主要農作物種子法(種子法)が3月末で廃止されることを受け、市町村を中心とした地方議会から国会に提出された意見書が50件を超えることが分かった。都道府県が従来通り種子供給が行えるよう財源を確保することや、企業による種子開発の独占を招かないよう求める意見が多い。種子法に代わる立法の検討を訴える声もある。法廃止で種子の安定供給に向けた都道府県の役割が後退しないか、不安は根強い。

 同法は米、麦類、大豆の優良な種子の安定供給を都道府県に義務付けてきた。だが、政府は「民間の品種開発意欲を阻害している」として、昨年の通常国会に廃止法案を提出し成立。都道府県による安価な種子の安定供給が後退しかねないといった不安から、地方議会では、意見書を採択する動きが相次いでいる。

 参院では種子法廃止に関する地方議会からの意見書を、昨年11月から今月28日までに9都県から53件を受理。うち、秋田県内の市町村議会が19件と最多で、長野県が県議会を含め14件と続く。衆院も同期間で9都道県から35件を受理した他、受理手続き中の意見書が21件ある。多くの意見書が衆参両院に出されているとみられる。

 意見書では、都道府県の農業関係部局から、同法が種子生産の予算確保の根拠になってきたとの声があることから、「都道府県の取り組みが後退することのないよう予算措置等の確保を行うこと」(長野県伊那市議会)を求める声が多い。

 政府は、都道府県が持つ種子生産の知見を民間に積極提供する方針も示している。これに対しても、企業に種子開発が独占され、農家は特許料の支払いを強いられかねないとして、「地域の共有財産である種子を民間に委ねることのないよう対策を講じること」(秋田県男鹿市議会)といった声も目立つ。「場合によっては種子法に代わる新たな立法を検討してほしい」(新潟県柏崎市議会)との声もある。

 種子法廃止への不安の声は地方で強く、意見書を提出する動きは今後も拡大しそうだ。