「少しずつ自分の声を届けられるようになってきた」

太賀さんご自身についてもお話をうかがってまいります。昨年はドラマ『ゆとりですがなにか』が話題を呼んだのに加え、映画が6本も公開。若手俳優の登竜門と言われる『闇金ウシジマくん』シリーズの『the Final』に、カンヌ国際映画祭でも高い評価を得た『淵に立つ』など、ジャンルや役柄も多岐にわたります。こうして次々と求められる状況をどのように受け止めていらっしゃいますか?
意外と…と言いますか、みなさんが思われているほど、自分の中に大きな変化はとくになく、わりと普段通りなんですよね。うん、何も変わってないですね。ただ、少しずつ、自分の顔や名前を周りに認知してもらえるようにはなって、ようやくスタートラインに立てたのかな? という思いですね。
役者としてのデビューは13歳ですから、すでに芸歴11年。時間だけでなく、数々の作品に出演されてきていますが、ようやく「スタートラインに立った」ですか?
こうして取材をしていただけるようになったり、いろんな作品に呼ばれたり…やっぱり、認知されないとそうはならないですよね。だからこそ、ここからが正念場ですね。少しは認知してもらったみたいだけど、実際、どうなんだ? って測られている気もしてます。だからこそ丁寧にやっていきたい。
ご自身の変化はなくとも、周囲の反応は変わってきているのでは?
少しずつ、自分の声が届くようになってきてはいるのかな…? 少なくとも話を聞いてもらえる瞬間が増えてきていると思います。それこそ、これまでずっと自分の存在なんて無視され続けてるんじゃないか? と思うような時期もありましたし。
これまでも映画『桐島、部活やめるってよ』やNHK連続テレビ小説『あまちゃん』など、時代を彩った話題の作品に出演されてきました。こうした作品で、一気にスターダムに駆け上がっていく同世代の姿も見てきたと思いますが、そうした状況をご自身はどんな思いで見ていましたか?
最初は焦りや悔しさがあったけど、途中であきらめの境地に達したところがありました。自分はこういうタイプの役者だから、できないことをやってもしょうがないと。そこで少し楽になった部分はあったと思います。
それまでは自分と相手を比べて、焦燥を感じていたけど…。
比べる必要がないんだなと。どうしたって僕はその人になれないし、彼らのような立ち位置にはいけない。いや、いく必要はないんだと。そう思えて肩の力がいい具合に抜けました。かといって、仕事がなかったわけでもないですし。
むしろ、作品数という点では、同世代の人気俳優よりもずっと多いですし、ひとつひとつの作品で確実に爪あとを残されてきたと思います。
認知はされていなくても、自分を必要としてくれる人たちはいたから、そういう人を信じて仕事をやっていけばいいんだと。そういう思いでさらに仕事を続けていく中で、少しずつ、何かが追い付いてきたのかな…?

