アメリカの都市部でサルモネラに感染する人が急増しています。死者さえ出しているサルモネラ感染蔓延の原因は、近年、アメリカで人気になっている家庭で飼育するニワトリにあるようです。

Backyard chicken trend causes spike in infections, 1 fatal - ABC News

http://abcnews.go.com/Health/wireStory/backyard-chicken-trend-leads-disease-infections-50589393

アメリカ疾病管理センターによると、2017年1月以来、全米48州で1100人以上の人がニワトリやアヒルが原因でサルモネラ中毒を発症し、そのうち250人が入院し1人が死亡するという被害が出ています。ニワトリなどの家禽が原因のサルモネラ感染の数は、2015年に比べると4倍のペースという急増ぶりだとのこと。

このサルモネラ感染急増の原因は、近年、アメリカの家庭で飼われることが増えたアヒルやニワトリが原因だとのこと。自宅の裏庭でニワトリを飼う目的は、自然食品愛好家が卵や鶏肉をとるためや、子どもの「食育」のためなどが挙げられています。なお、自然食品愛好家の中には、あたかも犬や猫のようなペットのようにニワトリを触ったり抱きしめたりする人がいるそうです。



ニワトリなどが体内に取り込んだサルモネラは糞便として排出されますが、細菌が鳥の羽毛や土壌に付着することが多く、家禽を飼育する環境はサルモネラなど細菌が繁殖しやすい場所と言えます。そのため、鶏肉や卵を目的に鳥を飼育する場合、「手洗い」という慣行が必要なことは常識になっているのですが、一部の自然食品愛好家が知識不足から手洗いを怠った結果、サルモネラにおかされてしまっているというわけです。

アメリカで販売されるニワトリやアヒルの雛は、約20種類の養鶏場から供給されています。アメリカ合衆国農務省は養鶏場に対して定期的にサルモネラ感染の有無を検査することを奨励していますが、検査を実施するかどうかは養鶏場の自主的な判断に任されているとのこと。そのため、ペットとしてニワトリなどの家禽を飼育する人は、サルモネラ感染のチェックを受けた養鶏場の雛かどうかを調べる以前に、まず、家禽を飼育するために必要な基礎的な知識を学ぶことが肝心だと専門家は指摘しています。