6年前の今頃は、ピザ屋で配達のアルバイトをしていたのに。環境の変化にいちばん戸惑っているのは、本人に違いない。

大石昌良の名を広く一般に知らしめたのは、2017年に放送されたアニメ『けものフレンズ』。作詞作曲を手掛けたテーマ曲『ようこそジャパリパークへ』は口コミで人気が爆発。歌手の平井 堅や星野 源も絶賛するなど、幅広いリスナーに愛される楽曲になった。

“天才”音楽クリエイターと人は呼ぶ。だが彼にはシンガーソングライター、バンドのボーカル&ギター、アニソンシンガーの顔もある。

キャリアも異色だ。2001年、21歳にしてロックバンドSound Scheduleのメンバーとしてメジャーデビュー。しかし、2006年にバンドが解散し、2008年にソロデビューしてからは、音楽だけでは食べていけず、アルバイトをしながら生計を立てていた。

そんな苦境を変えたのが、アニソン界への進出だった。当時33歳。

「だから僕は伝えたいです。いくらでも遅咲きできるってことを」

酸いも甘いも噛み分けながら、自分の力でブレイクを勝ち取った大石の言葉には説得力がある。

撮影/西村 康 取材・文/照沼健太
スタイリング/宇都宮春男(YKP) ヘアメイク/瓜本美鈴(e-mu)