先日、発表された「中高生の将来なりたい職業」で、“YouTuberなどの動画投稿者”が中学男子で3位に! もはやYouTuberは、スポーツ選手や俳優などと同じヒーローだが、現役高校生にして、約100万人の登録者を誇るこの男など、まさにスマホ時代のロールモデルと言えるだろう。“驚異の10代”としてアバンティーズやカリスマブラザーズといった先輩YouTuberからも一目置かれるすしらーめん《りく》は、小さい頃から抱いている宇宙への夢を現実にすべく突き進む!

撮影/平岩 享 取材・文/黒豆直樹 制作/iD inc.
企画/ライブドアニュース編集部

「すごくバカで、目立ちたがり屋」な子ども時代

以前からいろんなYouTuberさんにお話をうかがっているんですが、気になる存在について聞くと、りくさんの名前が挙がることが非常に多いです。アバンティーズさん、ジョージさん(カリスマブラザーズ)なども「面白い!」と絶賛されていました。
ホントですか?(笑) 光栄です。アバンティーズさんは、僕が無名の頃から憧れていた存在で、あちらから「一緒に撮ろうよ」って声をかけていただいて、いきなり4日間くらい、泊まらせてもらって交流が始まったんです。僕にとっては拾っていただいた恩人です。
カリスマブラザーズさんとも一緒に動画を撮られてるんですね?
つい最近、ご一緒したんですけど「ちょっと来て」って感じで始まって、「はい」っていきなり爆弾を持たされました(笑)。ソフトでクレイジーな面白い先輩です!
そんなふうに、たくさんのクリエイターたちとコラボレーションする人気YouTuberになるまでの軌跡について、じっくりうかがってまいります。現役高校生ということですが、生まれたのは…。
1999年です。いまは高校3年生です。
子どもの頃はどんなお子さんでしたか?
すごくバカで、目立ちたがり屋のところがあったみたいです。運動会で1位で走ってる最中に、父親が手を振ってるのに気づいて、振り向いて手を振っているあいだにみんなに抜かれてビリになったり(笑)。僕は覚えてないんですけど…。
漫画みたいなエピソードですね(笑)。
我ながら何をやってんだか…(笑)。あとは、小さい頃から何かを自分の手で作るのが好きでしたね。図工の授業の余った材料で別のものを作ったり。あとは、おじいちゃんがテニスの先生をしていたので、テニスをやってました。
動画にときどき出てくる、おじいさまですか?
そうです。あのおじいちゃん(笑)。すごい頑固なんです。もともと、病院用の新薬を作る科学者をしていたらしくて、その仕事にものすごくプライドを持っていて。それ以外にテニスもやってたらしいんです。
クラスの中心でワイワイとやるようなタイプの子でしたか?
そうですね。でも、人をまとめるのは決して得意じゃなくて、ムチャぶりをいっぱいする係かな(笑)。リーダーをイジったり。
子どもの頃の将来の夢は?
「宇宙に行くこと」でしたね。
中学で部活などはしていましたか?
ワケあって、サッカー部の部員が6人しかいなくて、2カ月だけ助っ人で入って、サッカーやってたことはあります。いま考えるとムチャクチャですね、部員6人で半分近くが助っ人って(笑)。

