人間誰しも、つい“口を滑らせてしまう”ということがある。バツの悪い思いをするのはいうまでもない。ただこの場合、バツの悪さだけでは済まなさそうだ。

 NHK総合、夕方の報道番組「ニュース シブ5時」、キャスターはロマンスグレーに優しそうな笑みを絶やさぬ松尾剛アナ(50)。彼が13日の放送で発した一言は聞き捨てならないものだった。この日、番組はビットコインを特集。その中で三輪誠司解説委員が「今月だけで2倍近く値上がりした」と説明すると、それを受けた松尾アナはこう述べていたのだ。

「早く教えてくれれば私もちょっとくらいは……」

 上智大学教授(メディア文化論)・碓井広義氏はいう。

「本人にすれば気の利いた冗談のつもりだったのでしょう。でも、やはりこれはまずいですよ。公共放送のNHKが投機的な内容を報道する中で『私もやってみたい』などといった発言は避けなければなりません。視聴者を煽ることになってしまいますから。芸能人のコメンテーターがいうならまだしも、局のアナがいうなんてもっての外です」

松尾剛アナ

 当のNHK側は、

「今回のご指摘をふまえ、今後の番組での発言に活かしていきたい」

 というのだが、このところNHKは報道番組でも「わかったふりをしない」「親しみやすさ」を前面に出すよう、特に心がけているのだという。だがそれにしても、最近のニュース番組を見ていると、ちょっと“くだけすぎでは”と思う場面がしばしば。

「ニュースウオッチ9など、その典型です。事実を伝えるのがメインなのに、伝える側が主役になってしまっている。キャスターの桑子真帆さんの『へぇ〜』『そっかぁ』といった相槌は、親しみやすさを意識してでしょうが、正直、気さくすぎに思えてしまいます。松尾さんの発言も、お金に敏感となるこの時期、視聴者目線で語ろうと口を滑らせてしまったのでしょう」(碓井氏)

 ニュースは要点を押さえてくれれば、それでいい。

「週刊新潮」2017年12月28日号 掲載

外部リンク

「アナウンサー」をもっと詳しく