ユナイテッドアローズが、2016年3月期の第3四半期決算を発表した。単体売上高は前年同期より8.8%増加。1月中旬頃まで続いた記録的暖冬の影響でアパレル商材を扱う各社は業績が厳しい中、ユナイテッドアローズはどのようにして売上を伸ばすことができたのか。 UAが暖冬でも売れた理由の画像を拡大

 同社は秋冬商戦の成果要因として、柔軟な価格設定、気温に売れ行きが左右されにくい商品の展開、事業特性に応じたアイテム構成、トレンドを的確に捉えるマーケティング力、8シーズンに細分化したことによる売れ筋商品の早期把握の5つを挙げている。具体的な展開事例としては「グリーンレーベル リラクシング」のロングカーディガンで、発売から継続的にウィメンズ服飾のファーストセラー上位をキープ。同事業は、先物が支持される「ユナイテッドアローズ」事業とは異なり、実需寄りの商品が売れる傾向にあり、端境期に投入して実売につながった。また「グリーンレーベル リラクシング」は、昨年春から1年のMD区分を以前の6つから8つに細かくしたことで、売れ筋商品を迅速に追加対応できるようになったことも奏功し、ロングカーディガンはシーズンを通して高い売上を保ったという。 ユナイテッドアローズでは価格設定も見直し、メリハリを付けた。メンズのニットやドレスシャツにリーズナブルなプライスの商品を投入する一方で、高くても支持されるトレンド品は、デザイン性や素材などの商品価値を強化して価格を高め、3ヶ月トータルでは客単価の上昇につながった。例えば「ユナイテッドアローズ」のウィメンズパンツでは、人気のガウチョパンツやワイドパンツによって平均単価が5%程度アップしたという。的確なトレンド品を打ち出すために、流行を分析するファッション・マーケティング部とMD推進部が連携を図っている。 そのほか、気温に売れ行きが左右されにくい商品としては、「ユナイテッドアローズ」で販売した「ダニエル・ ウェリントン(Daniel Wellington)」のウィメンズ別注品が大きく売上を伸ばし、防寒小物のマイナスを補ったことで12月の雑貨部門の売上を前年比プラスに押し上げたと共に、「ビューティアンドユース」ではベストセラーの2WAYバッグが安定的な売上を確保した。 売上は好調だが、売上総利益率が前年同期よりも低下しており、セールの短期化などによって値引きロスを低減させ、同時に商品力を向上させることで中長期的な改善に取り組む。