街のワルを駆除する非合法な自警者(団)を題材にしたジャンル「ヴィジランテ・ムービー」。『狼よさらば』(1974)をはじめ、現代でも『96時間』『スーパー!』『ディフェンドー』、広義にはアメコミ原作モノの多くもこのジャンルに属しています。
 プロレスでいえば、ストーンコールド・スティーヴ・オースチンや現在ならディーン・アンブローズが代表的。ベビーフェイス(正義)の行動原理から外れた破天荒な方法で、体制やヒールに対抗するアンチヒーローですね。

 顔役のC・ブロンソン御大作品群の隙を縫うように乱造された自警モノですが、中でも有名なのが『エクスタミネーター』(1980)。
 『狼よさらば』にデ・ニーロ御大の『タクシードライバー』風味をぶっ込んだような意欲的作品で、ベトナム戦争での命の恩人である親友を植物人間状態にしたワルどもへの復讐を機に"街の処刑人"となる男のお話。捕虜が首チョンパされる冒頭シーンなど、ホラー映画さながらの処刑シーンも話題となりました。

 公開当時はそこそこヒットし、主役のロバート・ギンティは以後、主演作の邦題がほぼ「○○エクスタミネーター」になるという某大先生的なB級スターに。とはいえ、かの(メソッド演技法で著名な)アクターズ・スタジオ出身の文系演劇人なので、クールなガンアクションもシャープな格闘アクションも専門外やで!

 退役後、親友と共にNYの運送業者で働く主人公ジョンは、ビール窃盗を働くワルに警告するも逆にとっ捕まり、またしても親友に救われる体たらく。だもんでワルたちの矛先は(黒人ということもあり)親友の方へ......。
 ああ、ジョンはヘタレなのね(スジ的にはPTSD?)、と想像するところですが、親友が緊急入院し、それを親友の嫁に報告&慰めるシーンの次の瞬間には、雑魚チンピラを火炎放射器で脅し、M16を手にアジトに突入する変貌ぶり!

 処刑人としての覚醒という最重要転換点において、準備するようなシーンもなくいきなり火炎放射器というこの脈絡の無さは、再生中に間違えてスキップボタンでも押してしまったのかと思ったほどである。

 そして、親友の入院費を用立てるべく、NYの精肉業を牛耳るマフィアのボスを拉致監禁するも、聞き出した自宅の金庫を漁りに行ったら番犬に襲われ、怒りの形相で監禁場所にトンボ帰りするや即ミンチ刑!
 さらに「悪党が野放しになのは政治家のせい」というお手紙をTV局に送りつけ、すっかりアンチヒーロー気取りです。

 後半、治る見込みのない親友(とその家族)を慮ってある行動に出るんですが、その前後に複数の伏線がブツギリに詰め込まれるのでイマイチ感情移入出来ず。"戦争の犠牲者"という側面でみても、縦に間延びしたマーク・ハミルみたいな締りのない下膨れフェイスのギンティさんにデ・ニーロ御大のような狂気があるハズもなし!

 処刑人を追う刑事と美人医師のロマンスや(処刑人の正体に気付く導線にはなってる)、動機の弱いFBIの行動、どこまで泳いでんだよ!なオチなど、名作には程遠いパッチワークのようなストーリーと、いうほど凄くもない処刑シーンも含めて、「(テーブルマッチ等)試合形式先行で喧伝された場当たり的抗争」のような雑味溢れるポンコツ作品のソレなのである!

 観る側の想像力を最大限要求する投げっぱなしな本作。想像力に自信のある方なら名作に映るかも?!

(文/シングウヤスアキ)