近年、恋愛のパワースポットとして人気を集め、多くの参拝客でにぎわう東京大神宮(東京・飯田橋)。その境内に「強気」「ブレない!!!」「勇気!!!」と書かれた、気合い入りまくりの熱い絵馬を掲げたのはジョージ、みの、ジローの3人からなる人気YouTuberグループ、カリスマブラザーズ。これまでアメリカのシアトルで活動してきた彼らだが、7月に日本に帰国。拠点を東京に移し、さらなる飛躍を目指す! チャンネル登録者数は80万を超えた。カリブラ第二章の展望は?

撮影/平岩 享 取材・文/黒豆直樹 制作/iD inc.
ヘアメイク/Hitomi Haga

日本のトレンドを追えない状況を目の当たりにして

前回、ジョージさんが日本に一時帰国された際に取材させていただき、記事が掲載されたのが3月の終わりでした。そこから数ヶ月で急展開を迎え、アメリカの拠点を引き払い、日本で活動されることになったわけですが、まずはその経緯についてからうかがっていきたいと思います。
ジョージ 帰国したのは7月ですね。まず単純に、僕が向こうの大学を卒業するタイミングでふと考えたとき、もうこれ以上アメリカにいる理由はないんじゃないかって。
みの YouTuberとして活動する中で、アメリカと日本の距離…僕らの活動を見てくれるファンとの物理的な距離をずっと感じてたんですよね。ファンと近い距離でやってみたいという思いは前々からあって。
ジョージ あと、なかなか日本のトレンドに寄り添えないんですよ。「恋ダンス」って何? え? 何のドラマ? って(笑)。
▲ジョージ
▲みの
▲ジロー
ジロー ガッキー(新垣結衣)はわかりますよ。でも星野 源って誰なの? って。
みの おいおい、保田 圭、モー娘。やめたのかよって。
ジョージ・ジロー いやいや、それは古すぎだろ!(笑)
ジョージ まあとにかく(笑)、日本のトレンドをつかめなさすぎて、そういう話を3人でしたときに「あれ? 俺らアメリカにいる必要ってある?」「いや、日本で活動すればいいんじゃない?」「じゃあ帰ろうか」って流れになったんですよ。
みの もちろん、個々人でいろいろ事情はあるんですけど。俺の場合、この2年間くらいずっと、年に5〜6回は日本に戻って来ていて、2ヶ月間同じ場所にいたことがないような不安定な状況だったんです。
みのさんは、音楽活動にもかなり力を入れられていますが。
みの でもそういう状況だと、長期的なスパンで何もできないんですよ。ライブをするにも、レコーディングするにも。
ジョージ アメリカが拠点で、仕事でちょこちょこ日本に来る…となると、メンタル的にも肉体的にもかなりきつかったね。東京とシアトルを行き来すると、時差で1日を失っちゃうし。
ジロー というか、この中で俺は2年くらい前から「帰ろうか」って言ってたんですよ!
ジョージ むしろ、こいつ(ジロー)が一番、帰りたがらない派なんじゃないかと思ってたら、話し合いの段階で「いや、前から(帰りたいって)言ってんじゃん」って(笑)。
みの 言ってたね、たしかに(笑)。
ジロー 僕らの活動をしていくうえでは、日本のほうがやりやすいんじゃないかとは思ってました。
みの そこからいろいろ整理をして…。
ジョージ 家の契約のこととかね。考えてみると、じつはその半年くらい前から帰国する空気を感じてたのかもね。1月29日に出演した『U-FES.プラス!』(※UUUMのYouTuberによるライブイベント)あたりかなぁ?

