2018年の加工米飯の生産量が39万170トンとなり、2年連続で過去最高を更新したことが、農水省の調べで分かった。共働きや単身、高齢世帯を中心に、手間がかからないパックご飯や冷凍米飯の消費が伸びている。堅調な需要を確実に取り込もうと、各社が設備投資を進め、生産能力を高めており、今後も生産が拡大する見通しだ。
 
 18年の加工米飯の生産量は前年を5%上回り、過去10年で1・5倍に増えた。統計がある1998年以降で過去最高となった。

 背景に消費者の生活環境の変化がある。内閣府によると、17年の共働き世帯は1188万世帯で、この10年で2割増加。単身世帯も統計がある15年では1842万世帯で、3割増えた。少数世帯の増加に加え、高齢化が進んだことで、手軽に食事を済ませたい消費者が増加。電子レンジで温めれば簡単に食べられる加工米飯の消費が伸びている。

 レトルト米飯と無菌包装米飯を合わせたパックご飯の生産量は前年比5%増の19万8381トン。チャーハンや焼きおにぎりなど冷凍米飯は4%増の18万1559トン。共に過去最高を更新した。

 伸びる市場を取り込もうと、各社が攻勢を掛ける。パックご飯「サトウのごはん」で知られる佐藤食品工業(新潟市)は昨年7月、JA全農と資本業務提携に合意。原料米の安定調達につなげる。さらに、今年5月には同社3カ所目となるパックご飯工場が稼動し、生産能力は現在の1日83万食から103万食に増える見通しだ。

 パックご飯大手のテーブルマーク(東京都中央区)は昨年9月、新潟県内の自社工場に製造ラインを一つ新設。18年のパックご飯の販売量は前年比1割増の3億食という。同社は「10食パックを中心に大容量商品の販売が特に好調」として、日常的に消費する人から支持を得ている。

 冷凍米飯大手のニチレイ(東京都中央区)は昨年、同社の家庭向け冷凍チャーハン・ピラフ商品を全量生産する千葉県内の工場に製造ラインを新設、生産性を高めた。同社は17年度の冷凍米飯の販売額について「前年度からの伸び率が2桁」と、今後も販売を強化する考えだ。