スマートフォンやタブレットの普及により、若年層を中心にノートPCの需要が減っているといわれています。
ですが、仕事で作業をする上では、ノートPCはまだまだ必要です。

そのノートPCの中でも、ニッチですが人気が高いのが、「小型モバイルPC」です。

パソコン黎明期では、ノートPCという存在自体が「小型PC」というマシンとしての驚きを持ってユーザーに受け入れられました。
その後、ノートPCは小型化が進み、
IBMのウルトラマンPC 
ソニーのVAIO U
ライオス・システムのチャンドラ
などが登場し、このほかにもいろいろなモデルがリリースされていきました。

しかし、ディスプレイの小ささや、キーボードの入力のしくさなどの問題もあり、市場では小型ノートPCではなく、大画面・薄型のノートPCにシフトして今にいたります。

小型モバイルPCの市場は、こうして縮小してしまいました。

たしかにモバイルシーンでの作業では薄型ノートPCの方が使いやすいのは事実ですが、毎日持ち歩く道具としては、なるべく小さく軽いノートPCが理想です。

そのため、タブレットに、Bluetoothキーボードを組み合わせて使ったり、モペラなどのテキスト入力専用モデルを利用したりするなど、ユーザーは工夫してきました。

現在の小型モバイルノートPCの市場的には、決して大きくはありませんが、小型モバイルPCへのニーズは確実に存在しています。

そのようなユーザーの要望に応えるように、クラウドファンディング「Indiegogo」において、「GPD Pocket」という機種が発表になりました。
世界中の小型モバイルPCのユーザーが殺到し、あっという間にクラウドファンディングは成立し、一般販売されました。


GPD Pocket


「GPD Pocket」のスペックは、
・タッチパネル7インチディスプレイ
・小型フルキーボード
・OSはWindows 10またはUbuntu
・CPUはIntel Atomx7-Z8750 1.6GHz
・バッテリー7000mAhで12時間駆動
・重量480g、8GBメモリ、128GB 内部ストレージ搭載
ちょうど廉価版のノートPCといったクラスといったところです。

性能的には、少々物足りないレベルではありますが、フルのWindows 10が動作する小型PCとしては実用の範囲と収まっています。

何と言っても、小さくすっきりしたデザインがモバイルユーザー心をくすぐります。
また、モバイルユーザーにとって嬉しい仕様が、USB Type-Cでの充電に対応している点です。
外出先でも、いざとなれば、スマートフォン用のモバイルバッテリーで充電が可能だからです。


GPD Pocketの充実したポート


筆者は、実際にGPD Pockeを3か月ほど利用していますが、非常に満足しています。
カバンに入れておけば、出先で急な作業があっても、フル機能のWindowsにて作業ができます。キーボードは小型ですが、キータッチも良く、nればブラインドタッチも可能です。
ただ、初期状態では使いにくい部分も多少あり、キーボード配置のカスタマイズや、Bluetoothマウスの導入などを行っています。


小型だが慣れればブラインドタッチも可能なキーボード



モバイルユーザーに一人としても、小型モバイルPCが市場で登場することは、中半諦めていたところなので、GPD Pocketの登場は非常に嬉しい出来事です。

GPD Pocketの登場を機に、小型のモバイルPCやキーボードガジェットへの動きもでてきました。

今後、GPD Pocketにつづいて、500g以下の小型モバイルPCのリリースが、ほかのメーカーからも登場してほしいと願っています。


伊藤浩一