公共料金の支払いに苦戦…? 日本での生活はチャレンジ

まさに前回、ジョージさんに取材させていただいたのは、『U-FES.プラス!』に出演された直後でした。その頃から薄々、帰ってくることになるんじゃないかと感じていらっしゃったんですね。数字的な伸びや観客の反応から「日本に拠点を移してもやっていける」という自信、手応えがあったのでしょうか?
ジョージ そこは未知というか挑戦でしたね。これまで「アメリカを拠点に」ということを掲げて、そこを強みとして活かしながらやってきた部分も確実にあったので、不安もありました。もちろん、それがなくても俺らはやっていける! という思いもありました。何より、日本で生活するっていうのが久々で、まずチャレンジでした。
みの そもそも、3人とも18歳で日本を出て、あっちに渡ったから、大人として日本で生活したことがないんですよ。その経験って、けっこう大きくて。
ジョージ 勝手が違うよね。アメリカで全部解約したから、日本に帰って携帯を買いに行ったら「乗りかえですか?」って言われて「違います」と。「いまお使いの携帯は?」「ありません」「え?」って(笑)。そんなヤツいんのかって感じで戸惑われ、こっちも戸惑う。
タイムスリップしてきた昔の人みたいな?
ジョージ ホント、そんな感じですよ。「26歳? 社会人でいらっしゃいますか?」って聞かれました。ガスとか電気とかも、どこにどう連絡して、どうやって支払えばいいのかわからず、一度、止まったこともあるし…。
ジロー 俺、コンビニで払うことを覚えたよ。
ジョージ お前、コンビニ派か? やるなぁ…。
みの 俺は、まだ支払いの仕方がわからないよ。郵便受けを注意して見ておかないと…。というのも、住むところがきちんと決まったのがつい最近で、ようやくって感じなんです。
まだまだ生活が「落ち着いた」とは言えない状況なんですね。そんな中で、それでも帰国後から、毎日必ず動画はアップしているんですね。
ジョージ それは帰国前から決めていました。なので、ある程度はストックを持った状態で帰国したんです。
みの 10本くらいは撮っておいたよね。
ジロー 10日分あれば、住むところくらいは余裕で決まるでしょって思ってたんだよね(笑)。
みの そしたら全然、決まらない!(苦笑)
ジョージ みのはとくに、音楽関係の荷物もあったりして、ひとりだけ帰国が遅れたんですよ。それもあって、なかなか3人そろわないし、撮影はUUUMのオフィスばっかりで…(苦笑)。落ち着かない日々だったね。
ジロー しんどかったね。最近になって少しずつ、落ち着いてきたかな…。

カリブラ内での流行が動画のネタに表れやすくなる…?

