テレビ朝日がアニメコンテンツの充実化に莫大な制作費を投入している。
 昨年、国内公開映画で歴代4位、興行収入249億円を記録し社会現象にもなった『君の名は。』を、来年1月に地上波で初放送することを決めたのだ。
 「目標はズバリ、日本テレビのジブリアニメやアンパンマン、ルパン三世などの人気アニメ作品を抱えることです。アニメ作品は実に息が長い。しかも、一発当たれば半永久的に収益を見込めるんです。テレ朝は、局を挙げて映画『君の名は。』の監督・新海誠を抱え込もうとしている。これは、かつて日テレが宮崎駿をサポートしたのとまったく同じ手法です」(制作会社幹部)

 そんなテレ朝の本気度が伝わってくるのが、放送権料購入代だ。
 「一部メディアが10億円なんて書き飛ばしていたが、実際は20億円以上になる。サッカーW杯の中継権にも匹敵する金額です。そもそもテレ朝は、昨年末から新海監督を抱え込もうと着々と準備を進めてきた。過去の作品『言の葉の庭』、『秒速5センチメートル』を7月に同局で一挙放送したが、このアニメの権利も計5億円。国立新美術館で開催中の『新海誠展「ほしのこえ」から「君の名は。」まで』の協賛にもテレ朝は出資している。あわよくば、このまま新作をテレ朝で制作してほしいという意向があるようです」(映画配給会社プロデューサー)

 もう一つ、他局を驚かせたのが株主でもある東映に対する対応だ。
 「テレ朝は『相棒』や『科捜研の女』や2時間ドラマの制作を東映に依頼していた。だが、今回は『君の名は。』で東宝にン十億円の出資を行ったのに等しいわけです。東映と大揉めになるかと思いきや、まったく起こらなかった。テレ朝の仕切り能力は半端ないということですよ」(映画事情通)

 地上波で初放送されれば、最低視聴率20%超えは確実視されるコンテンツ。視聴率1位の日テレに危機感が漂っている。