A氏(右端、写真・時事通信)

 TBS名物プロデューサーが、ひっそりと制作現場を去っていた。

「『逃げ恥』のプロデューサーとして知られるA氏が、4月1日付でTBSホールディングスのグループ経営企画局経営戦略部に異動した。次回作に期待がかかっていただけに、驚く声が多い」(制作会社ディレクター)

 A氏は、TBSが誇る名テレビマンだ。1988年の入社後、おもにドラマ・映画畑を歩んできた。『白夜行』『流星の絆』『新参者』など人気ドラマに監督や企画、プロデューサーとして携わり、近年では有村架純(25)が主演した『映画 ビリギャル』も担当した。

 なんといっても代表作は、新垣結衣(29)主演で話題となった『逃げるは恥だが役に立つ』だ。「恋ダンス」のブームを起こし、最終回は平均視聴率20.8%を記録。2017年のエランドール賞では、主演の星野源(37)が新人賞を、制作チームは特別賞を受賞した。

「女優として駆け出しだったガッキーを2007年に日曜劇場『パパとムスメの7日間』と映画『恋空』で起用したのがA氏。『ハナミズキ』などのヒット作で主役に抜擢し、『逃げ恥』を大成功に導いた」(芸能プロ関係者)

 近年は、ドラマの仕事に携わりつつ映画・アニメ事業部長に。2018年、A氏の肝煎りで制作された『新幹線変形ロボ シンカリオン』は、子供だけでなく、アニメファンや鉄道ファンも巻き込んだブームを起こしている。

 そんなヒットメーカーがなぜ現場を離れたのか。

「A氏は当たると感じたら有無を言わさず進んでいくタイプ。企画を不安視されても、強引に実現させてきた。一緒に仕事をするスタッフからは、『厳しすぎてついていけない。これではパワハラだ』という声が上がっていた。実際に社内外から、会社に訴えがあったと聞いている」(前出・制作会社ディレクター)

『映画 ビリギャル』は、原作に感銘を受け、すぐに監督に連絡を取り、1週間で製作を決心したという。職人気質の “制作畑” で邁進してきたA氏と、コンプライアンス重視の今の現場とで温度差が生じていた。

「A氏の異動先は、グループ会社の経営状態を管理する重要な部署だが、制作現場でバリバリやっている人が行くことは少ない。これは事実上 “左遷” 人事だ」(ドラマ制作関係者)

 A氏の異動とパワハラ、担当番組の今後の予定についてTBSに聞くと、「人事の内容や番組の制作過程については、お答えしておりません」(広報)と回答。

 奇しくも、A氏が異動したのは勤続30年の記念日だった。
(週刊FLASH 2018年4月24日号)