“普通の感覚”を失わないことを大切にしている

まさに今回の映画は、“いま”だけでなく、10代の頃からずっと太賀さんの存在を気に留めてきた人たちが、太賀さんを必要として、満を持して作られた作品ですね。
このタイミングで公開ということは、当然ですがお話をいただいたのはもっと前であって、つまり、さらにその前の僕を見て、声をかけていただけたということ。正直、その頃に「この映画は太賀で」と考えるって、相当リスキーでチャレンジングなことだったと思います。だからこそ、その思いに応えたい。きちんと作品で返したいって思います。
先ほど「比べるのをやめた」という言葉もありましたが、ご自身の世代、そこにいる個性的な同世代の俳優たちの存在を、いま、どのように見ていますか?
いまの時期はとくになのか、同世代で括られることってやはり多いですよね。
『ゆとりですがなにか』という、もろに世代を描く作品に出られたということも大きいかもしれませんね。
そうかもしれないですね。活きのいい若手が多いっていうのもあるのかな(笑)。ただ、僕としては同世代の俳優とはいつでも一緒に仕事ができるから、いまはできるだけ上の世代の方々とご一緒させていただけたらという気持ちが強いんです。
なるほど。
60代、70代…いや、もちろん、世代に関係なく常に面白い人たちと仕事をしたいという思いです。
とくに「この人と一緒に仕事がしたい!」と思う方はいらっしゃいますか?
北野 武監督の作品に出演したいです。作品の面白さは言わずもがなですが、この先、何本の作品を撮られるかわからないですし…。
北野監督は現在70歳。あれだけ多才な方ですから、いつ「映画はもうやめた」と言い出してもおかしくないですし、起用する俳優も、どちらかというと若手よりはベテランが多いですし…。
そうなんです。だから何とかご一緒させていただきたいなと。
先ほどからお話をうかがっていると、非常に冷静に先の展望を見据えているように思えます。そうした傾向は、わりと以前からお持ちなんですか?
そうですね。けっこう早い段階で考えていたと思います。
この世界に入ったときから、俳優として生きていく“覚悟”が決まっていた?
覚悟なんていうカッコいいものかはわからないですが、「俳優をやりたい」と思ってこの世界に入って、いろんな人に出会う中でそういう思いが培われてきたのかなと思います。
いま、ご自身が持っている俳優としての強み、武器はどんなものだと思いますか?
うーん、何でしょう…? 普遍的な感覚を持っていることですかね? “普通”と言うと「じゃあ普通って何だ?」って思いますけど…。特別に派手でもなく、普段から存在感があるわけでもなく、常識的な感覚の中で生きているなと。
今回の又八もやや突飛な部分がありますし、『ゆとり』のモンスター新入社員の印象が強かったので、そうした役柄のイメージで周囲から見られやすい部分もあるのでは?
どうでしょう?(笑) でも、そう言われるってことはそうなのかな…? まあ、そういうイメージは作品によって変わるでしょうし、そもそも僕、普段から街で(太賀だと)認識されたり、指をさされたりすることもないですからね。でもオファーとしては、似たタイプの役が増えたかな?
では、日々の生活の中で大事にしていることなどはありますか?
さっきと同じことなんですけど、作品の中で変わったことをやることも多いからこそ、日常では普遍的なことを大事にしたいんですよね。大事にできているかな…?(笑) こういう業界にいて、ついズレてきてしまうことってあると思うけど、普通の感覚を失わないこと。曜日感覚だったり、労働時間の感覚もそう。“普通の幸せ”といいますか…。
いま、俳優という仕事は楽しいですか?
場合によりますかね(笑)。
「俳優って楽しいなぁ」と感じる瞬間は?
いろんな人との出会いですね。素敵な大人に出会えることが楽しいですね。
ひとりの人間として今後、20代後半、30代に向けて、理想の年齢の重ね方、こういう男になりたいというビジョンはありますか?
何も知らない大人にはなりたくないですね。仕事に限らず、きちんといろんな経験を重ねて、場数を踏んで、分別のつく大人でありたいと思います。
太賀(たいが)
1993年2月7日生まれ。東京都出身。2006年、俳優デビュー。2007年の『風林火山』を皮切りに、2009年には『天地人』、2011年『江〜姫たちの戦国〜』、2013年『八重の桜』と過去に4作のNHK大河ドラマに出演。このほかのドラマ出演作にNHK連続テレビ小説『あまちゃん』、『恋仲』(フジテレビ系)、『ゆとりですがなにか』(日本テレビ系)、『仰げば尊し』(TBS系)など。主な出演映画に『ひゃくはち』、『桐島、部活やめるってよ』、『壊れ始めてる、ヘイヘイヘイ』、『走れ、絶望に追いつかれない速さで』、『アズミ・ハルコは行方不明』など。11月11日より『南瓜とマヨネーズ』が公開。12月8日から舞台『流山ブルーバード』が公演開始。

    出演作品

    映画『ポンチョに夜明けの風はらませて』
    10月28日(土)新宿武蔵野館ほか全国ロードショー!
    http://poncho-movie.jp/

    サイン入りポラプレゼント

    今回インタビューをさせていただいた、太賀さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

    応募方法
    ライブドアニュースのTwitterアカウント(@livedoornews)をフォロー&以下のツイートをRT
    受付期間
    2017年10月27日(金)12:00〜11月2日(木)12:00
    当選者確定フロー
    • 当選者発表日/11月6日(月)
    • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、発送先のご連絡 (個人情報の安全な受け渡し) のため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
    • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから11月6日(月)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき11月9日(木)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
    キャンペーン規約
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