8月27日に、乃木坂46の松村沙友理は25回目の誕生日を迎えた。「グループのなかで、年齢が上から数えて三番目なんですよ!」と、彼女は無邪気な笑みを見せ話した。乃木坂46のメンバーが出演し、松村も参加した映画『あさひなぐ』で、彼女が演じた紺野さくらも、取材中に見せた姿同様に笑顔がチャーミングなキャラクター。女優、声優、モデルと、グループの枠を超えた個人の活動で幅を広げている今、彼女は何を考えているのか?

撮影/川野結李歌 取材・文/渡邉千智 制作/iD inc.

“紺野さくら”に共感する部分をたくさん見つけた

週刊ビッグコミックスピリッツで連載中の『あさひなぐ』(小学館)。今年5月からの舞台上演、9月22日から映画公開という、『あさひなぐ』プロジェクトが展開されています。松村さんは映画版での参加になりましたが、マンガのことは知っていましたか?
はい! 乃木坂46の『あさひなぐ』プロジェクトがはじまる前から読んでいました。『このマンガがすごい!』(宝島社)でランクインしていて。そういうのをチェックするのが好きなんです。
作品の印象はいかがでしたか?
なぎなたに真剣に向き合う青春ストーリーなんですが、登場人物ひとりひとりの姿がしっかりと描かれていて。みんなが「強くなりたい!」という思いでどんどん成長していく姿には、すごく胸をアツくさせられました。なぎなたがメインではあるけれど、登場人物それぞれの人生観が深く描かれている作品だなと思いました。
映画に出演される前からマンガを読まれていたとのことですが、出演が決まってからマンガを読まれた際の印象に違いはありましたか?
全然違いました! それこそ、私が演じた紺野さくらちゃんのことも…決まる前はさらっと読んでしまっていた部分を改めて読み返してみると、「あれ、さくらちゃんって思った以上に私に似ているんじゃないか!?」と思うところがたくさん出てきて。
お嬢様で何でも器用にこなす紺野さくらと、似ている部分がたくさんあった?
共感できる部分がたくさんありました。私もよくツインテールをするし、さくらちゃんのしぐさとかも…よくよく考えれば「私っぽいかも」と思うようになって。
ちなみに、映画の公式サイトではさくらの紹介に“毒舌家”と書かれていますが…。
そうですね(笑)。そこに関しては…私は毒舌なわけではないと思うんですけど、乃木坂46のなかでは、ツッコミポジションというか。関西出身なので、みんなのいろいろなちょっとしたことに「いや、それはないやろ!」ってツッコミたくなってしまうことはあります(笑)。思ったことをまっすぐ言葉にするところは似ているかなと思います。
乃木坂46のなかではツッコミポジションなんですね。
ステージに立っているときは、たぶんそんな感じじゃないと思うんですけど、楽屋にいるときとかはめっちゃツッコミまくってますね。「いやいや〜!」って(笑)。

勝負に強く怖いもの知らず…だけど緊張しいの一面も

共感する部分が多かったとのことですが、さくらは演じやすかったですか?
そうですね…私のなかでは役に入り込みやすかったです。
演じる際は、どういう部分を意識されたのでしょうか?
さくらちゃんを知るためにマンガをすごく読んだのですが、発売されているあたりまでコミックスを読んでいると、映画で描かれている段階では見えていなかったさくらちゃんの面が見えてくるじゃないですか。だからこそ、原作を読み進めていくうちに見えてきたさくらちゃんの姿…「じつはこんな事情があって、こんなことを考えている」という部分をふまえて演じていました。
原作で描かれたさくらの心情などをふまえて、撮影に臨んだ?
映画で描かれているのは物語の前半部分のお話なので、さくらちゃんも、のんきで器用でわりと何でもできちゃう子という印象が強いと思います。でも、ただのんきなわけではなくて、じつはいろんな思いを持って試合に挑んでいるんだ、というのは、試合の前のセリフなどに込めました。
なるほど。
映画のなかで、とくにさくらちゃんの掘り下げが多いわけではありませんが、原作で追い追い描かれる、本当の姿があるからこそ、ここではこういう思いでこのセリフを言う、というのは強く意識した部分です。
マンガを読まれている方が映画を見たら、より感じるかもしれませんね。「器用でわりと何でもできてしまう」という松村さんの言葉同様、さくらはいざという試合のときに勝負強さを発揮しますが、松村さんは勝負事に強いタイプですか?
私、けっこう強いと思います。というのも、私は怖いもの知らずというか……。
怖いもの知らず?
あまり緊張はしないタイプですね。たとえば、グループで一番に誰かがしゃべらないといけないとき、みんなは最初にしゃべることを嫌がったりするんですけど、私は全然抵抗がなくて。私が一番にしゃべるときもけっこうあります。
松村さん自ら「やります!」と言うのでしょうか?
そうですね! 誰も一番にいかないんだったら私が、みたいな感覚です。私のなかで、頑張ってそうしているわけではなくて、最初にしゃべるプレッシャーを感じないので自然と、ですね。
普通は「最初で失敗したらどうしよう…」と思ってしまいがちですが…。
でも、そういう部分じゃないところで緊張しいなんです。私は、知らない人のあいだに入っていくのが苦手で…。バラエティ番組でしゃべったりするときなどはまったく緊張しないんですけど、友達と遊ぶときに、私が知らない子がひとりでもいたりすると、すごく緊張しちゃうんです。
初対面の方と打ち解けるには時間がかかるタイプ?
そうなんです。人見知り…ではないと思うんですけど…。すごく緊張してしまいます。
乃木坂46の結成のときはどうだったんでしょうか?
メンバーとは本当に…初期の頃はしゃべらなくて、ずっとひとりでいました。みんなは話しかけてくれるんですけど、話しかけられたことに、自分が「わっ…!」ってドキドキアワアワしちゃって。今はそんなことはないんですけどね。
グループのなかではツッコミ隊長なんですもんね。
今はもうメンバーにあまり気を遣ってないですね(笑)。慣れてくると平気なんですけど、慣れるまではけっこう緊張してしまいます。
次のページ