セイバーメトリクスの指標「WAR」、今季のトップ10は…

 2017年も残り5日。今年のプロ野球はソフトバンクが2年ぶりの日本一に輝き、セ・リーグでは広島が2連覇を達成。広島はクライマックスシリーズ(CS)ファイナルで敗れ、日本シリーズ進出はならなかったものの、ペナントレースではこの2球団が圧倒的な強さを見せつけたシーズンだった。

 シーズンMVPも、パ・リーグがデニス・サファテ投手、セ・リーグが丸佳浩外野手と、優勝チームで圧倒的な活躍を見せた選手が選出。では、メジャーリーグで重視される指標「WAR(Wins Above Replacement)」で最も良い数値を叩き出した選手は誰だったのか。

「WAR」とは、様々な指標を総合して、ある選手が走攻守の全てを合わせて、どれだけ勝利に貢献したかを評価するもの。「控えレベルの選手が出場する場合に比べて、どれだけチームの勝利を増やしたか」を表している。「WAR」が1であれば1勝分、2であれば2勝分の貢献を果たしているということになる。逆に、「WAR」がマイナスの数値になることもある。現在のメジャーリーグにおいて最も重要な指標の1つで、MVP投票の権利を持つ記者も重視している。

 それでは、DELTAが独自集計した今季のWARで、セ・パ両リーグの投手・打者別トップ10を見ていこう。(小数点第2位以下は四捨五入、所属は2017年)

【セ・リーグ】

▽野手
1、丸佳浩外野手(広) 8.9
2、坂本勇人内野手(巨) 6.0
3、田中広輔内野手(広) 5.9
4、鈴木誠也外野手(広) 5.5
5、ホセ・ロペス内野手(De) 4.3
6、ケーシー・マギー内野手(巨) 4.1
7、桑原将志外野手(De) 4.1
8、上本博紀内野手(神) 3.9
9、菊池涼介内野手(広) 3.9
10、山田哲人内野手(ヤ) 3.9

▽投手
1、菅野智之投手(巨) 6.8
2、マイルス・マイコラス投手(巨) 6.8
3、ランディ・メッセンジャー投手(神)4.3
4、田口麗斗投手(巨) 3.7
5、大瀬良大地投手(広) 3.4
6、野村祐輔投手(広) 3.4
7、小川泰弘投手(ヤ) 3.3
8、秋山拓巳投手(神) 3.3
9、薮田和樹投手(広) 3.1
10、井納翔一投手(De) 3.0

 走攻守全てで貢献度の高い丸は断トツの数字。WARで見ても、MVP受賞は妥当と言えそうだ。野手では、広島の選手がトップ10に4人も入っている。打撃不振に苦しんだ山田もWARでは10位の数字を出した。

 また、WARは野手のほうが高くなるが、投手では、沢村賞に輝いた菅野に加え、マイコラス、田口と巨人の先発3本柱がトップ4までに入った。こちらも、大瀬良、野村、そして最高勝率の薮田と広島勢が3選手入った。

サファテも救援ながら健闘、パの断トツ1位は…

【パ・リーグ】

▽野手
1、秋山翔吾外野手(西) 8.1
2、柳田悠岐外野手(ソ) 6.6
3、浅村栄斗内野手(西) 5.2
4、西川遥輝外野手(日) 5.1
5、源田壮亮内野手(西) 4.8
6、今宮健太内野手(ソ) 4.7
7、近藤健介捕手(日) 4.3
8、茂木栄五郎内野手(楽) 3.8
9、山川穂高内野手(西) 3.7
10、松田宣浩内野手(ソ) 3.5

▽投手
1、則本昂大投手(楽) 7.4
2、菊池雄星投手(西) 6.6
3、岸孝之投手(楽) 5.1
4、野上亮磨投手(西) 4.9
5、美馬学投手(楽) 4.3
6、千賀滉大投手(ソ) 4.1
7、山岡泰輔投手(オ) 3.9
8、リック・バンデンハーク投手(ソ) 3.9
9、東浜巨投手(ソ) 3.6
10、デニス・サファテ(ソ) 3.6

 野手では、長打力も上がった秋山が断トツ。丸と同様、こちらも走攻守全てにおいてチームへの貢献度は高い。2位の柳田にも1.5の差をつけた。ハイレベルな守備、走塁に加え、打撃でも上々の結果を残したルーキーの源田が5位。また、わずか57試合の出場ながら打率.413の近藤が7位、78試合の出場ながら後半戦に大ブレークした山川が9位となっている。西武は4選手が入った。

 投手では、4年連続奪三振王の則本が1位。最多勝&最優秀防御率の2冠に輝いた菊池を抑えた。西武からFAで巨人に移籍した野上は4位。ルーキーの山岡も7位と健闘している。

 また、優勝したソフトバンクは4選手がランクイン。先発投手に比べてイニング数、奪三振数が少なくなるクローザーのサファテが10位に入った。救援投手はWARでは不利なはずだが、ここからも圧倒的なパフォーマンスを見せていたことが伺える。従来の日本記録を大幅に更新する54セーブはまさに金字塔だった。

 WARで見れば、MVPは丸と秋山ということになる。ただ、異次元の投球を続けたサファテの受賞に異論を唱える人は少ないだろう。それだけ、今季のプロ野球において「キング・オブ・クローザー」の存在感は絶大だった。(Full-Count編集部)