5月だというのに気温が急激に上昇し、冷房の冷気にカラダがさらされたことで、鼻がグシュグシュ、全身がだるい、咳が出る……といった、夏風邪の症状に悩まされる人が多い今日この頃。
季節の変わり目は体調を崩しやすいものですが、実は以前から「風邪を引いた時にコーラを飲むといい」という定説が、フランスをはじめとする欧米で定着していることをご存じですか?
私たち日本人にも愛されるコーラ。その炭酸飲料がなぜ風邪に効くと言われているのでしょう?

1

世界の共通言語であり、永遠のライバルともいえる「コカ・コーラ」と「ペプシ


世界中で「コーラ戦争」を繰り広げてきた2大ブランド

ザ コカ・コーラ カンパニーとペプシコといえば、言わずと知れたアメリカの2大コーラ会社。
2社はこれまでコーラを中心に様々な飲料を発売し、そのシェア争いは「コーラ戦争」と名付けられるほどの熾烈で、世界各国で激しいマーケティング争いを繰り広げてきました。
日本で初めてコーラ系の炭酸飲料が発売されたのは1950年代。
56年にペプシコーラが、翌57年にコカ・コーラが日本市場に参入し、日本でも「コーラ戦争」が勃発。
勝敗の行方は、65年に缶入りコーラをいち早く発売したコカ・コーラに軍配が上がり、その後コカ・コーラが圧倒的シェアを占めることに(67年にペプシコも缶入りペプシを発売)。
低カロリーブームの現在においても、「コーラ戦争」の勢いはとどまることなく、
● ザ コカ・コーラ カンパニー ➡〈ダイエットコーク/コカ・コーラ ライト〉〈タブクリア〉〈コカ・コーラ ゼロ〉
● ペプシコ ➡〈ダイエットペプシ/ ペプシライト〉〈ペプシワン〉〈ペプシNEX〉
といった具合にあるゆる商品でしのぎを削っていますが、日本では97年にペプシコーラの販売権を清涼飲料水業界第2位のサントリーが取得したことで、業界1位の日本コカ・コーラを猛追。
現在ではコカコーラ : ペプシコーラの割合は、約3 : 1ともいわれています。

復刻版のビン入りコーラも最近大人気!


古くから風邪薬として重用されてきた!?

実は、フランスではコーラが風邪の特効薬として飲用されているほか、中国でも風邪の民間療法としてホットコーラが重用されており、ドイツ、スペイン、アメリカでも風邪を引いたときはコーラを飲むようにと医師がすすめているという話も!
遡ること1880年代。当時、精力増強や頭痛緩和を目的として発売された薬用酒・コーラ。
コカ・コーラの社名の通り、コカの葉に含まれる鎮痛成分に着目したある薬剤師が、風邪用シロップを作っているときに、炭酸で偶然割ったことで生まれた飲み物がコーラだというエピソードも。そうした所以から、頭痛がするとコーラを引用する欧米人が今も多いと言われています。
一方の「ペプシ」には、整腸作用やコレステロール低下作用が期待される酵素・ペクチン(食物繊維)が含まれています。この成分に着目した薬剤師が配合した整腸薬 = 飲み物が、ペプシ コーラの発端だったといから驚きですね。
その他、両飲料に含まれる主な成分を見てみると、果糖ブドウ糖液糖、ごく少量のアルコール、砂糖、カラメル、ナツメグ、レモン、オレンジ、コリアンダー、シナモン、バニラ、ネロリ、カフェイン、ライムとなっていて、咳止めシロップと似た成分で構成されていることがわかります。
余談ですが、今もその全貌が明らかになっていない成分がコーラに含まれていることをご存じですか?
それはコカ・コーラのレシピで唯一明らかになっていない「7X」なる秘密の香料。
コーラ独特の味の決め手となっている「7X」の存在は、コーラ好きにはとても気になりますね。

南米で愛飲されている「コカ茶」


風邪に効くと言われる根拠を調べたところ……

● 炭酸の効果 ➡ 炭酸が胃に入るとゲップが出ますが、その炭酸が胃の働きを活性化してくれるのです。つまり、胃の壁が伸びて消化の働きが活発になることで、食欲減退時に“食欲が増す”効果が期待できるというわけ。さらに、炭酸には疲労のもとになる水素イオンを取り除く作用も。
●カフェイン ➡ 頭痛や偏頭痛を緩和させる効果のほか、風邪による炎症で狭くなった気管を拡張してくれる効果や、頭痛を和らげてくれる働きも。
● 糖質 ➡ 体調不良時に不足しがちな糖分の補給が手軽にできるうえ、風邪をひいて食欲が減退しているときにコーラは手軽なエネルギー源代わりに。
● 水分 ➡ 炭酸・カフェイン・糖質が発揮する効果に加え、手軽に水分が補給できることで脱水症状を防ぐ効果も。
これらは、あくまで「期待できる」といったレベルのものですが、ちなみに欧米では、風邪を引いたときにホットコーラにしたり、冷えたコーラにレモンやショウガを入れて飲む人が多いそう。

風邪を引いたら、快眠と消化のよい食べ物が一番!

ただし、風邪を引いたからといって安易にコーラを飲用(がぶ飲み)せず、以下の点に十分な注意が必要です。
● コーラとの飲み合わせが悪い解熱剤もあるので注意が必要
● アスピリン系の薬は炭酸の影響で効果が弱まるので、コーラと一緒に飲まない
● コーラの飲み過ぎは逆効果。過ぎたるは及ばざるがごとしです。
この時季の風邪は長引くことが多いので、まずはカラダを安め、質の良い睡眠と消化の良い食事を取ることが最善の方法です。外気と冷房の温度差でカラダは想像以上に疲弊していますので、十分にいたわってあげてくださいね。

アスピリン系の薬とコーラはNG!