謎多き美女――。北川景子が映画『探偵はBARにいる3』で演じた岬マリという役柄は、公式サイト上でそう説明されている。言うまでもなく魅力的なヒロインなのだが、特筆すべきは彼女がヒロインとして自らまぶしく輝く以上に、大泉 洋が演じる主人公・探偵のカッコよさをグイグイと引き出しているという点である。人々の視線を引き付けずにいられない強烈な美しさと存在感を備えながら、不思議と横に並ぶ共演者の魅力を際立たせる。そこにこそ、ただの美女ではない女優・北川景子の真骨頂がある。

撮影/平岩 享 取材・文/黒豆直樹 制作/iD inc.

ファンだったシリーズの出演オファーを受けて…。

大泉 洋さん演じる、ススキノの“プライベートアイ”を自認する探偵が、個性的な依頼人からの依頼を受け、さまざまな事件に巻き込まれていく『探偵はBARにいる』シリーズ。今回、北川さんは3代目のヒロインを演じていますが、もともと、このシリーズのファンだったとか。どんなところに魅力を感じていらっしゃいましたか?
大泉さんの探偵と松田(龍平)さんが演じる相棒・高田の掛け合いがすごく好きなんです。あとは、探偵がどんな依頼であっても最後まで投げ出さず、解決しようとしてくれるところも、男気があって素敵だなと。
そんな大好きなシリーズの最新作に、ヒロインとしてオファーが届いたときは…。
うれしかったです! まず続編が作られるということがうれしかったし「その出演の話がきてるんだけど…」と言われて、台本を読まずにすぐ「やります!」と言いました。
今年の2月のクランクイン前に、都内で制作発表記者会見がありました。その場が大泉さん、松田さんとの初対面だったそうですね。
そうなんです。もし別の場所でお会いしていたらまた違ったかもしれないですけど、私も『探偵』シリーズのふたりとして会うので、顔を合わせた瞬間に「あ、探偵と高田がいる!」って感じで(笑)。会見の進行の説明を受けながら、あと10分くらいで会見が始まるというときにお会いして「スゴい! 『探偵はBARにいる』なんだ」って実感しました。
その日、何かお話をされたりは?
これまでの撮影のことなどを聞いたんですけど「まあ、とくにルールはないんで。こんな感じだよ」って言われました(笑)。
「こんな感じ」(笑)。実際の会見でも、松田さんが「まだ脚本、読んでないんで…」って告白して、大泉さんに突っ込まれて…と、まるで映画さながらのやりとりがありましたね。
だから「こんな感じ」って言われてわかるんですよね。あぁ、そんな感じねって(笑)。やっぱり、あのふたりの掛け合いってスゴいです。台本で、何てことのない普通のやりとりとして書かれているのに、完成した映画を見ると「うわっ、このふたりがやるとこんなに面白くなるんだ!」って。文字で理解した情報とまったく印象が違うんです。
その探偵に深く関わるのが、北川さんが演じた謎の女・岬マリですね。探偵が捜索の依頼を受けた、失踪した女子大生の行方にも関係している、モデルエージェンシーのオーナーの美女という役どころです。
最初に脚本を読んだとき、歴代のヒロインの中でも出番が多いなと思いました。とくに探偵、高田と3人のシーンも多いんですよね。最初、マリは“謎の人物”という立場で物語に登場するんですけど…。
事件にはマリの愛人であり、表向きは札幌の経済界のホープと言われるも、じつは裏で暴力団ともつながっている北城仁也(リリー・フランキー)が深く関わっていて、物語が進む中で、マリの立場もめまぐるしく変わっていきますね。
探偵とヒロインの距離が近いのも、今回の作品の特徴だなと思います。その中で、これは歴代のヒロインとも共通しているんですけど、どこか憎めない魅力を持っていて…。
すでに予告編で出ている情報で説明すると、じつは探偵とマリは過去に会ったことがあるんですよね。その過去と現在の時間の流れ、さらに現在パートだけでも、マリの印象はシーンごとにガラリと変わります。こうした役の幅の広さを表現するのは、かなり難しかったのでは?
クライマックスのエキストラさんがたくさんいる状態で、マリが銃をぶっ放すシーンがあるんですが、まずそこが自分の中で一番大きな山場だなと思っていました。そこがきちんとやれたら、うまくいくはずだって。
なるほど。
それと、数年前に探偵に会ったときに言われた「命を燃やすもの」という言葉がずっと心に残っていて、その対象となるものを探している人なんだということ。「命を燃やすもの」――それはマリを演じるうえでどのシーンでも、ずっと軸として心に留めていました。