先ほど、ジョージさんの言葉にもありましたが、いままで「アメリカ在住のYouTuber」という部分を活かしつつ活動されてきましたが、帰国後はネタにも変化が?
ジョージ アメリカという要素に頼らなくなったことで、それぞれ個人のキャラクター性に特化して、僕ら自身が好きなもの、夢中になっているものを前面に押し出した作品が増えたと思いますね。
とくにジョージさんで言うと…?
ジョージ 俺は…リーダーなんだけど、“ダサい! でもチャラいオッサン”ってキャラが確立されてきたような(笑)。ネタの中でも身長をイジられたり…。
みの 「オッサン」ってヤバいな(笑)。あ、でもこの夏の2ヶ月くらい、ジョージはずっとズボンを2着しか持ってなかったんですよ。
ジロー こういう取材のときとかも、ずっと同じだったよね。
みの ファンからもらった水色のガイコツの柄の短パンか、グレーの短パンに上はスウェット。途中で「もしやこいつ…」って気づいたわ。
それは帰国の折に、船便で送った荷物がまだ届かなくて…といった事態ではなく、単純に2着しか持っていなかったから?
ジョージ そこでね、初めて気がつきました。あぁ、俺、ファッションはあんま気にしてねえんだなって。…でも、俺の究極の目指すべき人物はスティーブ・ジョブズだから。同じシャツとズボンを何セットも持っていればいい。朝起きて、服のことを考えるのはめんどくせえ!
みの 一応、カリブラの“イケメン”担当なんだから、もうちょっと頑張ってよ。
ジローさんは帰国後の変化などはいかがですか?
ジロー まあ変動はないですね。普通にデブだし、肌きたねえし(笑)。
ネット上で、ジローさんがいまをときめく人気俳優の高橋一生さんに似ていると言われているのは知っていますか?
ジロー あぁ、はい、知ってます。(ネットの声は)認識はしてました。
ジョージ 言われだしたときは「誰やねん!」とか言ってたじゃん(笑)。
みの いやぁ、なかなかそこまで情報がね。
ジロー しばらく言われ続けて「あぁ、引っ越し屋の佐引先輩かぁ」って。
フジテレビの月9ドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』で、高橋さんが演じていた役柄ですね。って「アメリカで情報が入ってこない」と言いつつ、佐引先輩で認識したんですか?
ジロー そこから徐々に全貌がわかってきて…まあ、似てると思ったことはないですけど(笑)。
ジョージ そういうのはまさにアメリカにいると疎くて…。まず(高橋一生の)名前の読み方すらわからなかったですし! ほかにも、女子高生とかがハマっているものってあるじゃないですか。いまだったら、写真や動画を加工するスマホアプリ「SNOW」とか。アメリカにいたら、いまだに認識してなかっただろうね。
みの 古い話だけど、Twitterを始めたのさえかなり遅かったしね、俺ら。YouTuberはTwitterをやるものなのだと知らず…。しばらくして(YouTuberの)東海オンエアに会ったとき、「え? (アカウントを)持ってないの?」って(笑)。
ジョージ あのときも「ありえるか? そんなこと…」って反応だったよね。
Twitter社の本社はサンフランシスコですよ。アメリカの西海岸に拠点を置きながら…(笑)。
ジロー そんなの流行ってるんだ? って(笑)。
ジョージ そういうところで、YouTuberとしてトレンドを追っていかないといけない部分があるというのは、帰ってきて変化として強く感じてるよね。面白いCMとかね。
ジロー それこそ、キングカズ(三浦知良)さんとYouTuberたちがコラボしたCMとか、普通にうらやましかったしね。アメリカにいると、さすがに声がかからない…。
ジョージ 「恋ダンス」をはじめしゃちょーがやったときもね。アメリカにいると、物理的な距離のせいで声をかけてもらえないけど、コメント欄に「やっぱりカリブラは嫌われてるんだ」とか書かれてたし。ちげーわ!(笑)
みの それのために3人分、渡航費が出るわけないし!
みのさんは、帰国後の変化はどんなふうに感じていますか?
みの さっきジョージも言ったけど、3人のそれぞれの色、そのときにハマってるものがネタにも思いきり表れるし、それは常に変化していくんですよね。ついこのあいだまでは、勝 新太郎ブームが来てたんですよ(笑)。
時代劇『座頭市』などでの俳優、監督としても知られる勝 新太郎ブーム…?(笑)
ジョージ タバコを吸いながら「タバコはやめた!」と言ったり(笑)。
みの 「ビールがうまい。オレンジジュースみたいな」とか(笑)。あと、僕のほうはもうすぐソロの音楽プロジェクトが始まります。ここ数年、アウトプットする機会がなく、溜め込んできたものが、ようやく発表できるなという感じです。
東京を拠点に、しっかりと腰を据え、足場を固めたうえでの活動が展開できそうですね。
みの これまでできなかった、長い時間をかけて何かを醸造していく。しっかりした土壌で、みなさんにちゃんと伝えていくことができるんじゃないかと思います。

