美容外科・高須クリニックの高須克弥院長が、所属する米国美容外科学会(AACS)から「追放」された――米国のユダヤ人人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター(SWC)」が、そんな情報を公式サイトに掲載した。だが、当の高須氏はこの事実を強く否定した。

高須氏はさらに「気分がわるいので『いま退会する』とAACSに今メールした」と、自ら学会を去ることにした旨も報告。一体何が起きているのか。高須氏はJ-CASTニュースの取材に「処刑されるくらいなら自決する。これは美学です」と一連の経緯を明かす。

「変だな?僕にはいまだに何の連絡もない」

SWCが2017年11月8日に公開した記事には、「AACSが学会最重要メンバーの1人である高須克弥医師を追放したことを、SWCは称賛する。彼はソーシャルメディアを使い、公然とアドルフ・ヒトラーを賛美し、ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)と南京大虐殺を否定していた」と書かれている。

高須氏はかつてツイッターで、「南京もアウシュビッツも捏造だと思う」(15年10月19日)、「我が国の医学は大東亜戦争に負けるまではドイツ医学だった。ナチス政権下のドイツ医学の発展は目覚ましいものだった」(同3日)と投稿。SWCの記事にはこれらの投稿のスクリーンショットも掲載され、「SWCはAACSに対し、早期に高須氏への措置をとるよう迫っていた」とも書いている。

上記のような発言は以前からネット上で議論になっていた。高須氏は「ヒトラーなど崇拝するか(怒)」(16年11月6日)、「ナチスのイデオロギーは好きではありません」(17年8月21日)などとする一方で、「全てを疑い真実を追及するのが科学です」(17年8月30日)ともツイートしていた。

高須氏は同記事の存在を知ると17年11月9日、「変だな?僕にはいまだに何の連絡もない」とツイート。「今年の会費は請求どおり払ったし アメリカ美容外科学会の長老はみな親友ばかりなんだが。おかしい」と訴えた。

その後「追放されたというのは誤報だ」とし、「本人が知らない追放なんかあるか 気分がわるいので『いま退会する』とAACSに今メールした。やめた会員はもう追放できまい。これで面子つぶれたSWC」と自ら学会を去る旨を投稿した。

「名誉を傷つけられました」

高須氏はJ-CASTニュースの電話取材に「いきなりSWCがあの発表をしましたが、AACSから私にもどこにも何の連絡もしていません。普通、まず会員本人に連絡し、事実関係を調査し、追放や除名の判断をします。私はAACSの創設メンバーの1人です。このような場合になされることはよく知っています」と改めて「追放」を否定した。その上でSWCへの怒りを露わにする。

「すごく頭に来ました。名誉を傷つけられました。それでAACSには、自ら退会すると先ほどメールを送りました。処刑されるくらいなら自決する。これは美学です」

退会についてはさらに、「SWCは『AACSが我々の圧力に屈して高須を追放した』という『勲章』を欲しているのだと推測しています」とし、そうさせまいと決断に踏み切ったという。自身の立場としては「私はナチスの信奉者でも何でもない。ナチス時代にも医学の面では良いところもあったと言ったにすぎません」と話している。

高須氏によると、AACSは8月にSWCから高須氏に対する抗議を受け、同氏に連絡のうえ調査。その結果、処分などの必要はないと言われ、以来この件に関してAACSから連絡はないという。また、SWCから高須氏のもとに直接連絡が来たことは「過去一度もない」と話していた。