業分野では、日本への輸出の貿易障壁として牛肉と豚肉を例示した。豚肉は「可変システムを課している」と指摘。差額関税制度を念頭に不満を示したとみられる。牛肉関税は「38・5%から50%まで変動する」とし、現行の関税率に加え、過去に発動したセーフガード(緊急輸入制限措置)への懸念をにじませた。

 牛肉をはじめ、米国が離脱したTPPが発効した加盟国では対日輸出関税が下がる。このため、不利な輸出環境に置かれる米国の農業団体は早期の対日交渉の開始・妥結を迫っている。

 経済報告では「オーストラリアなど(米国の)競争相手国に対する関税率は(対米税率より)ずっと低い」と危機感を示した。「日本とFTAを結べば、米国の輸出業界にとっての競争条件が公平になる」と指摘し、TPPなどと同等の市場開放への意欲を示した。

 農業以外にも「物品やサービス分野の関税や非関税障壁が立ちはだかっている」としている。

 経済報告は、経済情勢や政権の経済政策を示すもの。一般教書、予算教書と並ぶ「三大教書」の一つ。