デビュー45周年のベストアルバム『ユーミンからの、恋のうた。』を引っ提げて、総製作費30億円をかけた松任谷由実(64)の全国ツアー「TIME MACHINE TOUR Traveling through 45years」が9月22日よりスタートした。

「タイムマシンツアーへようこそ! 色々な私の時代、世界を最後までどうぞ楽しんでいって下さい!」とオープニングで呼びかけ、“ユーミンさんだ象!”とばかりに、39年ぶりにステージに象を出現させた。これまでのコンサートの集大成ともいえる。

 なんだか……ちょうど1週間前となる9月15日に最後のライブパフォーマンスを行い、40歳で引退した安室奈美恵(41)を彷彿とさせたが、「私はまだまだこんなもんじゃ終わりません」と現役続行を宣言。ファンは安心したようだが、“劣化”の声は上がっている。

松任谷由実 オフィシャルサイトより

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 1972年7月にシングル「返事はいらない」で荒井由実としてデビューして以来、46年目に突入したユーミン。

 今年(2018年)4月に発売されたデビュー45周年記念ベストアルバム『ユーミンからの、恋のうた。』(CD3枚組全45曲)は、オリコン週間アルバムランキングで初登場1位を記録。これにより、アルバム首位獲得数は通算24作となり、彼女自身が持っていた女性アーティスト、男女通じてのソロアーティスト歴代最多記録を更新した。

 さらに「女性ソロアーティストのアルバム1位獲得最年長記録」を64歳3カ月に更新し、男性ソロアーティストを含めた記録では歴代2位に。ちなみに歴代1位は小田和正(71)の68歳8カ月(ベストアルバム『あの日 あの時』)、3位は矢沢永吉(69)の63歳8カ月(ベストアルバム『ALL TIME BEST ALBUM』)という恐ろしい世界である。

 そして5月には、12年11月にリリースしたデビュー40周年記念ベストアルバム『日本の恋と、ユーミンと。』(CD3枚組全46曲)が10作目となるミリオンを達成する。ミリオン10作は、もちろんソロアーティスト歴代1位である。

 なんだかベストアルバムばかりじゃねえか、などと言うなかれ。5年おきに出されたベストアルバムで、被っている曲はない。占めてCD6枚、全91曲をベストと言い切れるアーティストなどそうそういるものではない。45年のキャリアは伊達じゃないのだ。

 とはいえ、ここ数年はライブを行うたびに、“ユーミン劣化”の声も上がっている。

ライブのベスト盤

「5年ほど前からでしょうか、“ユーミンの生歌が劣化している”と言われるようになってきたのは。歌が下手なんて話ではないんですよ。それは彼女のファンどころか、夫の松任谷正隆さん(66)も認めているところです。特に今回は、あの特徴的な声の高音が出なくなっているんです。最近はツアーの終盤のほうになると、喉も荒れるのか、高音が出づらくなっていました。しかし今回は、ツアー初っ端からガラガラ声で、特に高い音はロックのボーカルのように絞り出すように歌うんです。45年も歌い続けていれば、若い頃の声を出せと言われても難しいかもしれませんが、あの歌い方は益々喉を痛めるのではないかと心配になります」(芸能記者)

 たしかにネットでは、ユーミン劣化の声は多いのだ。

「今回のツアーは、過去のステージの名場面を振り返る、ライブのベスト盤的な構成になっています。象を出したのも、79年の中野サンプラザ公演で本物の象に乗ってステージに登場した、ファンの間では伝説となっているステージ再現したもの。ユーミンのステージは、チケットが売りきれになっても赤字と言われるほど、豪華なステージで有名ですが、『レコードで儲けた分、コンサートで夢と一緒にファンの方にお返しするのが役目』と言って、彼女が“魅せるステージ”を行うようになったのはこの頃からです。今回の象は本物でなくロボットですが、目の前で伝説のステージが見られるとあって、往年のファンも大喜びでした」(同)

 一説には、歌唱力の低下で、演出に目を向かせるしかなくなった、なんて声も――。

 だが、コトはもっと深刻かもしれない。ユーミンはステージ上でこう語ったという。

〈昔からのファンの皆さんには、どこかで見たことがあるとか、懐かしいと思ってもらえるかもしれません。初めての人には、私がずっとこういうツアーをやってきたことを知ってほしい〉

 そろそろ潮時とでも思っているかのような発言。もちろん、「これで引退と思う人もいるかも……言っときますけど、私はまだまだこんなもんじゃ終わりませんよ!」とも言っているのだが。

「かつて『私は常に最新アルバムがベストアルバム。だからベストアルバムを出す必要がない』とも言っていたユーミンが、立て続けにベストアルバムを出していますからね。今年2月の苗場ライブの公演前の取材では『ユーミンのまま、死にたい』とも言っていましたし、終わりを意識しているんだと思います。パフォーマンス等の劣化は、おそらくユーミン自身が一番分かっていることでしょう。それでも“ユーミンのまま”でいるために出ない声を張り上げているのかもしれません」(同)

 声が出ない、パフォーマンスの衰え……それらすべてを全部ひっくるめてユーミンだ!との熱烈なファンの声もある。

 今後のユーミンは、彼女の生き様を見せるライブに変わっていくのかもしれない。

週刊新潮WEB取材班

2018年10月7日 掲載

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