昭和と平成の芸能界を駆け抜けた、タレントで歌手の清水ミチコ。終わりゆく平成を前に、現代社会について緊急インタビューを敢行した!

--「平成」とはどんな時代でしたか?

「私の印象では、平成は『バブルが終わったら始まった』という感じで、日本中が『お金って大事だったんだな』ということに気づかされた時代でした。

 周囲にも『マンション買ったのにどうしよう』みたいな人がけっこういたし、撮影現場で出されるお弁当ひとつとっても、バブルってすごかったんだなあって改めて思わされましたね」

--そんなにすごいお弁当だったんですか?

「2500円くらいの叙々苑弁当とかね。それがだんだんケータリングから、おにぎりのみ、そしてお弁当なしになっていった印象です。

 それに世の中全体、スピリチュアルな感じも増えましたよね。バブル崩壊を通してお金の大切さに気づいたんだけど、でも突き詰めて考えていった結果『本当に大切なのってお金じゃないよね』みたいな」

--バブルを経験した世代と比べて、平成の若者はどうでしょう?

「今の人ってあんまり欲望がないですよね。食欲も性欲も物質欲も淡白になってて。アマチュアボクシング問題の山根(明)会長みたいな人って本当にいないです。昔は多かったんですよ、ああいうギラギラした人が(笑)。

 私たちが若いときは『あいつが車買ったからオレも持ちたい』とかあったんだけど、今の子たちは『あの人が車持ってても、私は私。自転車でいい』という感じで、決して欲を我慢してる感じでもないんですよね。『本当にいらないんです』みたいな。

 人間が綺麗な子が多いなあと思います。欲望がダサい、恥ずかしいみたいなのがあるのかもしれませんね」

--欲がないのですね。

「そういえば、コンビニとかも外国人のアルバイトがすごく増えたましたよね。今年は特にそう感じたなあ。

 こないだ羽田行ったら、お店のほとんどのスタッフが外国人でびっくりしました。遠い日本までやってきてアルバイトで稼ごうだなんて、同年代でも彼らのほうが明らかにガッツがありますね」

--ガッツが足りていないと。

「それがさっき言ったスピリチュアルにもつながってるのかもしれないし、誰がいくら稼ごうと自分は自分みたいになってるのかもしれない。

 それに、あまり飲みに行ったりしないとか、微妙な距離感もありますよね。『私も割り込まないから、こっちにも割り込まないでください』という感じなのかな。あと、電話で話すのも怖くなってるような気がします」

--今の若者はコミュニケーションがLINEなどのメッセージが主体です。

「読むか読まないか相手に委ねていて、本当に相手に対して下からですよね。上から行きがちな私たち世代の悪気ない冗談が、そういう若い人たちには引かれてしまうのもわかるなあ〜。

 だけど不思議なのが、そんな控えめでそれぞれな若者たちが、ひとたび何かあると異様な一体感が生まれて、変な盛り上がり方をするんですよね、ハロウィンとか」

--たしかに今年も渋谷が話題になりました。

「人間って太古の昔からお祭りに参加してきたわけですけど、そういう昔からあるお祭りに若者が参加しなくなって、新たなエネルギーの行き場を求めた結果なのかな。

 それと、やっぱり仮装が好きなんだなって思いました。特に男の子が。全然違う自分になることに憧れてるんだなあって。そんなところは『ネット世代』っぽいね(笑)」

--若者のネット文化が1つの世代を形成していると感じるんですね?

「ちなみに最近の若者って『テレビって途中から始まっちゃうじゃん』って言うんですって。ネットだといつでも最初から観られるからね。なるほどなと思いました」

しみずみちこ
岐阜県高山市出身 タレント・歌手・女優・エッセイストとマルチに活躍。1983年にラジオ番組の構成作家を始める。1987年『笑っていいとも!』(フジテレビ系)レギュラーになり、ファーストアルバム『幸せの骨頂』でCDデビュー。1988年ゴールデンアロー賞・芸能新人賞を受賞。現在も、全国ライブツアーや学園祭、イベントなどに出演

※1月2日に日本武道館でライブイベント『清水ミチコ・森山良子 初夢フェス in 武道館 〜ライブでアラモード〜』を開催

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