多くの人に見てもらえる、納得のいく作品作りをしたい

カリスマブラザーズをシアトルで結成し、数年にわたって右肩上がりで活動されてきました。東京に拠点を移して、この先の展望、目標や夢の変化などはありますか?
ジョージ 売れてない時代の、上に這い上がっていくときのハングリー精神ってハンパなかったですからね。「やらなきゃ死ぬ!」くらいの思いで。その頃と同じハングリー精神がいまあるか? と聞かれたら、正直、それはないと思う。でも視野は広がってると思います。
上を目指すだけでなく広く?
ジョージ ここまで育ててきたチャンネルをもっと大きくという思いはもちろんあるけど、単にYouTube上だけでなく、音楽活動もそうだし、生のイベントにももっと行けるぜ! という気持ちは強い。そういう意味で熱量そのものは変わってないけど、質と方向性が変わったのかな。
ジロー 質はこれからも上がり続けるし、方向性は常に変わり続けるんだなって。
みの やっぱり芯にあるのは「好きなことをやってる」ということ。そこは変わらないですね。
帰国したことで、イベントも出演しやすくなったし、ファンとのつながりもより濃密なものになっていくのでは?
ジョージ そこはホント大きいです。
ジロー なんだかんだ、生のイベントが大好きだからね。
数字的な目標はありますか?
ジョージ 年内にチャンネル登録者数100万人突破!
みの いま(※取材が行われたのは10月中旬)80万弱だから、あと20万ちょっとね。
ジョージ そこは目標として頑張りたいねって話はしてるんだけど、とはいえ100万を超えたら何がどうなるってわけでもね…。
ジロー そこで変わるものは何もないだろうね。
ジョージ 大事なのはそれぞれのネタの再生回数だからね。登録者数が多くても、毎回、再生してくれる人が少ないんじゃキツい。そこはしっかりと、納得のいく作品を作って「これがあるからカリブラは100万まで行けたんだ」というものをしっかりと確立したいね。
みの これからって意味で最近、僕の中で可能性を感じるのは、ロケスタジオを借りて、セットを作ったうえでの企画。いままで、家の中とかで撮影することが多く、それはある種のYouTuberらしさと言えるけど、また少し違うことをやりたい。TVのコントなんかともまた違うもの、これまでやってないタイプのものをやれたらいいな。
ジロー もっと地方での企画もやりたいよね。
ジョージ 俺、広島に行きたいの! ずっと言ってるけど。いや、その気になればいつでも行けるんだけどね。帰国してバタバタして、その一歩がなかなか踏み出せず…(苦笑)。
現在、作品作りの流れはどのように?
ジロー ドッキリ以外は、基本的に3人で会議で話し合って、誰かが出したネタに肉づけしていく感じですね。
ジョージ ただ、それも最近さっきから言っているようにそれぞれのブームが濃すぎて、ファンに伝わらない動画ができちゃうので(苦笑)。随時、マネージャーにも会議に参加してもらって、一般的に見てどうかって判断してもらってます。
ジロー 「ちょっとこれはニッチすぎるから」…とか言われたりね(笑)。
みの 「平成の勝 新太郎は誰だ?」選手権とかもアイデアに出したね(笑)。
また勝新…(苦笑)。YouTubeに熱狂する10代の多くは勝 新太郎を知らないですし!
みの 誰が中村玉緒さんの役をやるのか? で盛り上がったり…(笑)。
ジョージ そういうのを阻止するために、マネージャーを入れてるんですけど、マネージャーは僕らより年上なんですよ。だから、よく考えるとおかしいよね?(笑) 若い子たちがついてこられるかどうかの判断を、自分たちより年上にしてもらうって…。
ジロー あとガルフィーね。わかります? ガルフィー。犬が骨をくわえているマークのファッションブランドです。
みの 地方のお兄ちゃんとかが着てるのをよく見るよね。それを、帰国後に誰かが持ち込んだんですけど。
ジロー 一周回って、これはいまカッコいいんじゃないかって(笑)。なぜかみんなで、中古で即買いまくってね。
ジョージ 俺ら、どうしてもそこはグルっと一周回っちゃうよね(笑)。
広島に行くには一歩が踏み出せないのに、ガルフィーは即買いなんですか…?
ジョージ ガルフィーは躊躇せずに一歩が出たね(笑)。
みの とりあえず1枚じゃなく、すでに複数着持ってるからね(笑)。
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