電波望遠鏡がとらえた「アインシュタイン・リング」

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遠方の銀河の光が、手前の銀河の重力で歪むことで輪に見える現象「アインシュタイン・リング」。その高解像度撮影に、チリの電波望遠鏡「ALMA」が成功した。

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チリにある電波望遠鏡「アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計」(ALMA)が、かつてない高解像度で、はるか遠方に位置する銀河の驚くべき姿を写しだした。それは、別の銀河の強い重力という「レンズ」を通して歪められた姿だ(国際チームに参加している国立天文台による日本語リリースはこちら)。

この画像は、「重力レンズ効果」をとらえたもの。重力レンズ効果とは、宇宙の天体が発する光が、別の天体、たとえば銀河や銀河団によって曲げられる現象だ。観測者の位置によっては、遠方の天体の歪められ、拡大された像が得られる。

今回撮影された「SDP.81」は、地球から約120億光年の距離にあるスターバースト銀河(爆発的星形成銀河)だが、その手前の、地球から40億光年しか離れていない別の銀河が、ちょうどSDP.81を完全な輪のかたちに見せる位置にある。この稀な現象には、「アインシュタイン・リング」というしゃれた名前がついている。

「重力レンズ効果は、望遠鏡の性能を大幅に高める効果をもたらすことから、ごく遠方にある、初期の宇宙を調べるのに用いられています」と、ALMAの副プロジェクト・サイエンティストを務めるキャサリン・ヴラハキスはプレスリリースのなかで述べている。

「今回ALMAによって驚くほど詳細な画像を得たことで、天文学者はこのリング状に歪んだ像に含まれる情報を組み立て直し、遠方にある銀河の真の姿を再構築することが可能になります」

この銀河の姿は、これまでにもハッブル宇宙望遠鏡や、ハワイのマウナケア山にあるサブミリ波干渉計、フランスにあるビュール高原電波干渉計などが撮影してきたが、リングの構造がこれほど詳細なレヴェルでとらえられたのは今回が初めてだと、米国国立電波天文台(NRAO)は述べている。

今回の画像は2014年10月、ALMAの超高解像度による観測性能を試験する目的で撮影されたものだ。ALMAのアンテナは移動式で、最大15km間隔での配置が可能だ。

重力レンズ効果が「アインシュタイン・リング」を形成する様子を示したアニメーション

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