中国メディア・東方網は27日、かつてベトナム全土を席巻した中国製のバイクが今やほとんど見られなくなった経緯について紹介する記事を掲載した。そこには、中国企業にとって大きな教訓となる「苦い思い出」があるようだ。

 記事は、ベトナムが世界で最もバイク保有台数が多い国であり、4500万台のバイクが存在すると紹介する一方で、中国メーカーのバイクは「敗走」状態にあり、ほとんど見かけることができないとし、その経緯について説明している。

 まず、ベトナムのバイク市場を最初に席巻したのは日本企業で、80年代後半には日本製バイクのシェアがほぼ100%に達していたと紹介。その後時間の経過とともに生産能力を高めた中国のバイク企業がベトナム市場に進出すると、日本や韓国の製品よりはるかに安いという価格面の強みを生かして急速にシェアを伸ばしていき、わずか3年で80%以上のシェアを獲得する急成長をみせたとした。

 しかしその一方で、日本企業を打ち負かしての好景気は長くは続かなかったと指摘。その背景について「当時、重慶市の企業だけでも20社あまりがベトナムにバイク工場を建設したのだ。当然中国企業による価格戦が激しくなり、バイクの価格は下落の一途をたどり、まるでくず鉄のような値段にまで下がってしまったのだ」と説明した。

 さらに、過剰な価格競争によってアフターサービスが疎かになり、品質面での信頼を失っていき、価格は高いが長持ちする日本メーカーのバイクにベトナムの消費者が戻るようになり、中国のバイクは「3年も乗ればゴミ」というイメージが定着してしまったと伝えている。

 「うまみ」のある商売に注目が集まると、多くの人が一斉に群がりあっという間にパイを食べ尽くした挙句、出口のない価格競争によって最終的に共倒れする、というのは、これまで中国で良く見受けられてきたパターンだ。ベトナムのバイク市場の経緯は、まさに典型的な例と言えそうだ。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)