現在、小学校でのプログラミング教育の必修化が検討されている。それも影響してか、子供向けのプログラミング学習は、盛り上がりをみせつつあるようだ。

そこで今回は、世界で1200万人以上が利用している子供向けプログラミング言語 「Scratch(スクラッチ)」を紹介しよう。

●世界で1200万人以上が利用している子供向けプログラミング言語
最近は、子供向けのプログラミング教育が盛り上がっている。背景には、慢性的なITエンジニア不足という問題がある。
そうした背景から文部科学省が、2020年度からの新学習指導要領で、小学校でのプログラミング教育の必修化を検討すると発表したことで、子供にプログラミングを教えたいという親が増えているのだろう。

Scratch(スクラッチ)は、こうしたニーズに最適な子供向けのプログラミング言語だ。
開発したのはアメリカのMITメディアラボで、対象年齢は8歳から16歳までとされている。
もちろん、大人が利用してもかまわないし、大人でも十分勉強になる。すでに世界では1200万人以上、日本では10万人近いユーザーが登録して利用している。

Scratchには、パソコンにインストールするバージョンとWebブラウザだけで利用できるWebアプリケーション版がある。

ちょっと試してみるなら、Webアプリケーション版がおすすめだ。Webアプリケーション版のScratchを利用するには、https://scratch.mit.edu/ にアクセスすればいい。


ScratchのWebサイト。


●レゴブロック感覚でパーツを組み合わせてプログラムを作る
Scratchでプログラムを作るには、ScratchのWebサイトを表示して、左上の[作る]をクリックする。すると、次のような画面が表示される。


Scratchのプログラミング画面


左上にはネコのイラストが表示される。このイラスト(「スプライト」と呼ぶ)の動きを制御するプログラムを作るのが、Scratchによるプログラミングだ。
中央にはプログラムのパーツが並んでいる。プログラミングするには、動きや見た目、イベントなどを制御するパーツ(スクリプト)を右側のエリアにドラッグ&ドロップして組み立てる。

感覚としては、レゴブロックを作るのと似ている。
組み立て方によってネコの動きが変わるので、プログラミングをまったく知らなくても、試行錯誤で楽しめるわけだ。

スクリプトのパーツには、「もし○○なら」などの制御、「スペースキーが押された」といったイベント等が用意されている。
遊びながら、制御文やイベントなどの考え方が自然に身につく仕掛けになっている。

なお、初期状態で表示されるネコのイラストだけでなく、ライブラリから新しいイラストを追加したり、自分自身をカメラで撮影してプログラムで利用したりすることも可能となっている。


中央のパーツを右のエリアにドラッグ&ドロップして組み合わせてプログラムを作る。



プログラムは、このようにパーツをブロックのように組み合わせて作成する。



イラスト(スプライト)はライブラリから選ぶこともできる。


●ゲームとして楽しみながらプログラミングの基本が学べる
Scratchのいいところは、ゲーム感覚で楽しみながらプログラミングの考え方が身につくところだろう。

イラストを自由にコントロールするには、パーツを複雑に組み合わせなければならない。その試行錯誤を通じて、条件分岐や繰り返し、あるいはオブジェクトやプロパティ、イベントといった考え方を、自然に身につけることができる。

小学生からプログラミングを勉強することに、どれほどの意味があるのかはよくわからないが、Scratchが知的なゲームとして面白いのは間違いない。
Scratchにハマる子供がいたら、きっとプログラミングも楽しめるはずだ。

なお、Amazonで検索したら、Scratch関連の書籍も、けっこう発行されているようだ。子供に教えるなら、こうした参考書が多いことも心強いだろう。

Scratch のWebサイト
小学校でのプログラミング教育必修化を検討


井上健語(フリーランスライター)