「ラッスンゴレライ」のリズムネタで大ブレイクしたお笑いコンビ、8.6秒バズーカー。彼らの“反日疑惑”をめぐるネットの炎上が拡大している。

「こじつけ」と笑われていた疑惑が一転

 今年(2015年)3月、二人のコンビ名やネタが原爆投下の暗喩など「日本に対する侮辱」であるとの怪情報がネット上で飛び出した。

 コンビ名の「8.6」が広島に原爆が投下された「8月6日」に由来し、ネタのフレーズ「ラッスンゴレライ」はアメリカ軍が原爆を落とす際の号令の暗喩である「落寸号令雷」を意味するというものだ。また、二人のおそろいの赤い衣装は米軍をイメージ(ヒット曲『放射能』などで知られるクラフトワークとの説もあり)し、サングラスはダグラス・マッカッサー。決めポーズは広島の平和記念公園にある「原爆の子の像」をモチーフにしているという。

 どう考えても強引なこじつけにしか思えず、当初は一笑に付されていた。

 ところが、メンバーの「はまやねん」の学生時代のものとされるブログやツイッターが発掘されると状況が一変。ツイッターには「日本オワタ。中国と韓国とロシアに一気に攻め込まれる(笑)植民地ぷぎゃあ」などという記述があり、ブログにはミニ番組『世界の車窓から』(テレビ朝日系)が面白いという話題から「日本はクソって思える番組やから幸せ」などと書き込まれていた。また、広島の原爆ドームの前で嬉しそうにダブルピースで記念撮影している写真もブログから見つかっている。

 さらには、日本に原爆を落とした米軍の「エノラゲイ」と同型のB29爆撃機「チョットマッテ」が存在することも判明。B29は日本人を揶揄する意味で日本語由来の機体名が複数存在していたのだが、8.6秒バズーカーのネタには「ちょっとまって、お兄さん」というフレーズがあるため、これも疑惑を深める要因になった。

 ネット上の炎上騒ぎは大きくなるばかりだが、二人は騒動に関して完全に沈黙したまま。これについて一部メディアでは「そんなデマに構っていられないくらい忙しい」という、もっともな関係者談が掲載された。

 だが、問題のツイッターアカウントは騒動後に「鍵付き」になり、ブログの記述も一部が消去。8.6秒バズーカーの公式アカウントに仲間たちとの写真入りで「8月6日になんか出来るようになりたいなー!」と書かれたツイートも「原爆の日を祝っている」と疑われていたが、こちらも削除されてしまった。

 本当に忙しくて騒動に構っていられないなら削除などしているヒマはないだろう。ブログやツイッターも無関係なら放置していればいいだけだ。少なくとも炎上騒ぎを認識し、何かしらの意図があって動いている可能性は高まっている。

吉本興業も疑惑を認識? サイト内検索は「メンテナンス中」

 さらに疑惑を埋めるピースは集まっている。

 8.6秒バズーカーが所属する吉本興業のサイトには芸人を出身地別に検索できる機能があるが、二人は「国外・その他出身」にカテゴライズされていることが判明。一部では「在日韓国人説」が噴出していたが、それを裏付ける証拠ではないかと騒がれた。

 といっても、ほかにも「国外・その他出身」に区分けされている芸人は多く、単に出身地を明かしていない場合や出てきたばかりの新人でカテゴリー分けできていないだけの可能性もある。そもそも8.6秒バズーカーの二人は大阪府吹田市の出身であることを公表している。

 だが、これがネット上で騒がれた直後に「国外・その他出身」のカテゴリがゴッソリと削除され、続いて検索自体が「メンテナンス中」で閲覧できなくなってしまった。騒ぎをきっかけに不備を修正しているだけかもしれないが、吉本興業もネット上の騒動を認識していながら沈黙しているのは間違いないだろう。

 また、単独ライブのポスターで二人の指がなぜか6本に見えるように加工されているとの疑惑もあった。今のところどのような意図があるのかは分かっていないが、これも反日的な意味があるのではないかと騒がれている。さらに「ちょっとまって」が韓国語の「男根も擦りつけ合え」という意味の言葉に発音が似ているとの説や、人気K-POPグループ「BIGBANG」のメンバーが8.6秒バズーカーの名前が世間に広く知られる以前に「ラッスンゴレライ」ネタをライブ中に真似ていたことも憶測を呼んでいる。

 これら数々の疑惑を信じたネットユーザーから以下のような声が上がっている。

「8.6秒バズーカー最悪すぎる。もう涙出てきたし早く消えてほしい」
「8.6のやつホンマなん?解説みたいの見てたら納得するけど…ホンマなんやったらショックやなー」
「バイト先の人に『8.6秒バズーカは戦争や広島を意味してるんだよ』って言われて信じてなかったけど、ネットで調べたら出てくる出てくる…これは真っ黒ですわ」
「こじつけ感もあるけど…当てはまらんこともないよね。ファンだから信じたくないなぁ」
「意味も分からずラッスンゴレライとか言ってた自分が嫌になったわ。もうあいつら嫌いとゆーか怖い」

 疑惑の真偽はさておいても、8.6秒バズーカーのファンはネット情報に左右されやすい若年層が中心。ただでさえ「一発屋」が危惧されているのに、このまま疑惑が広まっていけば急速なファン離れを招きかねない。

 偶然が重なったデマだと否定すれば騒動は落ち着くだろうし、仮に日本を揶揄する意味があったとしても、それはそれで隠れずに堂々と主張すればいいだけのことだ。「ラッスンゴレライ説明してね」というフレーズもあるが、今からでも自らファンに説明した方が賢明なのではないだろうか。

(文/夢野京太郎)