中洲の東側を走る、博多川通り沿いに店を構える「うどん居酒屋 鶴」(福岡市博多区中洲)は、平尾にある和食居酒屋「Grulla」の姉妹店。7月で5周年を迎える本店でも好評の、丁寧にひいたダシを使うメニューが定番だ。「昆布などの素材もいろんな種類がある中で、オーナーが一つひとつ選んでいます。味の濃いものって他のお店にもたくさんありますから。ダシでしっかりと美味しさを伝えていければと思っています」と店主・玉栄海資さん。

【写真を見る】作り込んだダシと5日かけて仕込んだカレーを合わせた「カレーうどん」(1000円)

■ 細めの麺でお酒の後でもスルッと入る

枕崎カツオ、利尻昆布、干しシイタケ、アゴといった素材の旨味が絡むのは島原うどんと、島原にゅうめん。「飲み屋街なので、お酒の後でも食べたくなるような、スルッと入る細めの麺がいいかなと思って」と玉栄さん。「海老にゅうめん」(900円)には、ニューカレドニアの安全な海水で添加物を使わずに養殖されている「天使の海老」と、とろろ昆布、南関あげが入る。エビの味噌を溶かして食べるとまた違った味わいに。

また、これからの季節には「カレーうどん」(1000円)や、夏限定で麺つゆに浸ける冷やし素麺・うどん(500円)などダシの旨さがより味わえるうどんがおすすめだ。

■ 手間をかけて作り込んだ一品料理も外せない

また、ダシに限らず、料理のほとんどを、ポン酢やドレッシングに至るまで一から丁寧に作り込んでいる。「いい素材を活かそうとする手間なら、自分がかけられるだけ出来るのでどんどんやっていきたい。特に耳納豚を使うようになったのは大きい。すごく柔らかく、あっさりして食べやすいですよ。一品ごとに手の込んだ味わいを楽しんでほしい」と、営業中も仕込みを行っている。

毎日、夕方から翌朝9時までの15時間を玉栄さん一人で切り盛りする。「周辺のバーなどには料理の配達(1000円〜の場合のみ)も行っています。でも自分だけなので、常連さんに“ちょっと出てきます”ってお願いしたり。そんな和気あいあいの時もあれば、初めての方がいる時には電話がかかってきてもお断りするなど、その都度の雰囲気を大事にしていますね」。

オーナー厳選のクラフトビールやワイン、焼酎など豊富に取り揃え、居酒屋としても、飲んだ後の〆にも使えるとあって、中洲をよく行き来する人は、ぜひ一度足を運んでみてほしい。

取材・文=井上幹彦(シーアール)、撮影=菅祐介(九州ウォーカー・井上幹彦(シーアール))