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スマートフォン用ゲームアプリ開発者にとって、無課金で遊び続けるプレイヤーの扱いは悩みの種の1つ。Googleはそうしたユーザーの顧客生涯価値(そのサービスを使い続ける上で投下する金額の総額)を高める事を狙った、新たな広告サービスを発表しました。新サービスの1つは、プレイを辞めてしまったユーザーをゲームに引き戻そうとするもの。チュートリアルを途中で放り出したユーザーに完了を促したり、そのプレイヤーが最後に遊んだ以降に追加された新要素を紹介するなどで復帰を促す手法です。ただしこちらは、従来のターゲティング広告と大きく異なるものではありません。

注目すべきは、Google Admob(ゲーム内広告を表示する仕組み)の新機能である「スマートセグメンテーション」です。これは機械学習によりアプリ内課金をしないと予測されるユーザーにのみ広告が表示され、課金が予測されるプレイヤーには表示しないという「区別」(セグメンテーション)を行うもの。

Googleはこれを、広告とアプリ内課金を1つの自動化したソリューションに統合した、収益化への新たなアプローチと述べています。

ゲーム内広告はゲームメーカーにとって重要な収益源の1つですが、突然ポップアップする広告はプレイを中断するため、プレーヤーにとってはモチベーションを下げるものともなります。とくに熱心に有料アイテムなどを購入するプレイヤーのモチベーションを下げてしまうと、トータルでは収益を減らす危険性もあるわけです。

そこで課金しそうにないプレイヤーだけ狙い撃ちして広告を出し、課金しない分を広告費で補わせよう、というのがこの手法の狙いです。

逆にいえば広告を見たくなければ熱心に課金すればよく、いずれにせよゲーム提供側からすると「顧客生涯価値」が高められる目論見といえます。AI開発を得意とするGoogleらしい、まさにスマートといえる集金方法ですが、どの程度まで課金プレイヤー判定が正確なのかは気になるところです。

将来的にはゲーム内広告が表示される頻度を見れば、その人の課金ぶりが分かるようになるのかもしれません。