by Matheus Bertelli

睡眠研究の第一人者であるカリフォルニア大学バークレー校のマシュー・ウォーカー教授は「睡眠時間が7時間未満だと早死にしやすい」と断言していますが、新たな調査によって、「睡眠時間が多すぎる人も早死にや心血管疾患を経験する」ということが示されました。8時間以上の睡眠でも死亡率の増加との関連性が示されたとのこと。

Self‐Reported Sleep Duration and Quality and Cardiovascular Disease and Mortality: A Dose‐Response Meta‐Analysis | Journal of the American Heart Association

https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/JAHA.118.008552

Keele University - People who sleep more than eight hours have greater mortality and cardiovascular risk

https://www.keele.ac.uk/discover/news/2018/august/peoplewhosleepmorethaneighthourshavegreatermortalityandcardiovascularrisk/have-greater-mortality-cardiovascular-risk.php

Sleeping More Than 8 Hours a Night May Be a Deadly Warning Sign

https://www.sciencealert.com/sleeping-more-than-8-hours-could-be-deadly

この研究はイギリスのキール大学の研究者らが、マンチェスター大学、リーズ大学、イーストアングリア大学の研究者らと共に、これまでに行われた74の研究を再調査したもの。データ元となった研究は心血管疾患の予後と死亡率について、自己申告された「睡眠の時間と質」との関係を調べており、調査対象となった人は合計で300万人以上とのこと。

再調査によって、1日に平均10時間以上の睡眠を取っている人は、平均睡眠が7時間の人に比べて早期の死亡率が30%高いことが判明しました。また、10時間睡眠の人は7時間睡眠の人に比べて脳卒中による死亡リスクが56%、心血管疾患による死亡リスクが49%高いこともわかりました。さらに、睡眠の質が悪いと冠動脈疾患になる割合が44%高くなることも示されています。



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研究を行ったChun Shing Kwok氏は「我々の発見は、『医師は患者の睡眠時間や質についてしっかりと考えるべきである』という重要な示唆を含んでいます」「寝過ぎの睡眠パターン、特に8時間以上の睡眠パターンが発見された場合、医師は心血管のリスク要素や、睡眠障害である睡眠時無呼吸症候群について調査すべきです」と述べました。推奨されている睡眠時間は7〜8時間であり、調査の結果、8時間以上眠る人は睡眠時間が7時間以下の人よりも病気や死との関連性が高かったとのこと。

ただし、データの元となった睡眠習慣は研究施設で測定されたものではなく、本人の自己申告であるため正確性に欠けるという点は留意すべきところ。また睡眠が心身に影響を及ぼしたのではなく、心身の状態が睡眠のパターンに影響を及ぼした可能性も考えられます。

このことから「8時間睡眠は早死にの原因になる」とは結論づけることができないものの、「寝過ぎ」が潜在的な健康上の危険性を持つサインであるということは言えそうです。



by Buenosia Carol