世界の国々を擬人化したキャラクターたちが登場するコメディ漫画『ヘタリア Axis Powers』を原作にしたミュージカル『ヘタリア 〜Singin' in the World〜』。昨年12月の初演は、史実寄りの重い内容をヘタリアならではのゆるさで包み込んだ絶妙な演出&脚本、キャストによる丁寧な役作りなどから好評を博した。そんな『ヘタミュ』の続編『ヘタリア 〜The Great World〜』は、さらにパワーアップした内容になるはず!!と期待を胸に、アメリカ役の磯貝龍虎とイギリス役の廣瀬大介にインタビューを敢行。本作への溢れんばかりの“愛”を語ってくれた。

撮影/すずき大すけ 取材・文/渡邉千智(スタジオ・ハードデラックス)
ヘアメイク/小菅美穂子(Sweets)

「楽しそうな廣瀬の姿が、僕のモチベーションに」(磯貝)



――昨年12月に公演された初演が終わってすぐのインタビューで、おふたりとも「はやく次(の公演)がやりたい!」とおっしゃっていましたね。

磯貝 次がやりたいって駄々をこねてました。もちろん楽しかったのもあるし、『ヘタミュ』の現場は、廣瀬がとくに楽しそうにしていて。
廣瀬 それ、『ヘタミュ』の取材で、他のキャストにも必ず言われるんですけど(笑)、『ヘタリア』への愛が強いのは僕だけじゃないですよ?
磯貝 僕ももちろん『ヘタリア』愛は自覚しているけど、廣瀬が楽しそうなのがなによりうれしいの。

――と、磯貝さんがおっしゃっていますが…?

廣瀬 今回の顔合わせのときに、原作の日丸屋秀和先生の担当編集の方がいらしていたんですけど、僕のために新しく発売された『ヘタリア』グッズを持ってきてくださったんです。僕のこれまでの『ヘタミュ』のインタビューを読んで、「これは持っていかなくては!!」と思ったらしくて(笑)。
磯貝 気を遣ってくれたんだね(笑)。
廣瀬 いろんなところで『ヘタリア』愛を語りすぎていたようです。グッズをいただけたのは、めちゃくちゃうれしかったんですけど、僕がねだったみたいになっちゃったんで、これからは控え目にしようかなって(笑)。でも、それくらい僕の『ヘタリア』愛が浸透しているみたいです。
磯貝 廣瀬が楽しそうにやっていることが、僕のモチベーションにもつながります。
廣瀬 何回言うの!(笑)でも、たしかに居心地がいい現場です。

――どんなところが居心地がいいんでしょうか?

廣瀬 キャストみんな仲がいいんですけど、お互いが干渉しすぎないんです。
磯貝 距離感がちょうどいいよね。
廣瀬 帰り道が同じだから一緒に帰るとか、ごはんを一緒に食べに行くとかはあるんだけど、家までは行かない、みたいな。あとは、誰かが何か考えごとをしているときは、ちゃんとひとりにさせてあげるとか。線引きがしっかりしているんです。
磯貝 たとえるなら、二十歳くらいのお母さんとの距離です。
廣瀬 え、どういうこと?
磯貝 自分が二十歳くらいのときの、お母さんとの距離感ってこと。あ、お父さんかな?
廣瀬 どういうこと、どういうこと?(笑)
磯貝 いい距離感ってこと!


▲磯貝龍虎


――(笑)。カンパニーのなかで、ムードメーカーとかまとめ役っていうと?

