左:山下 斐紹選手 右:宮内 和也選手

 千葉県を代表する名門・習志野。夏の甲子園は出場8回中、全国優勝2回を誇る名門校だが、2001年夏の甲子園出場以来、しばらく甲子園から遠ざかっていた。復活を遂げたのは2008年秋から。市立船橋を1996年〜1998年を3季連続で甲子園出場に導いた小林 徹監督、加瀬  弘明部長が母校である習志野に異動してきて復活を果たす。2009年選抜甲子園出場、2011年夏の甲子園8強と全国にも顔を出すだけではなく、千葉県内では常に優勝争いに加わり、完全復活を遂げた。

 OBにはミスタータイガースの掛布 雅之氏(元阪神タイガース)、2000本安打を達成した谷沢 健一氏(元中日ドラゴンズ(ファーム)など)、昨年まで東京ヤクルトスワローズの監督を務めた小川 淳司(元ヤクルトスワローズ)監督。近年では超高校級捕手として注目を集めた山下 斐紹(福岡ソフトバンクホークス)、走・攻・守と当時から高い能力があった福田 将儀(東北楽天ゴールデンイーグルス)などの数多くの野球人を輩出している、習志野の2008年以降のつながりを探っていきたい。

福田、山下のプロ入り選手だけではなく、投手、野手ともに大学で活躍する選手を輩出

 習志野高校が復活を始めた2008年秋は、ブロック代表決定戦で県立船橋  に3対4で敗れるが、この年から二次予選が始まり、二次予選から勝ち上がって県大会出場を決めると、県大会では優勝を果たし、関東大会出場。関東大会でも決勝で慶應義塾に敗れたが、準優勝を収め、2009年春選抜出場を果たした。

 この時から福田と山下は主力選手で、初戦の彦根東戦で福田が本塁打を放つ活躍を見せ、初戦突破を果たすが、2回戦で利府にサヨナラ負けし、準々決勝進出はならなかった。

 2010年は最上級生となった山下、福田を中心に、春季大会関東大会準優勝、夏も千葉大会ベスト4入りを果たし、復活の道を一歩ずつ歩んでいた。

 この年、ドラフト1位にプロ入りした山下は、夏の千葉大会で、2ホーマーを放つなど大活躍。小林 徹監督によると、この冬はかなり集中的に練習に取り組んできたようで、春先からの練習試合で本塁打を連発。自分の取り組みが春先から結果が出たことで、自信を深めていったようだ。頭も良く、意識の高い選手だったと評価していた。

 そして2011年、1年生から公式戦出場を果たしている宮内 和也、下級生のときから主戦で投げていた泉澤 涼太、千葉大会を、主に先発として試合を作った在原 一稀、1年生ながら4番に座った松山 大志などが軸となり、春関東大会優勝を果たすと、夏の千葉大会では他校を全く太刀打ちさせない野球で、2001年以来の10年振り8度目の甲子園出場を決める。

 甲子園初戦の静岡戦(2011年08月07日)、宮内が本盗を決める活躍を見せ、6対1で快勝。さらに2回戦では明徳義塾を9対3で破り、そして3回戦では150キロ右腕・釜田 佳直を擁する金沢と対戦。試合は競り合いとなったが、2対1で金沢を破り、準々決勝進出を果たす。

 そして準々決勝ではこの年の甲子園覇者となる日大三と対戦し、0対5で敗れはしたが、決勝戦で11対0と圧倒的なスコアで優勝を決めた日大三相手にしっかりと試合をしたチームとして、習志野復活を全国に印象づけた1年であった。この代では宮内がこの年開催されたAAAアジア選手権に選出され、また泉澤は、中央大進学以降は野手に転向し、長打力あるスラッガーとして活躍を見せている。

 その間にも大学で活躍する選手を多く輩出。

 2013年卒には、好打者の福山 慎吾、技巧派左腕・在原 一稀、緩急自在の投球を見せる140キロサイドハンド右腕・木村 光彦を輩出し、2014年卒には強打者・松山 大志、2015年卒ではパンチ力があり勝負強さが光った内野手・飯島 将輝など、投手、野手ともに能力が高い選手を輩出している。

 現在、夏の千葉大会真っ最中の2015年。左腕・深田 慶太郎、土井 大輝、尾形 康平を中心とした投手陣に、長打力があり2年生ながら4番に座る内山 京祐や、松井 裕樹投手の弟・松井 和輝選手など好選手が揃う。

 これほど人材を多く輩出しているのは、習志野高校創立時の習志野市長・白鳥 儀三郎氏が語った「習志野の王冠たれ」という合言葉の下に人材育成に努めてきた理念がある。そういう中で、人材育成を育み、多くの卒業生を輩出してきた。

 また野球部だけではなく、サッカー部や吹奏楽部も全国クラスの実績を誇り、まさに野球だけではない名門校として、これからも歩んでいく。

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[page_break:2008年以降の主な卒業生達]2008年以降の主な卒業生達

ここでは主な卒業生を紹介していきたい。

■2010年卒・山田 翔太(桐蔭横浜大卒)

■2011年卒・山下 斐紹(福岡ソフトバンクホークス)・福田 将儀(中央大―東北楽天ゴールデンイーグルス)

■2012年卒・宮内 和也(明治大)・泉澤 涼太(中央大)・皆川 健太(帝京大)・中村 敦貴(東京情報大)

■2013年卒・在原 一稀(中央大)・福山 慎吾(駒澤大)・木村 光彦(日本大)

■2014年卒・松山 大志(日本大)

■2015年卒・飯島 将輝(日本大)

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