もくじ

どんなクルマ?
ー ただよう高級感 リアはマルチリンク

どんな感じ?
ー 洗練と活気 ホットハッチは目指さない
ー 優れた乗り心地 インテリアも高級

「買い」か?
ー 快適さが魅力 選ぶならこのモデル

スペック
メルセデス・ベンツ Aクラス A250のスペック

どんなクルマ?

ただよう高級感 リアはマルチリンク

90年代に登場したAクラスは、エルクテストで被った不名誉を乗り越えて、ようやくここまでたどり着いた。高級感をただよわせる4代目は、まるでCLSの短縮版のように見える。少しお高くとまっているように見えるかも知れないが、それも良い意味でだ。


新型Aクラスには、これまでのところ、ディーゼルのA180dと、ガソリンのA200とA250がラインナップされ、すべてがオートマティック・トランスミッションとの組み合わせとなる。マニュアルギアボックス・モデルと、ディーゼルとガソリンの高性能版は、2019年登場予定だ。

国際試乗会でA180dを運転した際の議論のとおり、A200を含めた新型Aクラスのリアサスペンションはトーションビームとなるが、今回テストするA250では、標準でマルチリンクが採用されている。

どんな感じ?

洗練と活気 ホットハッチは目指さない

素晴らしい仕上がりのモデルであり、224psを発揮する2.0ℓエンジンに相応しい活気を身に付けている。

思わず選択してしまいたくなるスポーツモードでは、スムースなエンジン回転の高まりとともに、心地よいハスキーなサウンドがキャビンを満たす一方で、コンフォートに切り替えれば、驚くべき洗練と、落ち着きをこのクルマは見せる。

7速デュアルクラッチのオートマティック・トランスミッションが、急減速では慌ただしい様子を見せるが、ほとんどのシーンで、スムースな変速とともに適切なギアを選択し、パドルシフトによる操作は、マニュアルギアボックスなど不要に感じるほどの優れた反応を見せる。


洗練された乗り心地とハンドリングの、日常使いできるクルマを探しているなら、相応しい道でのAクラスはまさにうってつけのモデルだといえるだろう。

コーナーでは、見事な正確さでエイペックスを捉え、猛烈な勢いで出口へと向かう。例え、メルセデスらしからぬフィールに乏しいステアリングに不満を感じても、この見事な脚捌きをみせるFFモデルであれば、運転を楽しむのは簡単だ。それでも、よりフィールと手応えがあれば、さらに申し分なかっただろうと思わずにはいられない。

A250はゴルフGTIではないし、ホットハッチになろうとしている訳でもない。このクルマは活気溢れる小型モデル以上の存在であり、その快適さと高級なインテリアによって、クラスに新たな基準を作り上げようとしているのだ。

優れた乗り心地 インテリアも高級

英国特有の数多くのポットホールや、波打つ路面でも、このクルマの乗り心地は素晴らしい。実際、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIよりも優れているといえるほどだ。ややボディに落ち着きが足りず、サスペンションの動きに伴い若干のノイズが聞こえてくるが、正確でしなやかなダンピングによって、路面不整のほとんどを上手く吸収してくれる。

トーションビーム式サスペンションのA180dでは、快適さが大いに不足していた。小径ホイールにもかかわらず、サスペンションに洗練が足りず、特に街中ではガタガタとして落ち着かないホイールの動きが目立った。

インテリアは、その見た目も感触も素晴らしく、標準では平板なプラスティックに埋もれるようにしてセットされた小さなふたつのスクリーンが、1395ポンド(21万円)を支払って、エグゼクティブ・エクイップメントラインのオプションを選べば、その価格に見合った巨大なメディアスクリーンに替わる。


さらに1000ポンド(15万円)で、素晴らしいドライバー用ディスプレイと、まるで最高級リムジンに乗っているかのような、デジタル体験を味わうこともできる。テスト車両では、発音のアクセントによっては戸惑いをみせる場合もあったが、「ヘイ、メルセデス」と呼びかけるボイスコントロールも上手く機能していた。

一方で、実用性と室内空間にも優れるものの、リアのパッセンジャー・スペースに関しては、アウディA3の方が広く、さらに後方視界も良好だろう。

「買い」か?

快適さが魅力 選ぶならこのモデル

ハイテクとブランドに興味があり、さらに、攻め込まずとも走りで満足できるモデルを探しているなら「買い」だ。新型Aクラスは、このクラスにおけるインフォテインメントとインテリアに新たな基準を設定した。例え、同じ価格でさらに刺激的なモデルが存在するとしても、快適さでこのクルマを凌ぐライバルはいない。

3年間のPCP(個人向けリース契約)で5000ポンド(75万5000円)の前金を支払った場合、エグゼクティブ・エクイップメントラインを追加したA250 AMGラインの価格は、完全な新型モデルとしては妥当ともいえる420ポンド(6万3420円)/月となる。しかし、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIや、アウディA3のSトロニック・モデルが、月額400ポンド(6万400円)以下で選択できることも忘れるわけにはいかない。


それでも、素晴らしいルックスと、さらに素晴らしいインテリアが気に入ったなら、A250はこの優れた新型ハッチバックで最高の選択となるだろう。

メルセデス・ベンツ Aクラス A250のスペック

■価格 3万240ポンド(457万円) 
■全長×全幅×全高 - 
■最高速度 249km/h 
0-100km/h加速 6.2秒 
■燃費 16.1km/ℓ 
■CO2排出量 141g/km 
■乾燥重量 1445kg 
■パワートレイン 直列4気筒1991ccターボ 
■使用燃料 ガソリン 
■最高出力 224ps/5500rpm 
■最大トルク 35.7kg-m/1800rpm 
■ギアボックス 7速デュアルクラッチ