猫に熱湯を浴びせたりガスバーナーで焼き殺すなどした税理士、保護している猫を棒で叩くなどした動物愛護団体の理事長、自宅でネコを殺害した元奈良県嘱託職員など、日本各地で相次ぐ痛ましい動物虐待ニュース。

【写真】むごい状態の猫が発見された現場たち

 昨年11月には、神奈川・相模原市で毒殺されたとみられる猫5匹が見つかったばかり。今度は、兵庫県の山陽電鉄本線沿線で、それは起こった。

「さらに掘ると耳が出てきて……」

「11月25日、姫路市的形町の民家で、自宅の前の花壇を掘り返したところ、下半身のない猫の死体が埋められていた。午前9時30分に家人が発見し110番通報したもの。前日の夕方に水やりしたときは、異常がなかったようです」

 と兵庫県警飾磨署の捜査関係者。発見時の様子を、その家の夫(70代)が明かす。

「朝、家を出るとな、花壇の花が抜かれていて、こんもり土が盛ってあったんや。花壇にはポピーが植えてあったんやけど、盛った土の上に1輪だけポピーがお墓みたいに挿してありました。なんや思うて掘り返すと白いものが出てきてな、さらに掘ると耳が出てきて、これは猫や思うてすぐに警察に通報したんです。

 今まで嫌がらせをされたこともないし、こんなことをされる心当たりもない。妻はすごい嫌がるから、私も話をせんようにしている。ほんま気持ち悪い。はよ忘れたいわ」

 家の前に人が近づくとライトが点灯するようになっていたが、誰にも気づかれることはなかった。犯人は死体を放置するだけでなく、なぜわざわざ猫を埋めたのか。

 80代の近隣住民は、

「この道は行き止まりで(猫が発見された家が一番奥)、通る人も限られる。土地勘がなければ、わざわざこんなところに埋めにこんと思うんやけどな……」

 70代の主婦は、

「うちには孫がおるからな、子どもに危害を加えるようなことが起こらんか、それが一番心配。動物から人間にいくようなこともあるかもしれん」

 と不安げに話した。

 実はこの地域を含む姫路市の一部地域では、2017年〜18年にかけ、6匹の猫が不審な死を遂げているのだ。

 前出・捜査関係者の話。

「昨年6月24日には、飾磨区恵美酒の民家の前に置いてあるプランターに、生後2か月に満たない雌猫の下半身が埋められていました。同年7月16日には、背中を4センチ切られた猫を男性が発見。生存していたが、内臓がはみ出している状態だった」

 昨年7月に被害に遭った猫は、地元の寺で飼っていた猫で、『ポン助』と呼ばれていたと、副住職(35)。

「近くの檀家さんから様子がおかしいと連絡がありました。母が病院に連れて行くと、背中を垂直に刃物で刺されたような状態だったそうです。半月ほど入院し、手術も2回しました。元気になったので退院しようと連れて帰ってきたら苦しみだして、その日のうちに亡くなりました」

 第一発見者の70代の檀家の男性は、

「弱々しく鳴いておってな。背中のあたりから白いもんがぶくぶく動いとったんや。なんや、思うて近づいたら内臓がはみ出していてな。すぐにお寺さんに電話して、奥さんと病院に連れていったんです。すると獣医さんが、”これは鋭い刃物で刺されて腸まで切れとる。悪質だから警察に連絡したほうがいい”というので届けたんです」

猫の次は人間かもしれない

 通報後には警察が、現場の写真を撮ったり、近所に聞き込みをしたりと2回ほど来たという。その理由を尋ねると、

「警察は”人や子どもに危害を加えられたら大変だから、注意して捜査を進めているんです”言うてな。昔、神戸で小学生が首を切断されて殺された事件があったけど、そういう事件が起こる可能性があるかもしれない。こんなことする人間がおるんやな。ほんま、えげつないわ」(同前)

『ポン助』を傷つけた虐待犯は捕まらないまま、2018年にも、猫が殺害される事件が周辺で立て続けに起こった。

 前出・捜査関係者が続ける。

「3月22日に姫路市白浜町の駐車場で、上半身のない猫の死体を散歩中の女性が発見した。切断面が鋭利な刃物だと獣医が判断しており、人為的に行われたと捜査している。

 6月15日には、姫路市飾磨区英賀の一般家屋の駐車場の前に、頭部のない子猫の死体が置かれていました。

 9月3日には、姫路市飾磨区阿成の公園敷地内で、頭部のない雄猫の死体が発見されています。後者の2つは人為的かどうかは不明。野生動物の仕業という可能性もある」

 そして直近の事件が、冒頭の民家の花壇の猫の遺体。

 兵庫県内の動物愛護団体の関係者は、

「(姫路から約18キロ離れた)加古川で猫などの動物の虐待事件が相次いでいました。それと関連もあるのではないかと思いましたが、実際のところはわかりません。ただ、こういった事件が少しでもなくなればと心から願っています」

 と切実な声で訴える。

 明らかに人為的と思われる殺害を中心に、警察は捜査を進めているが、

「防犯カメラなどにも不審人物は映っておらず、関連があるのかどうかは今のところ不明です」(前出・捜査関係者)

 地域住民が安心して眠れるよう、一刻も早い犯人検挙が待たれる。