私たちの身近にあるコンビニの知られざる裏話を、業界の内情に詳しいライターの日比谷新太さんが紹介していく当シリーズ。前回の「日本人アルバイトが集まらない」という話題に続き、今回取り上げるのは「デキる店員たちによる好感度の高い接客」について。こういう店員さんがいるコンビニが近所にあれば、毎日でも通ってしまいそうですね。

つい行きたくなるコンビニの接客ぶりとは?

コンビニといえば、日本中どの店に行っても同じような商品が並んでいて、サービスや対応も紋切型……そんなイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

しかしコンビニの数が右肩上がりで増え続け、ライバル店との競争も激化するなかで、より多くの利用者に愛される店を目指すべく、一味違う接客を行う店舗が最近増えてきています。今回は、そんな「常連客の多いコンビニ」で行われている、至れり尽くせりな接客の具体例を紹介していきたいと思います。

1.お客さんの顔を見た瞬間にタバコを出す

いつも行くコンビニでレジに行き、「タバコちょうだい」とひとこと言っただけで、スッと店員がいつもの銘柄を出してくる。愛煙家のお客さんにとっては、ちょっとした「常連客感」も得られて、とても気持ち良いサービスではないでしょうか?

ある店舗では、常連のお客さんが「タバコちょうだい」と注文した際に、銘柄は聞かずに「何個ですか?」と問い返すようにしているそうです。特にベテラン店員(女性)が、常連男性客にこの一声をかけるようにすると、「じゃ、2個ね」と注文数が増えるケースが多いとのことです。

2.パスタを買ったお客さんに「お箸使います?」

どのコンビニでも、秋口からラインアップを強化してくるパスタ。通常だとフォークを付けるのですが、そこであえて「お箸をお使いになりますか?」と訊くのです。

外食チェーン『洋麺屋 五右衛門』の成功をみても、いくら洋食だといっても、やはり日本人には「お箸」。特に中年以降のお客さんに効果てきめんのひとことです。

3.袋詰めが絶妙

コンビニはスーパー等と異なり、購入した商品は店員が袋詰めをしてくれますが、この袋詰めが上手な店員と不慣れな店員がいます。

商品がつぶれる危険性がある柔らかい商品は上部へ、逆に固い商品は下部へ、重たい商品が大量に入っている場合は袋を二重に、温かい飲み物と冷たい商品は別の袋に……などといった基本的なところはもちろん、絶妙なサイズの袋を選択(袋の枚数はもちろん、サイズが大きくなればコストも高くなります)できるかどうかも、店員の器量が問われるところです。

また袋詰めが終わった後も、買物袋をお客さんが手に取りやすいようにそっと寄せてお渡しできるか、また複数の買物袋がある場合は持ち手をまとめるなど、この最後の最後で行う工夫で、CS(顧客満足度)はグンと上昇します。

4.レジで並んでるとダッシュでレジに

コンビニの店員は多忙です。商品の品出し作業、納品された商品の検品作業、店内の掃除、商品発注作業、お客さんが買いたくなるような商品売場作りなど……。最低限の人数でコンビニはオペレーションしていますので、レジでお客さんを待ち構えていることは少ないのです。常に何かをしながら、レジの状況をチェックしています。

そのようななか、お客さんがレジに並び、その列が二人、三人と増えてくると、デキる店員は今行っている作業を中断し、ダッシュでレジに入ってくれます。この「ダッシュをする姿勢」が重要で、レジを待っていたお客さんにしては嬉しいモノなのです。

5.朝は「いってらっしゃい」と言ってくれる

早朝・朝の時間帯にコンビニに寄って、朝食・昼食を購入されるお客さんは、その後仕事場や学校に向かいます。そういうお客さんには「ありがとうございました。また、お越しください」ではなく、「ありがとうございました。いってらっしゃい(ませ)」と笑顔であいさつ。そんな何気ないひとことが、お客さんにとっての活力となるのです。

6.外の寒さに応じてあたため温度を変える

弁当、パスタ、グラタンといった商品を買うと、店員さんが電子レンジで温め(レンジアップ作業)をしてくれますが、寒い日だとコンビニを出て自宅や職場などに行く途中で、せっかく温めた商品が冷めてしまうことがあります。

そんな時デキる店員は、外気温の変化を確認し、寒い日ならばひとこと「いつもより、温めますね」と添えて、レンジアップ時間を変えてくれるのです。

7.新聞だけを買いたい朝のサラリーマンには……

朝の時間帯には、朝刊のみを購入するサラリーマンのお客さんが多いのですが、そんな時にお客さんがピッタリの小銭を手にしている場合、レジに並ばずとも代金さえ受け取ったら「ありがとうございました!」と行ってもらうのです。

電車やバスの時間が迫っているなか、新聞だけが欲しいのに、他のお客さんと同じようにレジ待ちをしないといけないとなると、どうしてもイライラしてしまいます。そんな忙しいビジネスマンにとって、これは嬉しいサービスです。

8.駄菓子を買う子どもたちにも丁寧

昔ながらの駄菓子屋が減ってしまい、コンビニで駄菓子を購入する子どもが増えています。駄菓子の売価は10円〜30円。子どもたちは200円程度のお小遣いを握りしめて、駄菓子を何個も買いにレジにやって来ます。

コンビニにとっては、あまり儲けには繋がらない割には世話がかかるという、言うなれば「招かれざる客」。しかし、そんな子どもたち相手でも、面倒な顔をせずに笑顔で丁寧に接客をしてあげる店員さんがいることこそ、地域に愛される店の条件なのです。

image by: Shutterstock.com

 

文/日比谷 新太(ひびや・あらた)

日本のコンビニエンスストア事情に詳しいライター。お仕事の依頼はコチラ→のメールまで: u2_gnr_1025@yahoo.co.jp

出典元:まぐまぐニュース!