新年度に入り、各銀行の住宅ローンの金利には、バラつきが出始めている。まず、メガバンク。主力商品である10年固定型は、三菱東京UFJ銀行と三井住友銀行は、3月よりそれぞれ0.05%引き上げて年1.25%になった。みずほ銀行も0.05%引き上げて1.20%としている。引き上げの背景には、市場金利の上昇がある。10年固定型の金利に影響がある10年物国債の利回りは、3月には一時0.46%まで上昇した。その後、いったん0.3%前後まで低下したものの、月末には再び0.4%まで上昇したことから、メガバンク各行は10年固定型の金利を引き上げた模様。

 しかし、他の大手行では据え置きとするところもある。りそな銀行は3月と同じく1.2%、三井住友信託銀行も3月と同じ0.85%のままだ。特に、三井住友信託銀行は、2月に0.85%に引き下げてから、据え置きのまま。大手行だけでなく、ネット銀行も含めて、0.85%は10年固定型の最低水準だ。三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行と比較すると、0.4%も低い。もし、2000万円を期間10年で借り入れた場合、1.25%と0.85%では、利息の差は41万7360円となる。三井住友信託銀行の0.85%は、間違いなく、いまいちばんお得なローンといえるだろう。

 もう少し、長い期間の住宅ローンも見ておこう。長期の全期間固定型も4月に入って引き上げられており、最も低い水準の三菱東京UFJ銀行の場合、21〜25年固定型は1.73%、26〜30年固定型は1.76%、31〜35年固定型は1.81%となっている。いずれも、過去最低水準だった今年1月と比べて、0.20〜0.24%引き上げられている。

 他に目立つものでは、ソニー銀行の10年固定型が1.124%、イオン銀行の10年固定型が1.10%だ。また、変動金利は、各行ほぼ据え置きとなっており、メガバンクは0.775%。より低いところでは、三井住友信託銀行の0.725%、イオン銀行の0.57%がある。

銀行間で差が出てきた住宅ローン

 このように、ローン金利は全般的には上昇基調にあるが、足元の株価の上昇や円安傾向のわりには、たいした上昇にはなっていない、という印象だ。その理由はいろいろ考えられるが、なんといっても国内景気の回復の鈍さと、米国景気の拡大ペースの鈍化が挙げられよう。特に、注意したいのは米国景気の動向だ。最近発表される経済指標は、パッとしないものが多い。そのため、政策金利の引き上げ時期が、年初の予想よりも後ずれしている。

 米国金利は上昇しているものの、まだ一進一退が続いている。政策金利を反映しやすい、米国2年債の利回りは足元では0.5%台半ば。0.25%1回分の利上げを織り込んだ水準といえる。つまり、今後1〜2年程度では、2回、3回と金利が引き上げられる可能性は低い、と金融市場が予想しているわけだ。

 国内景気をみても、企業業績は好調だが、各種経済指標からは一本調子で景気が回復するとは考えにくい。したがって、金融市場の“超低金利”状態は、しばらく続くと考えられる。住宅ローンの金利が少しずつ上昇しているからといって、焦ってマイホームを探して、ローンを組む必要はないだろう。これから、また下がる可能性も十分ある。

 ただし、すでに住宅ローンを借りて数年が経過している人は、すぐにでも借り換えを検討した方が賢明だろう。たしかに、借り換えにはいろいろな手続きが必要で、面倒くさい。しかし、人によっては、数百万円単位でローンを圧縮できることもある。10年固定型であれば、2010年から11年にかけてローンを組んだ人でも、同じく10年固定型への借り換えでお得になるケースがある。ぜひ、チェックしてほしい。

文/松岡賢治

マネーライター、ファイナンシャルプランナー/シンクタンク、証券会社のリサーチ部門(債券)を経て、96年に独立。生活総合情報サイト「All About(オールアバウト)」のクレジットカード担当。最新刊「大人のためのポイント&カードのトリセツ。」(執筆・監修)。ブログはこちら