仕事や恋愛でひとつ頭を抜けて存在感を出すために、はたまた何かを成し遂げるためには情熱が必要だ。「失敗したくない」「自分を良く見せたい」といった自意識に打ち勝つためには、圧倒的な鍛錬が不可欠であり、その根底に必須なのが情熱だろう。9月24日からWOWOWにて放送が始まった「連続ドラマW 沈黙法廷」。老人の連続不審死事件の容疑をかけられてしまう謎の女、永作博美が演じる山本美紀を一途に思う男、高見沢弘志を演じる市原隼人。役と市原自身がシンクロする、徹底的に情熱を傾けて突き進む姿勢について話してもらった。

撮影/ryo 取材・文/大西陽子

誰がどう言おうが、自分が好きだったら好きでいい

「沈黙法廷」は、直木賞作家でもある佐々木 譲さんの社会派ミステリー小説をWOWOWで初めてドラマ化した作品ですね。連続する老人の不審死で、捜査線上に家事代行の美紀(永作)が浮上します。警察やマスコミ、それぞれの立場からの視点が過熱し展開されていきますが、彼女を愛する弘志だけは、美紀の無実を信じ続けます。本作のオファーを受けたときの感想をお聞かせください。
台本を読んで、多面性のある作品だなと感じました。弘志を演じることで、僕自身も俳優として試されているような気持ちになりました。永作さんが演じる美紀の発言や行動が「善」なのか「悪」なのか、見る方々の価値観や人生観によって変わると思うんです。そこで改めて、自分はこういう感覚で人や世の中を見ていたんだなと感じたり、気づいたりできるきっかけになればうれしいです。
美紀は裁判中に突然黙秘し、事件は迷走していきます。ドラマのタイトルにもあるように、「沈黙」がキーワードとなりますね。
セリフはあっても、セリフとセリフの“間”というか、沈黙のあいだに考えることがたくさんあるんです。それがこの作品の醍醐味だと思います。早く現場に入って、それを感じたいと思いました。
どのように役作りをしたのでしょうか?
現場ではとにかく、美紀を追い続ける気持ちを意識しました。美紀がいなくなったあとの虚無感とか、彼女が自分のことをどう思っているのかわからない状態でも、彼女を信じ続けるという……。信じる気持ちって、一番力がいると思うので。
役作りのために、事前に準備したことは?
弘志と美紀が恋愛関係になるわけですが、若い男である弘志の年齢や容姿に惹かれて、美紀が惚れたと思われたくなくて。単純に弘志の内面を見ていただきたくて、「坊主」のほうがいいかな、と。
それはご自身で提案されたのですか?
自分で提案して、クランクイン前に坊主にしました。
そうだったんですね。市原さんが弘志と似ていると思う部分はありますか?
「信じる力」ですかね。僕は無宗教だし、「この人みたいになりたい」といったものに固執することはないですが、「信じること」というのが僕は好きで。
なるほど。
自分は「噂」や「情報」というのはあまり気にせず、ひとつの意見として捉えていて。ちゃんとお会いして自分がどう思うか、それだけでいいんじゃないかと思うんです。
マスコミは美紀を連続殺人犯として報道しますが、弘志は惑わされることなく、美紀を思い続けますね。
誰がどう言おうが、自分が好きだったら好きでいいんじゃないか。弘志のそんなところは、すごくよくわかります。他人のものさしで物事や人を見るのではなくて、自分のものさしで見ることができたら一番いいな、と。そういうところが、弘志と似ているところなのかと思います。