磯貝 みんな本当に個々で楽しくやっていますから、ムードメーカーっていうのは……本当にごめんなさい。いないんです。
廣瀬 いやいや、誰目線の発言(笑)。
磯貝 山沖くん(ロシア役/山沖勇輝)は、よくイジられてます。
廣瀬 舵を取ってくれるのは、寿里さん(フランス役)かな。
磯貝 そうですね。お兄さんが。
廣瀬 座長の崚行(イタリア役/長江崚行)は18歳だけど、すごく強い。『ヘタミュ』のキャストは本当に、個性のカタマリって感じですね。
磯貝 うん。新しいキャストが入ってきても、以前と変わらず笑いが絶えない。
廣瀬 新キャストが加わって、演出の吉谷(光太郎)さんが誰よりも楽しそうだよね。
磯貝 そうだね(笑)。
廣瀬 もう、みんなが『ヘタリア』っていう作品を愛しすぎている!(笑)

――そんな新キャストを加えた『ヘタミュ』の続編が11月10日からスタートします。

廣瀬 続編が決まったときは、すごくうれしかったですね。
磯貝 再演かと思いきや、続編ということで。
廣瀬 そう。続編って、簡単にできるものじゃないじゃないですか。
磯貝 これは本当にありがたいことでございますよ。新しい物語を観てもらえるっていうのは僕らもうれしいですし、お客さんも喜んでくださるんじゃないんでしょうか!?
廣瀬 なんで急によそよそしい感じになるの(笑)。


▲廣瀬大介


「原作とも違う、『ヘタミュ』のイギリス像がある」(廣瀬)



――おふたりが演じるキャラクターについてお伺いします。廣瀬さんが演じるのは、ちょっぴり皮肉屋なところがある紳士・イギリスです。

廣瀬 今回の舞台では、原作のイギリスだったら絶対言わないような、荒っぽいセリフがたくさんあるんです。「てめぇら、何やってんだ」とか(笑)。それを「イギリスっぽくやって」と言われる。僕やファンの方のなかに原作のイギリス像はもちろんあるんですけど、それとは別に、『ヘタミュ』のイギリス像というのができあがってきたなという気がします。

――初演のイギリスは、原作のツンデレっぽい感じよりも、ロックを貫いている感じがありました。

廣瀬 今回は、初演で僕らが演じた個性がそのまま脚本に投影されている感じで。
磯貝 そうだねぇ。
廣瀬 原作を意識して脚本が書かれたというより、初演で僕らが演じた様子をふまえて書いてくれているんだろうなというシーンがいくつかあって、そこは面白かったです。今回、イギリスは「紳士」というワードを使うところがけっこうあるので、紳士的にいこうかなと。

――磯貝さん演じる、ヒーローを愛するポジティブガイ・アメリカはいかがでしょうか?

磯貝 今回はイギリスとの関係性に焦点を当てた内容になっているので、イギリスとの関係や友情っていうのをお客さんに見せられたらなと思っています。それに、お話は大航海時代。アメリカ大陸発見! のときなんですね。ということは、アメリカはまだ小さい頃、ということなんですね。
廣瀬 口調がおかしいよ(笑)。

――小さい頃のアメリカも磯貝さんが演じる、と?

磯貝 そうですねぇ。僕、けっこう大きいじゃないですか。いやぁ、そんな僕がどんな赤ちゃんになるかは……。
廣瀬 磯貝先生が赤ちゃんをやるとして、しかも面白くなるとして、パッと浮かんだものが答えです。たぶん、みなさんがイメージしていただいている姿で合ってます(笑)。イメージできました?

――できました(笑)。

磯貝 それです。だいたい合ってると思います。こちらからは以上です。
廣瀬 正直、そのベイビーが登場するシーンはほっこりするよね。
磯貝 すごくかわよく(笑)、演じますので。
廣瀬 ひとつ言っておきたいんですが、本人(磯貝さん)は一切ふざけてないです! 本当に誤解を生みそうな感じなんですが、狙ってやってるわけではないので。
磯貝 はい。本当に狙ってないです。ここは本当に、本当に太字で書いてください!(笑)



「アドリブは僕発信じゃない、台本に書いてるの!」(磯貝)



――『ヘタミュ』の面白さというのは、どんなところだと思いますか?

