大阪府は2018年9月12日、最高級とされる「A5」ランクの牛肉として販売していたものの、裏付けがなかったとして、ステーキ店「ステーキカッポー恒(つね)づね」を運営する「恒づね」(大阪府枚方市)に再発防止を求める措置命令を出した。

同社のA5ランク牛肉をめぐっては、実際に口にした男性から「美味しくない」と苦情が寄せられていた。肉の質の違いを区別したその「舌」に、驚く人たちも――。

肉のランクを確認せずに仕入れ

大阪府によれば、恒づねは15年11月〜18年1月の期間、インターネット通販「楽天市場」でA5ランクと記載した牛肉を販売していたが、格付けを裏付ける資料が確認できなかった。業者から仕入れた肉の確認を怠っていたためだという。

恒づねは「お客様ならびに関係者各位に多大なるご迷惑とご心配をおかけいたしました」と公式サイトで謝罪。18年9月20日で楽天通販での販売を終了するとした。

同じ牛肉は、大阪府枚方市のふるさと納税の返礼品としても提供されていた。18年1月に寄付者の男性から「美味しくない。A5ではないのではないか」と苦情があり、市が調査するとA4ランクの肉が混ざっていたことがわかった。市は恒づねによる「誤送付」が原因だったとして、3月に公表していた。

今回の行政処分を受け、ツイッターなどでは、

「プロかよ...」
「モンスタークレーマーではなくて、舌の肥えた人だった件」
「一人の舌が見事に暴いたすごい話」

と、ランクの誤りを指摘した男性への賞賛や驚きが多数上がった。

そもそもランクはどうやって決まるのか

牛肉の肉質のランクは、客観的に決まるわけではなく、評価者の「目」で決まる。公益社団法人日本食肉格付け協会が「脂肪交雑」「肉の色沢」「肉の締まり及びきめ」「脂肪の色沢と質」の4項目を1〜5で評価し、最も低い数字がランクとなる。

数字が高いほど「良い肉」とされるが、肉の締まり及びきめが「かなり良いもの」なら5、「粗いもの」なら1と、主観的な評価となる。

飲食店などを手がける「松坂まるよし」(三重県松阪市)のブログによれば、ランクは、

「あくまで目安であり絶対的な基準とは言えません。売買の為に作られた基準です。牛肉の流通上必要な基準であり、お客様が美味しいか?どうかを判断するための基準ではありません」

と指摘。「実際にA5でも美味しくない牛肉はあります。また逆にA3でも美味しい牛肉はあります」という。

精肉店「肉匠もりやす」(埼玉県所沢市)の公式サイトでも、「等級が低くても美味しい牛肉というのも世の中には、たくさんあります。ここが牛肉の難しいところでもあり、面白いところでもあります」と伝えている。