ピザを数人で分け合うためにカットする時、通常はピザの中心を通る直線で何回かカットして4枚や6枚、8枚に切り分けます。ところが、この方法だと人数が増えるにつれて1つのピースが細くなっていき、あまりにも数が増えるとまるでヒモのようなピザを食べなくてはなりません。そんな不都合を解決するべく、数学者が「みんなが平等に食べやすいピースを食べられるピザのカット方法」を発明しました。

Mathematicians invent new way to slice pizza into exotic shapes | New Scientist

https://www.newscientist.com/article/dn28743-mathematicians-invent-new-way-to-slice-pizza-into-exotic-shapes/

以前から、「ピザをきれいに12等分する方法」というものは知られていました。この方法では、まず最初に中心点で交差する3本のラインを、緩やかなカーブを描いてピザの端から端まで横切るように引きます。これで、グニャリと曲がった6つの等分なピースが出来上がりました。次に、外周とカットした線が交わる点から、中心から外周に伸びるラインの中心点まで伸びる線でカットします。これで、理屈としては「同じ形・同じ大きさの12枚のピース」が完成します。



リバプール大学で数学を研究しているジョエル・ハドリー氏とステファン・ウォーシー氏は、「ピザをきれいに12等分する方法」をさらに一般化し、さらに多くの等分なピースを作り出す方法を数学的に発明しました。まずはピザを12等分する方法と同様に、中心から外側に向かってカーブするような形のピースを作り出します。その時、ピースを五角形・七角形・九角形……という風に奇数の多角形にするのがポイント。

次に、その多角形のピースをちょうど真ん中でカットすれば、同じ大きさで同じ形のピースを量産することができます。「数学的には多角形の角をいくつに増やそうが、いくらでもピザのピースを生産可能です」とハドリー氏は述べていますが、実際にこの手法でピザをカットするためには、とてつもない技術と忍耐力が必要になることは間違いありません。現実的に考えると、最初のピースを九角形以上にカットすることは難しいだろうとのこと。

また、このカット方法だとピザの耳の部分があるピースと、耳の部分がないピースとに分かれてしまいます。「なんとしてもピザの耳の部分を食べたい」「ピザの耳をなるべく食べたくない」といった人の割合がどちらかに偏っていると、少々争いが発生するかもしれません。



さらに2人はピザをカットする時に切れ込みを加えることで、より複雑な形のピースを生産することもできると証明しました。ここまで来るともはや食べるためにピザをカットするというよりは、数学的喜びのためにカットしているような雰囲気になってきます。



残念ながらハドリー氏とウォーシー氏の頭脳を持ってしても、2人が発見した「ピザカットの多角形定理」をピザカット以外の用途に応用できる可能性は、しばらく見つかりそうもないとのこと。ハドリー氏は「今回発見したカット方法を、ピザをカットする以外の作業に応用できるかどうかはわかりません。しかし、少なくとも数学的に興味深い、素敵なピザの写真を撮ることができます」と語っています。



by Joel Haddley