巨人の山口寿一オーナーが2018年9月12日、都内で行われたオーナー会議後、高橋由伸監督に来季の続投を要請する意向を示した。3年契約の最終年となる今季は、12日現在、首位・広島に13.5ゲーム差をつけられての3位に低迷。クライマックスシリーズ(CS)進出も危うい状況にあるなかでの「続投要請」にネット上でも疑問の声が続出している。

監督に就任した2016年は、ペナントレースで2位の成績を収める健闘を見せたが、首位の広島に17.5ゲーム差と大きく水をあけられての2位だった。CSは第1ステージで早くも敗退し、結果を残すことが出来なかった。2年目の2017年は球団史上ワーストとなる13連敗を喫するなど、11年ぶりのBクラス(4位)でシーズンを終えた。

山口オーナーは、高橋の若手育成の手腕を高く評価するが、本来監督はシーズンを通してのビジョンを持ち、その上で戦略を立ててチームを勝利へと導くのが仕事である。若手の育成はあくまでもその一環に過ぎない。若手の育成においてコーチが評価されるのは理解出来るが、監督を対象とするのはいささか筋が違うのではないだろうか。

叫ばれる松井監督待望論

実際、高橋監督のビジョンは明確に見られず、今季の成績も振るわない。9月12日現在、4位阪神とのゲーム差はわずか1.5ゲーム。2年連続Bクラスとなれば「戦犯」に挙げられるのは必至の指揮官になぜ、フロントはそれほどまでにこだわるのだろうか。巨人の人材不足が叫ばれる中、松井秀喜氏の監督待望論は根強い。

2016年に高橋が監督に就任した際にも監督候補として挙がっていた松井氏。ファンをはじめ、低迷している野球人気回復の起爆剤として野球関係者の中で松井氏の監督就任への期待は大きい。巨人もまた、松井氏に期待を抱いているのは確かだ。巨人は今年の春のキャンプに臨時コーチとして松井氏を招へい。また、松井氏が行っている野球教室のために神奈川県川崎市のジャイアンツ球場を貸すなど、着々と環境を整えており、次期監督の最有力候補と見られてきた。

では、なぜ松井氏は首を縦に振らないのか。大きな理由は、読売グループへの不信感だろう。2003年に球団の反対を振り切り、FA権を行使してヤンキースに移籍。この移籍にともなう一連のゴタゴタは、松井氏の周囲も巻き込み一大騒動に発展した。この時に生じた読売グループとのしこりはまだ松井氏の中で拭い切れず、現在においても関係修復には至ってはいないようだ。

松井入閣なら「あの人」がまず監督に?

今後、松井氏の巨人監督はありえないのだろうか。松井監督誕生の可能性についてプロ野球の関係者は次のように語った。

「いまの状況だと、いきなり監督は難しいだろう。指導者の経験がないまま監督になるのはあまりにリスクが高い。はじめはコーチとして経験を積み、それから監督という流れがベスト。段階を踏まないと。プロの世界はそんなに甘くはない。もし松井がコーチとして巨人に戻るのならば、監督は中畑だろうね。中畑は松井が現役時代に2年間、打撃コーチとして指導したこともってお互いに信頼関係があるから。何年かコーチをやってから監督になるのがスムーズな流れだと思う」

シーズン終了後に巨人は高橋監督に正式に監督続投の要請をする。高橋監督がこれを受けるかどうかは別として、フロントが本気で若手の育成を望んでいるのならば複数年契約となる可能性は高い。松井監督待望論が上がる中、高橋監督続投を決断した巨人に栄光はあるのだろうか。