ロシアW杯、どうなる日本代表メンバー
ポジション別最終チェック/第1回:センターバック編

ロシアW杯の開幕が、はや3カ月後に迫ってきた。3月末に欧州遠征を控えた日本代表も、ここからはW杯メンバーの選定が急速に進んでいくことになるだろう。そこで、メンバー入りの可能性を、とりわけ国内組の選手を中心に、ポジション別にチェックしていきたい。1回目は、センターバックの人選について分析する。

◆代表入りの可能性(4枠)
90%=吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)
80%=昌子 源(鹿島アントラーズ)
80%=槙野智章(浦和レッズ)
50%=三浦弦太(ガンバ大阪)
45%=植田直通(鹿島アントラーズ)
40%=谷口彰悟(川崎フロンターレ)
15%=その他

 ハリルジャパンが採用する布陣は4バック。センターバック(CB)の定員は通常、スタメン2人、バックアップ2人の計4人だ。これまでの流れを踏まえれば、吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)のスタメンは堅そうなので、争点はふたつに絞られる。もう1人のスタメン争いと4枠目を巡る攻防だ。

 吉田と長くコンビを組んできた森重真人(FC東京)が、代表メンバーから外れたのは、いまからおよそ1年前。2017年3月、アジア最終予選のタイ戦を最後に、どういうわけか招集すらされなくなった。

 その森重に代わって、次のシリア戦(2017年6月)から昌子源(鹿島アントラーズ)がスタメンの座に就いたが、昨年11月の欧州遠征(ブラジル戦、ベルギー戦)では、槙野智章(浦和レッズ)が先発の座を奪い、吉田とコンビを組んだ。

 槙野か、昌子か。

 昨年12月に開催された東アジアE-1選手権では、槙野が不参加。同時期に行なわれたクラブW杯に、浦和レッズの一員として出場したためだが、その結果、ファーストチョイスは昌子になった。

 昌子は3試合にフル出場。キャプテンも務めた。2戦目の中国戦では、超ロングシュートも決めた。槙野がわずかにリードしているかに見えた2番手争いは、いま互角の形勢に見える。

 Jリーグ開幕戦、FC東京vs浦和レッズ(2月24日)では、槙野が存在感を示した。柏木陽介の蹴ったCKに鋭く反応。同点ゴールを叩き出し、名前を売ることに成功した。


吉田麻也のパートナーは槙野(写真)か、昌子か

 浦和は昨季の途中、監督交代(ペトロヴィッチ→堀孝史)に伴い、3-4-2-1から4-3-3へと布陣を大きく変化させた。槙野のポジションも、3バックの左から4バックのCB(左)へ移動。わずか数mの違いながら、この変化が代表選考レースに好影響をもたらすことになった。

 浦和が3バックだった頃、代表に呼ばれると槙野はCBのみならず、左サイドバック(SB)の控えも同時に兼ねた。多機能型選手と言えば聞こえはいいが、そのときのプレースタイルがハリルジャパンの4バックに、きれいにハマらなかったことに原因はある。

 そんな、よく言えば便利屋的な曖昧な印象が当時はあったが、いまの槙野にそれはない。完全に払拭された状態にある。代表チームでのプレーを連想しやすい、わかりやすい選手になった。

 とはいえ、槙野は昨季のJリーグベスト11では選外だった。選手の互選で決まるこのベスト11。ディフェンダーとして選ばれたのは、昌子、西大伍(鹿島)、車屋紳太郎(川崎F)、エウシーニョ(川崎F)の4人で、そのうち3人がSBという特殊な内訳だった。

 唯一のCB、すなわち国内ナンバーワンCBとして存在感を際立たせることになった昌子。槙野の落選は、逆に際立つ格好になった。

 ハリルホジッチはこの結果をどう見るのか。次のマリ戦(3月23日/ベルギー)でスタメンを飾るのはどちらか。状況はほぼ互角なだけに見ものだ。

 吉田が泡を食いやすいタイプであることを考えると、プレーに落ち着きのある昌子のほうが、コンビとして適役のようにも見えるが。

 もうひとつの焦点は、吉田、昌子、槙野に次ぐ4枠目を巡る争いだ。

 東アジアE-1選手権で、昌子と最も長い時間コンビを組んだのは三浦弦太(ガンバ大阪)。2戦目(中国戦)、3戦目(韓国戦)にスタメン出場を果たした。

 一方、それまで代表で、三浦と4枠目を争っていた植田直通(鹿島)は、右SBとして起用された。その可能性を試されたのか、CBとしては厳しいと判断された結果なのか定かではないが、あえて植田が三浦に劣る点を挙げるならば、それはフィード力になる。CBに縦に長いボールを蹴らせたがるハリルホジッチ好みには、三浦のほうがマッチしていると見る。

 G大阪では今季、23歳の若さながらゲームキャプテンも務める三浦。同じく23歳の植田が、昌子あっての選手に見えてしまうのとは対照的だ。昌子同様、三浦には中心選手らしい風格が芽生え始めている。

 しかし、Jリーグ開幕戦で存在感を際立たせたのは、植田のほうだった。アウェーの清水エスパルス戦(2月25日)、その高い身体能力を生かしたパワフルな守りを披露。代表CBの4番手争いで、不利な立場にいる自分の状況を認識しているような、アピール度の高いプレーを見せた。

 三浦か、植田か。だが、その前に忘れるべきでないのは、実力者の谷口彰悟(川崎F)だ。東アジアE-1選手権では、2年4カ月ぶり(2015年8月、中国の武漢で行なわれた同大会以来)に代表復帰。4枠を巡る争いに割り込んでくるものと思われた。

 ただ、初戦の北朝鮮戦に先発するまではよかったが、以降2試合は出番なし。武漢で行なわれた前回大会と同じ扱いを受けた。改めて、ハリルホジッチとの相性の悪さを見た気がする。

 フロンターレ的サッカーを好まないハリルホジッチ。そこでビルドアップの起点の役を果たしている谷口に対しても、認めようとする余裕が持てないのだろう。

 とはいえ、谷口はJリーグ開幕戦のジュビロ磐田戦(2月25日)で、槙野同様、ゴールをしっかり奪っている。センターバックがアピールする手段として、ゴールほどわかりやすいものはない。それは、ハリルホジッチに届くのか。監督と合わず、実力のわりに出場機会に恵まれない選手がサッカーには多くいるが、谷口はそのひとりと言っていい。

 その他では、ユーティリティーなベテラン、今野泰幸(G大阪)を使う手も考えられるが、選択肢はその程度。中山雄太(柏レイソル)はまだ少し早い気がする。

 最後に、CBは人材豊富とは言えない、将来が案じられるポジションであることをひと言付け加えておきたい。
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