妊娠すれば腹部が膨らむのが当然と思いがちだが、世の中にはそうした兆候が一切ないまま陣痛・出産を迎える女性も存在するようだ。このほど妊娠していることに気付かず激しい腹痛で病院へ行くと、医師から陣痛を起こしていると告げられた女性が、その数時間後に出産したという。『The Sun』『Metro』などが伝えている。

英ニューカッスル・アポン・タインに住む保育園看護師シャーロット・トムソンさん(21歳)は2015年、まさに突然の出産を迎えた。シャーロットさんは自身が妊娠していることを全く知らなかったのである。

当時19歳だったシャーロットさんはタイトなドレスを着て毎週末パーティーへ出かけ、お酒を楽しむイギリスの典型的な10代だった。2015年11月、シャーロットさんは1.4kgほど体重が増えたことに気付き普段よりも眠気を感じたが、「ずっと遊びに出かけているからだろう」と思い、あまり気にしなかった。シャーロットさんはイギリス女子の中で平均よりもスリムな体型で、そのスラリとしたスタイルは全く変わることがなかった。

ところが同年12月のある日、午前2時半頃に激しい腹痛で目覚めた。鎮痛薬を飲んで治まることを願ったが、痛みは激しさを増すばかりで次第にそれは耐え難いものとなった。

「痛みを感じてから1時間後には吐き気まで催しました。トイレに走って下着を見たら、かなり出血していたんです。生理が終わったばかりなのにと思い怖くなりました。何か深刻な病気なのではと思ってタクシーを呼んで病院へ行ったのです。」

「Northumbria Specialist Emergency Care hospital(ノーサンブリア・スペシャリスト緊急治療病院)」で検査を受けたシャーロットさんは、そのまま病棟へと運ばれた。痛みが治まらず叫ぶしかなかったシャーロットさんは、医師の「助産師と話をしなければならない」と言う声に耳を疑った。

シャーロットさんはこれまで、目立った体重の変化はおろかつわりなどの妊娠の兆候も全くなく、生理も定期的にあった。「そんな自分が妊娠しているなんて」と全く信じられなかったシャーロットさんは、思わず医師に「先生、それは何かの間違いではないですか」と聞いたほどだった。

しかしその10分後、助産師が腹部を超音波検査したところ妊娠は確実なものとなり、ますますシャーロットさんを困惑させた。

「助産師は、妊娠9か月で陣痛を起こしていると言ったのです。私の平らなお腹からは想像もできないことでした。赤ちゃんを産む準備など全くしていなかったので、パニックになってしまって。何も知らない両親がこのことを知ったらと思うととても心配しました。」

午前4時半、看護師から連絡を受けたシャーロットさんの母リンさん(50歳)と父ヴィンセントさん(50歳)は、娘が妊娠数週間で流産したため病院にいると勘違いしたようだ。しかしもうすぐ出産だとわかると、両親は初孫ができたことに大喜びしたという。

その2時間後、シャーロットさんは3,147グラムの元気な女の子「モリー」ちゃんを出産した。妊娠に気付かず、アルコール摂取をしていたシャーロットさんだったが、幸いにもモリーちゃんは健康上何の問題もなかった。

シャーロットさんによると、妊娠中に腹部が膨らまなかったのは胎児が肋骨の真下に入り込んでいたからだと医師から説明を受けたという。本人でさえも驚くこの事実に、周りも相当なショックと驚きを隠せなかったようだ。

「母は、急きょベビー服やおむつの買い出しに行ってくれました。そして私の職場にも出産したことを伝えると、かなり驚いていたそうです。なにしろ出産前日に、みんな私の平らなお腹を見ていますから。友人たちも私が出産したことを、モリーの写真を見るまで信じようとはしませんでした。」