磯貝 『ヘタリア』の世界観って、締まるところは締まるけど、けっこうゆるいんですよね。
廣瀬 歴史上の重たい話をポップに描くのが、『ヘタリア』の魅力だからね。
磯貝 そのポップさを表現するべく、『ヘタミュ』では日替わりのアドリブシーンも多いという。
廣瀬 僕ら生身の人間のリアルなキャッチボールなので、何が飛び出してくるのかわからない……。とくに、この人(笑)。
磯貝 ふふふ…。
廣瀬 ホントに彼の頭のなかから何が出てくるのか……もう、鳩でも飛び出してくるんじゃないかとか思っちゃうくらい。
磯貝 ここできちんとお伝えしておきたいのですが、あのアドリブは、決して僕の独断でやっているわけじゃないんですよ! 「もっと自由にやっていいよ」って大人から言われるんです!

――前作は磯貝さんのアドリブ無双でしたが、それも大人からの指示で?

磯貝 そうです、アドリブに見えてアドリブじゃないんですよ。台本に「アメリカ、ここで何か言う」って書かれているんですよ。
廣瀬 雑な指示!(笑)
磯貝 台本に「何か言う」って書かれてあるから、僕はアドリブで乗り切るしかないんです。台本に「だっふんだ」って書かれてるときもありました。脚本家はきっと、夜中の3時くらいに書いたんでしょうね(笑)。僕としてはそう台本に書かれていたら、それをどげんかせんといかん!!じゃないですか。

――果たして、今回はどうなるんでしょうか…!

廣瀬 今回もアドリブ多いよね。しかも、吉谷さんが「ちょっと俺、浮かばないから龍虎、考えてくれる?」って、磯貝先生が演出を任されている場面もあるし。

――演出を? 磯貝さんが?

廣瀬 吉谷さんが「龍虎、ここよろしく!」って。「そんなことある!?」って思うんですけど(笑)。
磯貝 しかも、けっこうあるよねぇ。
廣瀬 1シーンに1個くらい。アメリカが出てくるたびに1個はある。



――以前のインタビューで、廣瀬さんが「『ヘタミュ』はふわっとしているけどエネルギーをすごく使う」とおっしゃっていたのが印象的だったのですが、それはそういうアドリブのシーンが多いから、ですか?

廣瀬 それもありますし……振付師のMAMORUさんが、出番がないキャストに「今、空いてる? じゃあ出ちゃおうか」って突然ステージに呼んで、急きょ出番が増えることがあるので(笑)。
磯貝 そうなんです。楽し〜い人なんです。

――えっ、出る予定がない場面でも?

廣瀬 一回完成したダンスシーンを見たうえで、「つまんない」って言って。
磯貝 「つまんない。やだ、来て(招くポーズ)」って。
廣瀬 それはアンサンブルに限らず、メインの僕らも同じで、「フランス、今、空いてるよね? ちょっと入って」って呼ばれたりして。急きょ出番が増えた人は、みんながやっている振り付けをその場で覚えないといけない(笑)。

――スゴい! その場で作っていく感じなんですね。

廣瀬 きっと感覚でやってるんでしょうね、MAMORUさんは。ホントに天才なんだなって思います。
磯貝 今回もそういう場面がけっこうありそうです(笑)。



「僕から磯貝先生への愛はすごく強いです。ね?」(廣瀬)



――おふたりは『ヘタミュ』以前にも共演されてますよね。最初は映画『ふみだい食堂』。

磯貝 『ヘタミュ』の脚本でもおなじみの、なるせゆうせいさんが監督の。
廣瀬 そうだったっけ!?
磯貝 そのときはお初だったから、全然話してないね。

――その次が、舞台『逆転裁判2 〜さらば、逆転〜』(再演)でしたが。

磯貝 あ〜、あのときは、スマホアプリのゲームで友だちになってくれただけだったな。
廣瀬 あははは。

――では、おふたりの距離がグッと縮まったのは、前回の『ヘタミュ』がキッカケですか?

磯貝 そうなんです。
廣瀬 僕、植ちゃん(日本役/植田圭輔)にも「『ヘタリア』はお前を変えてくれた作品だから、お前は『ヘタリア』に感謝したほうがいい」ってよく言われるんです。それくらい、『ヘタミュ』を通して、いろんな人と話すようになったようで……。僕自身は、あまり自覚がないんですけど。
磯貝 廣瀬とこんな密に仲良くなれるなんて。ホントありがたいです。

――お互いの最初の印象って覚えていますか?

