中学生にはスマホを持たせない、LINEなどSNSは使わせない――そんな栃木県壬生町の取り組みがネット上で注目されている。事件に巻き込まれたりイジメが生まれる温床にもなるし、夢中になる事で成績が下がり友達を作れなくなる、というのが理由だ。

だが、「ポケモンGO」が日本でも公開されるというタイミングもあり、ネット上では賛否両論が渦巻く熱い議論に発展している。

保護者に続き、児童生徒に「宣言」を提示

壬生町が2016年6月20日に小中生に対して提示したのは「みぶっ子スマホ・ケータイ宣言」。概要としては、(1)スマートフォンやケータイ電話を持たないようにする(2)LINE等のSNSを利用しないようにする、というもの。実はこの2点は15年6月に保護者に提示した「壬生町児童生徒健全育成アピール」と同じだ。

しかし、14年時点で小学2年生の28%、中学2年生の53%がスマホやケータイを持っていて、実情に合わないとの指摘があった。

このため、今回の「宣言」では、 例外として(3)家のつごうで持つ時は、小学生は夜8時、中学生は夜9時には親にあずけよう(4)平日のネットやゲームは1日1時間まで(5)フィルタリングを必ずかけよう、を追加して小中生に提示した。しかし、原則はあくまで「スマホはもたない」「SNSは利用しない」だという。

町の生涯学習課にJ-CASTニュースが16年7月22日に取材したところ、

「小中学生はスマホを持ったり、LINEなどSNSを使ったりすることは、現状では必要ないのではないかと判断したためです」

と説明した。連日のニュースにもなっているが、事件に巻き込まれたり、イジメが発生したりする。また、夢中になってしまうことで寝不足になり成績が下がったり、生活のリズムが狂い学校に行くのがイヤになったりする。そして、友達がうまく作れない生徒になる可能性もある。そして教師や保護者はネット上で何が行われているのか容易に知ることができない、などが理由だ。また、スマホを持たせない、SNSを利用させない動きは既に全国で始まっているとも説明した。

将来必ず使うことになるのは分かっている

こうした壬生町の取り組みについてネットでは、「そもそも小中生にスマホやSNSは早すぎる」「これだから日本のITは遅れるのだ」などと賛否両論渦巻いて論争に発展している。反対派は

「いつの時代でもそうだけど、大人は新しいものを規制したがる。大人だって使いこなせないから。でも、それが当たり前の時代に育つ子供は、大人よりも柔軟に『新しいもの』を学ぶ。危険性も利便性も」
「スマホあっても無くてもいじめとか普通に起きるだろ?それこそ自分の子供時代を思い出してみるべき。結局環境がどうであれ、コミュ障は無くならないし、ズレた感覚を持つ奴は必ず出てくる」
「任天堂に対する挑戦かな?これから日本中がポケモン捕獲に夢中になるのに」
「禁止は教育じゃないぞ」

などと主張し、賛成派は、

「うちの中学生はスマホの使用制限したら普通に成績上がったぞ。今日通知表貰ってきたが今までとは比べ物にならん」
「小学生がスマホやらタブレットを一心不乱に触る姿は本当に異様としか言いようがないわ」
「なぜネットを全面禁止しない?嘘を見抜けない子供にネットを触らせるのは危険」

などといった書き込みが掲示板に出ている。

今やスマホは社会人にとって必須のアイテムになりつつあり、子供の頃から操作方法やネット情報の取得など、慣れ親しんだ方が、後にプラスに働く可能性は無いのか。壬生町生涯学習課の担当者は

「将来必ず使うことになるのは分かっています。その時に戸惑ったり間違いを犯さないように小中校でタブレットやネットに関する講習会を開いています。ただし、それはあくまで知識を得るためであり、今は使う必要がない、という考えなんです」

と話している。