味方なのか、敵なのか…マリの“謎の女”感を追求した

予告編を見るだけでも、不敵に笑う姿に、楽しそうにはしゃぐ姿、鬼気迫る表情で銃を構える姿、泣きそうな顔で助けを求める姿など、シーンごとに別人のようなマリの姿が垣間見えます。
私自身も「え? この人、どんな人?」となりそうなくらい、いろんな表情を見せないといけないところで、先ほども言いました「命を燃やすもの」というものがすべてをつなぎ止めてくれていたのかなと感じます。それがあってこそ、銃のシーンでも思い切って、激しく暴れることができたのかなと思います。
観客は物語を追いかける中で、「この女は何者なんだ? 悪女なのか、それとも…?」と探偵と同様にマリに振り回されることになるかと思います。シーンごとに観客にどういう印象を与え、どう受け止められるように見せるのかということも意識しましたか?
かなり意識しましたね。ここまで気を遣ったのは初めてというくらい考えました。悪女にしても「こいつ、何か事情があるのか?」と見せるのか? それとも見る人が嫌になるくらいの悪女として見せるのか? そこは監督もすごく気にして「もうちょっと悪女っぽく」「含みを持たせて」と、何パターンも撮っていきました。
以前、ある記事で北川さんが普段、主演を担うことが多い中で、脇を演じる俳優さんの高い演技力、存在感に主演として輝かせてもらっているのを感じるとおっしゃっているのを拝見しました。その意味で、今回、探偵がすごくカッコよく見えたのは、北川さんが演じたマリがいてこそだなと。
そう言っていただけてすごくうれしいです! 完成した映画を見て、私がまず感じたのは「あぁ、探偵がよりカッコいい大人になって帰ってきた!」ということだったんですよね。
単にハードボイルドでクールなだけでなく、時にマリに翻弄され、時に叱り、「こいつは何者なんだ?」と思いながらも、ほっとけずに依頼を完遂しようとする姿がすごくカッコいいですよね。
あれ? 今回は探偵が、ちゃんと探偵してるじゃんって(笑)。それはマリに本気で向き合ってくれて、振り回されたり、命を狙われたりしながらも、ほうっておかないで一緒に行動してくれたからですよね。それを「マリのおかげ」というのはおかしいですけど(笑)、その一翼を担えたのならうれしいです。観覧車のふたりきりのシーンとかいいですよね! シリーズを通じて一番カッコいい探偵なんじゃないかなって思います。
そのカッコよさを引き出したのは、間違いなく北川さんだと思います。“謎の美女”という役の説明からは想像もつかないような、心の揺れや深い内面を表現されていたと感じます。
心の揺れ動きは常に意識していました。はかなさともろさと大胆さ――そのすべてがマリの中にはあるんだと感じていて。すごく難しい役でしたが、壊れそうで…だからこそ、探偵が「守ってやらなくちゃ」と思うような女性になれたらと思って臨みました。そうなっていたらうれしいです。

「悩んでいても仕方がない」と考えられるようになった

ここまでのお話でも、女優という仕事を楽しんでいる様子がうかがえます。10代で芸能界入りし、31歳になったここまで、仕事もプライベートも充実していて、はたからは「順風満帆」と見られるかと思います。ご自身の中でここまでの道のりを振り返ってみて、いかがですか?
おっしゃるとおり、順調だったなって自分でも思いますね。もちろん、自分の中ではいろんな葛藤や苦悩もありました。贅沢な悩みですけど「まだまだ新人なのに、こんなに大きな仕事を任されてどうしよう…。正直、荷が重い」とか。自分の演技力やお芝居で悩んだこともありました。
周囲にはなかなか見えづらい部分かと思います。キリッとカッコよく、困難を乗り越えていく“強い女性”のイメージで見られる部分も多かったと思いますし。
「もっとこういう役もやってみたいのに…」と悩んだり、なかなかうまくいかない時期もありましたし、プライベートも含めて「あの時期は最悪でした! しんどかった…」という時期もありますよ(苦笑)。でもやはり恵まれていたし、周りの先輩方や事務所のサポートがあって、順調にここまで来させてもらえたんだな、と思いますね。
なるほど。
何より、いまここにこうしていさせてもらえるということが、順調にここまでやってこられたという証なんだな、と思いますし、感謝の思いが強いです。
ご自身の変化…とくに30代になって、プライベートでも結婚という大きな出来事があって、それらも踏まえての変化はどのように受け止めていますか?
つらいことは忘れるようになってきましたね(笑)。若い頃は思い悩みすぎて、「私って何でこうなんだろう…」って考えてしまっていましたけど、30歳になったあたりで変わったなと思います。
忘れる術を覚えた?
仕事を10年以上続けてきたという自信も持てるようになったし、悩んでも仕方ないなって思って、違うことをやってみようとしたり…。そういう意味でやっぱり、この数年で、肩の力が抜けるようになったのかなって思いますね。
北川景子(きたがわ・けいこ)
1986年8月22日生まれ。兵庫県出身。O型。高校在学中にモデルとしてデビューし、2003年にはミスセブンティーンに選出。同年女優デビュー。2006年に『間宮兄弟』で映画デビュー。ドラマ『謎解きはディナーのあとで』(フジテレビ系)、『悪夢ちゃん』(日本テレビ系)など、映画化もされた人気シリーズに出演。そのほかのドラマ出演作は『HERO』第2シリーズ(フジテレビ系)、『家売るオンナ』(日本テレビ系)など。2018年放送のNHK大河ドラマ『西郷どん』に篤姫役で出演予定。

    出演作品

    映画『探偵はBARにいる3』
    12月1日(金)全国ロードショー
    http://www.tantei-bar.com/

    サイン入りポラプレゼント

    今回インタビューをさせていただいた、北川景子さんのサイン入りポラを抽選で1名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

    応募方法
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    受付期間
    2017年11月29日(水)13:00〜12月5日(火)13:00
    当選者確定フロー
    • 当選者発表日/12月6日(水)
    • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、発送先のご連絡 (個人情報の安全な受け渡し) のため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
    • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから12月6日(水)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき12月9日(土)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
    キャンペーン規約
    • 複数回応募されても当選確率は上がりません。
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