乃木坂46の22thシングル、『帰り道は遠回りしたくなる』において、BDの特典映像の個人PVが選抜メンバー限定となることが話題になっている。

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 西野七瀬のラストシングルとなる今回は、表題曲のMVの出来が絶賛されており、ネットでも上々の評判だったのだが、この件で一気に風向きが変わったかのように運営に対する厳しい批判が噴出している。

 そもそも、メンバーの個人PVというのは、乃木坂46結成以来話題となっている独自のコンテンツで、メンバー全員が主役となり、若手の、あるいは個性的な映像作家と組んで、様々な作品を生み、メンバーの個性を主張してきた、ある意味乃木坂の根幹といってもいい企画でもあった。

 中でも、PVの女王と言われていたOGの伊藤万理華は、個人PVから人気に火が付き、選抜に駆け上がっていき、さらに外部の映像作品へのオファーにも結び付いたのではないかと言われている。乃木坂の特徴である「素材感」メンバーをキャラで固定せず、可能性をアピールする非常に大切なコンテンツであった。

 今回、どのような事情があって、アンダーの個人PVをなくしたのかはわからないが、固定化されつつある選抜に、「不遇」という言葉を飲み込んで、乃木坂46を箱押ししてきたアンダーのファンが、ここで一気に離れる可能性もある、結構致命的な愚策だと記者個人は考える。アンダーメンバーが可哀想というのではなく、乃木坂の魅力であった素材感を象徴するコンテンツを壊すということに問題を感じるのである。

 まあ、うがった見方をするならば、アンダーメンバーが予想外の結果を独自で出し続けていることに、運営が対応できていないという可能性もある。

 かつては、選抜メンバーは冠番組(『乃木坂ってどこ』)に出演が約束されており、キャンペーンなどで番組出演の可能性も高いというメリットもあったが、現在の乃木坂はアンダーであろうと番組に呼ばれ、舞台で主役を張り、モデルとしてランウェイを歩き、CMにもラジオMCにも対応している。

 冠番組にも普通に呼ばれて収録に参加しており、さらにアンダーライブは毎回のように選抜を凌ぐ話題になってしまう。

 選抜とアンダーの差が縮まってしまうことで、かつて問題になった選抜入りへのモチベーションの低下や、「選抜3列目とアンダーセンターはどちらがいいか?」といった論争が起きてしまうことを嫌っての処置なのではないかという推測もできるが、それは本末転倒だろう。

 今回、卒業シングルとして西野七瀬は表題曲のセンターと、表題曲MVの主役、個人PVに卒業記念の特典映像がある。その一方で、同じ卒業でありながら、若月佑美は個人PVのみ。能條愛未に至っては、それすらない。

 西野はエースだが、じゃあ若月・能條とは、別れのときですら、ここまで差をつける必要があるのだろうか?貢献度はそこまで差があるのだろうか?ということを考えると、正直記者には疑問が残る。

 選抜もアンダーも関係なく、全員で坂を登ってきたメンバーが、こういう形で分断されてしまうのは残念でならない。