[J1・6節]浦和レッズ 7-0 ベガルタ仙台/4月7日/埼玉スタジアム
 
 仙台が浦和にクラブ史上最多の7失点を喫した。7点差をつけられての大敗も初めて。
 
 これまでの最多失点は、J1では02年8節・G大阪戦での0-6、03年第ステージ8節・浦和戦での2-6。J2では00年31節・湘南戦での2-6だった。
 
 歴史的大敗となった。興梠の驚くような跳躍からのジャンプヘッド、元仙台の武藤の魂のこもったスーパーミドル……。いずれも質が高く、精神的にも大きなダメージを受けるゴールを次々と決められていった。
 
 決して手を抜いているわけではない。仙台の選手それぞれが全力でプレーしているものの、連動性を欠いて噛み合わない。その統制を取れずにいるところを、ことごとく3バックとコンビネーションに一日の長がある浦和に攻略されていった。
 
 それでもゴール裏の限られたスペースを山吹色に染めた仙台サポーターは、懸命に声援を送り続けた。他クラブであれば、大量失点を食らう不甲斐ない選手に対し、応援するのを止めるサポーターグループもある。しかし試合終了まで、その熱い仙台らしいサポートは変わらなかった。
 
 そして試合後、仙台の選手たちがサポーターのもとへあいさつに来た。果たして、サポーターはどのようは反応をするのか? 歴史的惨敗を喫したとあって、心温かい仙台サポーターの堪忍袋の緒も切れるのではないか。そんなことを思って、観ていると--。
 
 一列に並んで深々と頭を下げる仙台の選手たちに、サポーターは拍手を送って励ました。力強い気持ちのこもった拍手で、打ちひしがれる選手たちの背中を後押ししたのだ。

  そのサポーターをずっと見守っていた渡邊監督は、「選手は勇敢に戦ってくれた。この結果は、すべて私の責任。しっかり受け止めてやっていきたい」と悔やんだ。開始2分の決定機を逃して無得点に終わった奥埜は、「点を取られても、プロであるならば修正しなければいけない。しかし今日はなにもできなかった……」と期待に応えられず肩を落とした。
 
 もちろん、サポーター間でもいろいろな意見があるはずだ(選手を甘やかしているのではないかなど)。埼玉スタジアムに訪れた中でも、怒りをあらわにした人も、拍手をしなかった人も数多くいる。これがホームであれば(ホームでこれほどの大敗はしないと思うが)、また状況は変わっていたはずだ。
 
 とはいえ、最悪の夜に、唯一無二の最高のサポーターが仙台にいることを改めて印象付けた。14年まで仙台でプレーした浦和の武藤も「仙台時代にサポーターに支えられたからこそ、今がある。感謝しかありません」と語る。

 貴重な週末、はるばる埼玉まで足を運び、失点を重ねても、勝利を信じて声を枯らした。単なる拍手ではない。

 この“12番目の選手たち”の熱き想いに応えるためにも、仙台の選手たちは落ち込んでいる時間はない。彼らは信じている。必ずベガルタ仙台は這い上がれるはずだと。
 
取材・文:塚越 始(サッカーダイジェスト編集部)