廣瀬 「いい意味で、頭がめちゃくちゃおかしい」と人から聞いていたので、相当ぶっとんでるんだろうなと思っていたんですけど、実際にお会いしてみたら、めちゃくちゃいい人で。僕、カンパニーのなかで1番、2番くらいで尊敬してます。
磯貝 えっ! そんなこと言われたらこれからやりにくくなる(笑)。
廣瀬 えっ(笑)。実は、そうなんです。今まで誰にも言ってこなかったけど。



――磯貝さんのどんなところを尊敬されているのでしょうか?

廣瀬 アドリブアドリブって僕もけっこうネタにしてますけど、磯貝先生は台本に書かれていることを忠実にやっているだけなんです。磯貝先生発信のアドリブって実は少ないよね? 演出からの「やってほしい」っていう要望に答えているだけなんだけど、答えられる技量とかテクニックを持っているのが本当にスゴいなって。
磯貝 ……(照)。
廣瀬 だからこそ、今回描かれるアメリカのシリアスな部分っていうのは、個人的にずっと観たいなと思ってました。磯貝先生なら絶対、みんなを泣かせる芝居をしてくれるってわかってるから(笑)。

――磯貝さん、褒められまくってニヤニヤが抑えられなくなってますけど(笑)。

磯貝 はい(照)。
廣瀬 僕、「人に懐かない」ってけっこう言われるんですけど、僕から磯貝先生への愛はすごく強いです。ね?
磯貝 すごくうれしい。

――磯貝さんから廣瀬さんへの印象はいかがですか?

磯貝 かわいいよ(照)。
廣瀬 ちょっと!(笑)
磯貝 廣瀬は役に対してまっすぐ。もう垂直!って感じでまっすぐ。どんと来い、みたいな。
廣瀬 どんと来い? あ、僕が受ける側だったとして?
磯貝 そう。何の心配もない感じ。僕から「こうしたほうがいいんじゃないの?」って言うこともまずないです。廣瀬の愛にも僕が答えないとね。その倍にして返すぜ?ってくらいの関係までいきたいよね。

――舞台上でのアメリカとイギリスの関係性には、おふたりの“素”の関係性がいい感じに反映されそうですね。

磯貝 やっぱり、一緒の芝居はテンポがすごくいい感じになるよね。
廣瀬 この前、アメリカとイギリスが出てくるところで「コントが始まったね」って言われたし。
磯貝 早く本番になってほしいなぁ。

――ここまでおふたりのお話を聞いてきて、本番がますます楽しみになりました!

磯貝 僕自身も楽しみです! 最初から最後、カーテンコールまで楽しい空間になることは間違いないので、お客さんにはただただ楽しんでほしいですね。
廣瀬 お客さんの「楽しみ」を超えられるような作品をみんなで一生懸命作っていますので、期待して劇場に足を運んでくださるとうれしいです!



【プロフィール】
磯貝龍虎(いそがい・りゅうこ)/1987年3月14日、北海道生まれ、O型。2008年、ミュージカル『テニスの王子様』の千歳千里役でデビュー。以降、さまざまな舞台に出演。出演作は、ミュージカル『AMNESIA』(ウキョウ役)、ミュージカル『ハートの国のアリス』(エリオット=マーチ役)、舞台『逆転裁判』シリーズ(糸鋸圭介役)など。
【Twitter】@Ryukonbu

廣瀬大介(ひろせ・だいすけ)/1991年6月3日、東京都生まれ、B型。2011年、ミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズンでの、木更津 淳、木更津 亮役で注目を集める。出演作は、ミュージカル『薄桜鬼』シリーズ(沖田総司役)、『メサイア』シリーズ(悠里淮斗役)など。2016年12月15日〜2017年1月17日上演の舞台『刀剣乱舞』虚伝 燃ゆる本能寺(一期一振役)が控えている。
【Twitter】@da_sukemaru


■ミュージカル『ヘタリア 〜The Great World〜』
http://musical-hetalia.com/


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■受付期間:11月9日(水)19:00〜11月15日(火)19:00

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