「面白そうなことは、小遣いをつぎ込んでやってみる!」

それ以外で、中学ではどんなことを? 動画の投稿を始めたのも中学生のときですよね?
もともと、動画は友達と一緒に始めたんです。当時は面白そうなことがあったら、とりあえず、お小遣いを全部つぎ込んでやってみるって感じで。いろんな実験をしてました。スイカに輪ゴムを巻きまくって爆発させたり。それが、動画を投稿するきっかけになった実験なんですが。
輪ゴムでスイカが爆発するって、言葉だけ聞いても信じがたいというか、ピンとこないんですが…。
全部で500本くらいの輪ゴムを巻くんです。そうすると、圧力に耐えられずに爆発します。その頃、カメラで実験を録画することにハマってたんですが、友達が覗き込んだ瞬間に爆発して、それが面白くて「(ネットに)あげちゃえ!」って。
実験の内容は当時から自分で考えていたんですか?
当時は、海外の流行りの動画なんかを見つけてきて、自分たちでもやってみようっていうのが多かったですね。自分の思いつきで、自転車にいっぱいロケットをつけて進むか試したりとか…やったことはありますけど、成功しなかったことのほうが多かったです(苦笑)。
中学時代ですと、4〜5年前ですから、すでにYouTubeをはじめ、ネット上に面白い動画は当たり前にあったんですね。
ありました。メントスコーラとペットボトル爆弾が流行ってましたし、それを自分たちでも実際に試したり。
ネットに自分たちの姿をアップすることに抵抗はなかったんですか?
最初は、こんなのみんな見ないだろうって思ってました。1年くらいたっても視聴回数300回くらいでしたし。思い出に残すためと、近くの友達が見てくれたらいいやってくらいの感覚でした。
それがだんだん、みんなが見るように?
高1から、グループではなくひとりで動画を作ってアップするようになったんですけど、ゴキブリホイホイで壁にくっつくっていうのをやった頃から急に増えましたね。

「もったいない」気持ちで始めたYouTube投稿

グループではなく、ひとりで作ってアップするようになったのは…。
一緒にやってた仲間が進学した高校が厳しくて、顔出しができないんですよ。それまで編集をずっと僕ひとりでやってて、すごく大変だけど達成感もあったんです。だから、悔しい、もったいないって気持ちがあって。
「だったら俺がひとりでも!」と?
小さい頃は目立ちたがり屋でって話をしましたけど、その頃になると目立ちたがり屋どころか、すごく恥ずかしがり屋で…(苦笑)。
意外な方向に成長を…。
めちゃくちゃ恥ずかしがり屋で、面白いことを考えつつも「こんなこと、自分では絶対にやりたくないな」っていうのを仲間にやらせてたんで(笑)。まさか、自分がカメラの前に立とうなんて思ってなかったんですけど…。
それでも自分でやろうと思ったんですね。
「もったいない」って気持ちが強かったんですよね。それからやっていくうちに慣れて、すぐに恥ずかしいなんて気持ちもなくなりましたけど。
動画の作り方についてもうかがっていきます。りくさんの動画を見ていて、実験の内容そのものの面白さはもちろんですが、編集がそれをさらに増幅させているのを感じます。
それはうれしいです! 編集は基本、独学なんですけど、これまでに300本近く作ってきて毎回、何かできないかと悩みながらやってきたので、その蓄積のおかげですね。
とくに編集の際に気をつけていることはありますか?
“間”ですね。何か言い終わって、シーンとしてるときが面白かったりすることがありますが、そういうときは、その沈黙部分を切り取って、時間をあえて倍にしてスローにして見せたり。普通に見ていると気づけないような部分を、しっかりと強調したりするように意識しています。
動画として見る際、やはり、ちょっとした間やリアクションが大事なんですね。
そうなんです。そこはしっかりとコントロールするようにしてます。だから、編集もすごく時間がかかるんです。こないだ、デカいゼリーを作ったんですけど、撮影だけでも数日かけて、全部で7時間くらい、カメラを回してたんです。それを編集するとなると、丸1日かかっちゃいますね。
実験のアイデアに関してはどのように?
ネタは、思いついたら常にメモをしてます。それが溜まりに溜まって、いまは400くらいあるんです。まあ、そのうち200くらいは、いまはまだ技術的にも不可能なものなんですけど(苦笑)。
お笑い芸人がネタ帳を作るのと同じですね。
よく「ボーっとしてるぞ」って言われるんですけど(笑)、そういうときは考えてるときですね。どんどん書き溜めて、できることを片っ端からやっている感じです。
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