特定外来生物で有毒のクモ「セアカゴケグモ」==が今月上旬、茨城県神栖市のビニールハウス外側で見つかった。静岡県や三重県で農地での発見報告はあるものの、関東の農地では記録に残る限り初めて。個体は神経毒を持つ雌だった。繁殖の可能性や農作業中に不意に触れ、かまれる恐れもある。同市は市内全域に注意喚起を促す通知を回覧するなど、警戒を強めている。(山本一暁)

専門家 「好適な生息環境」


 神栖市の稲作農家、鳶美佐子さん(48)が台風24号が通過した今月1日、息子の正貴さん(25)と被害状況を確認しに行ったところ、育苗ハウスの外側に見慣れないクモが張り付いていた。正貴さんは「市からのメール配信で見ていた毒グモだ」と捕獲し翌日、市に持ち込んだ。美佐子さんは「まさかと思ったが、農作業中にかまれるのが怖い。クモ退治の薬をまくことも検討している」と不安を募らせる。

 農研機構・農業環境変動研究センターでセアカゴケグモについて研究している馬場友希主任研究員は「農地での発見例は相対的に少ない。静岡と三重では事例があるが、これも最近のこと」と説明する。「人が管理している農地はセアカゴケグモにとって好適な生息環境である可能性が高く、今後農地を起点とした定着・分布の拡大に注意する必要がある」と警戒を呼び掛ける。

 神栖市で初めて確認された2013年以降、22匹を超える個体がコンビナートや工業地帯などで発見され、卵も見つかっている。これまではコンテナなどに付着し、外国から侵入した可能性が高いとみられていた。だが、馬場さんは「13年からたくさんの個体が見つかっていること、さらに卵のうが見つかることを考え合わせると、繁殖している可能性は十分に考えられる」と話す。

 市民レベルでセアカゴケグモの発生動向を調査している昆虫情報処理研究会によると、国内で初めての侵入記録は1995年の大阪府だった。以降は全国各地で報告が相次ぎ、まだ報告がないのは今年8月現在で青森、秋田、長野の3県だけだ。特に近畿や東海地方からの報告が多かった。

 関東地方では05年に初めて見つかり、14年までに関東全域から発見の報告があった。最近では東京都で10日、江東区の都立シンボルプロムナード公園で確認された。同公園は東京五輪でトライアスロン競技のコースの一部にも決まっている。都の港湾局職員は繁殖を食い止めようと「園内巡回を強化し、迅速に対応していきたい」と水際対策に力を入れる。

<ことば> セアカゴケグモ

 雌だけが神経毒を持ち、攻撃性はないものの、かまれると針で刺されたような痛みを感じ、腫れて熱くなる。症状は数時間から数日で回復するが、進行性の筋肉まひを起こすこともある。雌の体長は7〜10ミリで雄は4、5ミリ。全体が光沢のある黒色で、腹部と背部に赤色の斑紋があるのが特徴。駆除するには、ピレスロイド系殺虫剤を使う他、足で踏みつぶす。