▲英語配列モデル

PFUのHappy Hacking Keyboard (HHKB)といえば、小型高級キーボードの代表格として知られる製品。そのBluetooth版がついに登場します。モデル名はストレートに『Happy Hacking Keyboard Professional BT』。
バリエーション(キー配列)は、英語、日本語、英語無刻印の3種類で、本体カラーは墨。価格は2万7500円(税別)で、同社直販(PFUダイレクト Amazonショップ)専売モデルとなります。発売は4月25日。本日から予約を開始します。

Bluetooth化に関して気になるポイントとしては「電源は単三乾電池×2本、またはマイクロUSBによる給電」「電源スイッチと電池ケースは背面」「4台までのホストとマルチペアリング可能。しかし明示的選択は不可」「Bluetoothバージョンは3.0」といったところ。続きで解説します。

【ギャラリー】HHKB Professional BT (19枚)



位置づけとしては、文字通りHHKB Pro 2のBluetooth版となります。そのため、キーの構造(静電容量無接点方式)や基本的な打鍵感などはHHK Pro 2と変わりません。またキー配列なども「日本語版のみに矢印キーがある」点を含めて同じです。

ここでポイントとなるのが、タイピング音が静かなスペシャルモデル「Type-S」仕様ではない点。PFU側のコメントとしては、Bluetooth化による価格上昇などを考慮してとのこと。実際に本機の価格は有線版(HHKB Professional 2シリーズ)より4500円アップと、Type-Sと同等です。
ただし、ユーザーからの要望が多ければ、Type-S版や白バージョンに関しても検討するとのコメントもありました。

▲日本語配列モデル。有線版と同じく、矢印(カーソル)キーはこちらにのみ設けられています

気になるバッテリーに関しては、入手性を優先して単三乾電池×2本を使用。バッテリーケースは背面に位置します。

本体サイズは294×120×40mm(幅×奥行き×キートップ上面までの高さ)、本体重量は英語配列と無刻印モデルが530g、日本語配列モデルが540g(電池含まず)。有線版と比較すると本体サイズは奥行きが10mm長く、重さは英語配列と無刻印では同じ、日本語配列は20g重いのみです(一見計算が合いませんが、有線の英語版のみUSBハブ機能があり、もともと重かったことから)。

▲無刻印モデルは英語配列のみの設定となります

ユニークな点としては、USB マイクロB端子による給電機構を備える点。USBの信号は通っていないため、有線としての運用は不可能で、また充電池への充電機能もありませんが、USBからの給電中は電池の消費を抑えることができます。また、USBモバイルバッテリーにも対応するため、単三乾電池と合わせて柔軟な運用が可能な点をアピールします。

バッテリー駆動時間に関してはPFU側のテスト値で、約3ヶ月(アルカリ乾電池使用時)。なお参考値ながら、エネループ標準モデルでは約2.5ヶ月、マンガン乾電池では約1.7ヶ月とのこと。

バッテリー駆動時間は比較的短めですが、これは「静電容量無接点方式自体が、キーボードとしては比較的電力を必要とする仕様である点が大きい」との旨のコメントがPFU側から出ています。

▲右上方に接続状態を示すLEDを搭載

またバッテリー寿命を延ばすために、2段階の省電力状態を備えます。まずはおよそ5分の無入力状態が続くとスタンバイ状態に。これはキーを押すことで解除されます。さらに無入力状態がおよそ30分続くと自動電源オフとなり、Bluetooth通信自体を切断するという方式です。

ここで注意点としては、自動電源オフ状態からは背面の電源スイッチを押して復帰する必要があること。これはバッテリー駆動時間を延ばすためとはいえ、いささか煩わしいと感じる人もいそうな仕様でしょう。そのため、自動電源オフはディップスイッチにより無効化することが可能です。

▲横から見た状態。バッテリーケース部はこのような形状です

もう一つ、ヘビーユーザーは気になるであろうマルチペアリングに関しては、冒頭でも紹介したように4台までのホストをサポート。ただし明示的な切り替えは不可能で、「最も新しくペアリングされた機器から順に自動で切り替えられる」方式となります。

このため「複数台PCを電源付けっぱなしで運用している」というユーザーなどは、ペアリング順を工夫して対処するか、PC側でBluetoothのオン、オフを切り替えるなどの工夫が必要となります。また、4台を超えて登録した場合は、もっとも古くに登録したペアリングデータが自動で消去される仕様です。

▲二段階に高さ調節可能なチルト用の足も、有線版を継承します(写真は折りたたみ状態と合わせた三段階を合成)

BluetoothのバージョンはVer.3.0 Class2。そのため到達距離の目安は10m程度。プロファイルはHID 1.0に対応します。

サポートOSはWindows (Vista SP1以降)、(Mac)OS X 10.5以降、Android 4.0以降、iOS 7.1以降。なお有線版と同じく、WindowsモードとMacintoshモードの切り替えはディップスイッチで行う仕様となります。
またiOSに関しては、日本語配列モデルを接続した場合も英語配列キーボードとして扱われるため、記号などがキートップ表記と異なります(iOSの制限)。

▲電池カバーが見えない角度から見ると、一見しただけでは有線版とほぼ区別が付きません

このようにHHKB Professional 2 BTは「HHKB Pro 2をほぼそのままBluetooth化した」と呼べそうな仕様のモデルに仕上がっています。

せっかくのマルチペアリング対応なのに、ホスト機器の明示的な切り替え機能がない点やWindows-Macモード切り替えが手軽にできない点などは惜しいところですが、HHKB Pro 2のコンパクトさや配列などはそのまま。

なにより、「途中まで押し下げると指が吸い込まれるような」RealForceシリーズとも異なった独特の打鍵感もそのまま(PFU側に聞いてみましたが、これは「意図した味付け」とのことでした)。このあたりは操作感の継承をコンセプトとするHHKBシリーズらしいとも言えますが、やはり嬉しいところ。また、単三乾電池とマイクロUSB給電の合わせ技が可能な電源仕様なども、実用性を重視するHHKBシリーズらしいところと呼べそうです。