死ぬまで未完成な人生だからこそ、生きていて楽しい

ドラマの第一話では「美紀に会いたいけど会えない」という、やるせない弘志の心の移ろいが印象的でした。人生には理想と現実があり、思うようにいかず自分の気持ちが揺らぐことも……。そんなとき、市原さんはどうしているのでしょう?
365日、常に気持ちは揺らいでいますね。同じ質問をされたとして、今日の答えと明日の答えって絶対に違うと思うし…。だけどそれが人間だし、それで僕はいいと思うんです。
それが人間らしさだと。
常にいろんな方に刺激されながら、影響されながら成長していく。死ぬまで未完成であって、だから人生って楽しいのかなって、本当に思うんですよね。
「貧乏であることは、犯罪ですか?」という美紀の印象的なセリフもありますし、ドラマでは若年層の貧困問題や、さらには貧困が生み出す現代社会の実態なども描かれていきます。
弘志は社会的にもすごく弱い立場なので、ちゃんとした人生設計もなく、社会からも阻害されている状態です。弘志が見る「普通」と、社会が見る「普通」の状態がかけ離れていて。そんな、常に弱い立場の男になれればいいなと思いました。そんな弱い男がいろんな扉を開けていく――。こんなこともするんだ、あんなこともしてしまうんだ、という動向にも注目してほしいです。
市原さんにとっての「普通」とは何でしょう?
「普通」って言葉すら、それが何の軸を持って言っているかわからないですよね。国が違えばルールも法律も違うし、やり方も話し方も異なる。世の中の基準もどこにあるんだろう、と思います。
たしかに、「普通」ってとても曖昧なものですよね。
たとえば、法廷で決められた法律だって、それは日本だけで通じるものであったり、何のために作られたかっていう根源を探っていくと、驚くことがたくさんあると思うんです。劇中に法廷のシーンがありますが、法律は本当に奥深くて。
法廷のシーンの撮影では、何か感じることがありましたか?
言葉遊びというか、すごく楽しくて。法律についても詳しくなりました。こういうふうに返していくんだ、こういう揚げ足の取り合いをするんだ、こういうことを提示していくと「良し」と見せられるとか、面白かったですね。

「旅先で出会う人に写真を撮らせてもらっています」

完成披露試写会では、共演者の方々との和やかな雰囲気が感じられました。永作さんが市原さんの撮影エピソードとして、とても繊細な反面、お酒でやらかしていたり(笑)などとお話されていました。
お酒はひと昔前、何でも飲んでました。行けるところまで行ったれ、という勢いがありました(笑)。
(笑)。
最近は…守る存在もできたので、飲む機会も減りましたけどお酒は大好きです。
共演者のみなさんと飲みに行かれたりとかは?
なかなか、みんなが空いている時間がなくて。今のところ、そういう時間はまったくなかったですね。
撮影が終わりに近づいて(※取材が行われたのは9月下旬)、今後飲みに行く機会もあるかもしれませんね。
本当に飲みに行きたいです、みなさんと。永作さんからはスパークリングワインをいただきました。
市原さんのInstagramを拝見しましたが、本当に素敵なお写真を撮られていますね!
ロケに行くと、一日余計に泊まって写真を撮ることもあります。
ポートレートがとくにシビれました!
旅先で出会ういろいろな人に「すみません、今ちょっと時間いいですか?」と声をかけて、写真を撮らせていただいています。それが楽しくてしょうがないです。
どんなことがきっかけで始めたんですか?
昔から親父みたいに慕っているカメラマンがいて。アーティストのオフィシャルとかを撮られている方なんですけど、その方の鶴の一声でしたね。「おまえ、インスタ始めろよ」と。
仕事に趣味に、真摯に向き合う市原さん。弘志が勇気を出して、謎の扉をどんどん開けていく姿勢とシンクロします。最後に、作品について読者の方にメッセージをお願いします。
まず第一に、WOWOWならではの演出と映像美を堪能できる、上質な作品になっていると思います。山本美紀という人間の行動が、集大成となる最終話に向けて、点と点が線でつながっていきます。そして、弘志と美紀が最後どうなるのか、楽しみにしていただけるとうれしいです。
市原隼人(いちはら・はやと)
1987年2月6日生まれ。神奈川県出身。A型。2001年に『リリイ・シュシュのすべて』で映画主演デビュー。2003年の主演映画『偶然にも最悪な少年』では、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した。2004年に『WATER BOYS2』(フジテレビ系)で連続ドラマ初主演。『ROOKIES』(TBS系)、『猿ロック』(日本テレビ系)、映画『極道大戦争』など多数の映画・ドラマに出演。2017年は映画『ブルーハーツが聴こえる 人にやさしく』、『無限の住人』が公開した。NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』では、直虎を陰で支える僧侶・傑山を好演。来年新春には主演映画『サムライせんせい』の公開も控える。

出演作品

「連続ドラマW 沈黙法廷」(全5話)
WOWOWプライムにて毎週日曜よる10時放送
http://www.wowow.co.jp/dramaw/chinmoku/

※ご加入の方限定の配信サービス「WOWOWメンバーズオンデマンド」にて見逃し配信中!

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、市原隼人さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
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受付期間
2017年10月6日(金)12:00〜10月12日(木)12:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/10月13日(金)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、発送先のご連絡 (個人情報の安全な受け渡し) のため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから10月13日(金)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき10月16日(月)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
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