『写真:AFLO』

 7月13日、環境省は東京大井ふ頭のコンテナにおいて、ヒアリ100匹以上を発見したと発表。卵や幼虫も確認されたという。6月に兵庫で確認されて以来、生息エリアがどんどん拡大している。

 ヒアリは国際自然保護連合(ICUN)によって、「世界の侵略的外来種ワースト100」に選ばれている。これは、外来種のなかでも、特に生態系や社会への悪影響が大きい生物のリストである。

 ヒアリは、南米から日本への外来生物ということになるのだが、同リストには、これとは逆に日本から世界中へ広がっている悪玉外来生物が掲載されている。

 それはなんと、味噌汁に欠かせない「ワカメ」だ。ICUNによれば、ワカメは日本、韓国、北朝鮮の近海が原産地で、アメリカ、フランス、イタリア、オーストラリア、ニュージーランド、黒海、地中海など世界中で繁殖が確認されている。

 実害として、ワカメがカキ、ホタテ、ムール貝などの養殖魚介類の成長を阻害したり、漁業用の機械が詰まったりするなど、重大な影響を及ぼしているという。

 ワカメが世界へ拡散したのは、タンカーのバラスト水が原因だと言われている。バラスト水とは、タンカーなどの貨物船が積荷を降ろした後に、帰路で船を安定させるため重しとして入れる海水のこと。海水の中に含まれたワカメの胞子が、日本から世界へ広がってしまったのだ。

 それにしても、ワカメはそんなにも繁殖力が強いのか。

「春先から6月にかけて、波のない場所の防波堤などに繁殖しています」(「のとじま水族館」の藪根哲志さん)

 海水温度が20度以下で、波がなければ、容易に自生するという。ワカメの唯一の天敵はウニなのだが、ウニの方が繁殖力は弱い。ワカメと一緒に海外へ運ばれたとしても、ウニはそこで繁殖する可能性は低い。そうなると敵なしで繁殖してしまう。外国ではワカメを食べないので、減ることもない。

「ワカメが侵略的外来生物に選ばれていることは我々も知りませんでした。外から入ってくる生物には敏感でも、自分たちの側が出すことに関しては、考えが及ばないものですね」(同上)

 実際のところ、ヒアリに刺される可能性は低く、重症化するケースは少ないとされる。それに比べたら、ワカメ被害のほうがはるかに大きいと言えそうだ。現在の日本のヒアリパニックは、南米の人々の目にどう映っているだろうか。

外部リンク

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